無料で使える映像編集ソフトが、写真編集とAI機能を一気に取り込んだ。DaVinci Resolve 21は、映像制作者だけでなくフォトグラファーにとっても見逃せないアップデートです。
この記事でわかること:
- DaVinci Resolve 21で追加されたPhoto pageの概要
- 8つの新AI機能でできること
- Magic MaskのRender in Place機能
- 無料版とStudio版($295)の違い
Lightroom対抗の「Photo page」が登場
https://www.blackmagicdesign.com/products/davinciresolve
Blackmagic Designは2026年4月14日、NAB 2026に合わせてDaVinci Resolve 21のパブリックベータを公開しました。最大の目玉は、静止画を直接扱える新しいPhoto pageです。
これまでDaVinci Resolveは動画専用のツールでした。写真を扱うにはLightroomやCapture Oneといった別ソフトが必要で、カラーグレーディングのノウハウがあっても静止画には活かしにくい状況が続いていました。
Photo pageでは、DaVinci Resolveが持つカラー補正ツールやResolve FXをそのまま静止画に適用できます。Canon、Fujifilm、Nikon、SonyのRAWフォーマットに対応し、ソース解像度でのリアルタイム処理が可能です。LightroomのCatalogファイルをインポートする機能も備えており、既存の写真ワークフローからの移行も想定されています。
AI機能が8つ追加、Studio版の価値が大幅に向上
DaVinci Resolve Studio 21では、Neural Engineを活用した8つのAIツールが新たに搭載されました。ここからは各機能を紹介します。
AI Face Age Transformer — スライダー1本で顔の年齢を変える
映像内の顔をトラッキングし、見た目の年齢をスライダーで調整する機能です。従来、顔のデエイジング(若返り)処理はVFXスタジオが3Dソフトとコンポジットを組み合わせて行う高度な作業でした。DaVinci Resolve 21では、2Dの映像上で直接操作するだけで同様の効果を得られます。
AI CineFocus — クリック1つで被写界深度を制御
映像フレーム内の任意の点をクリックするだけで焦点を設定し、絞りの形状やボケの強さを調整できます。撮影後にフォーカスポイントを変更したい場面や、意図的に浅い被写界深度を演出したい場面で有効です。
AI Blemish Removal — 肌の補正を自動化
顔のクローズアップに映るシミ、毛穴、ニキビなどを自動で検出し除去します。ビューティー系の映像制作で頻繁に発生する肌補正作業の時間を短縮できます。
AI Face Reshaper — 顔のパーツ比率を変更
目、眉、鼻、口それぞれのスライダーで顔のプロポーションを変えられます。Blackmagic Designはこの機能の用途として、演技の誇張やコメディ・ホラー表現を挙げています。
AI Motion Deblur / AI UltraSharpen — ブレとボケを補正
AI Motion Deblurはモーションブラーを除去し、AI UltraSharpenはアップスケールやフォーカスが甘い映像をシャープにします。低解像度素材の再利用や、撮影時のミスを後処理でカバーする場面で役立ちます。
AI IntelliSearch / AI SlateID — メディア管理を効率化
AI IntelliSearchは、メディアプール内のクリップを「人」や「物体」で検索できる機能です。大量の素材から目的のカットを探す時間を削減します。AI SlateIDはカチンコ(スレート)のメタデータを自動で読み取り、シーン番号やテイク情報を抽出します。
AI Speech Generator — テキストから音声を生成
スクリプトを入力するとナレーション音声を生成します。4種類のプリセットボイスに加え、音声サンプルを学習させたカスタムボイスにも対応しています。仮ナレーションの作成や、多言語展開の下準備に使えます。
Magic MaskにRender in Placeが追加
DaVinci Resolve 20で強化されたMagic Mask 2にも改善が入りました。新しいRender in Place機能では、AIが追跡したマスクを外部マットとして書き出し、ソースフッテージのオブジェクトに自動でリンクします。
この仕組みにより、キャッシュをクリアしてもマットデータが保持され、再生パフォーマンスも向上します。ロトスコープを手作業で行っていた工程がさらに効率化されます。
Fusion pageにKrokodoveが統合
コンポジット機能を担うFusion pageでは、100以上のツールとエフェクトを収録したモーショングラフィックスライブラリ「Krokodove」が直接統合されました。これまでは外部プラグインとして導入する必要がありましたが、DaVinci Resolve 21からは標準で利用できます。
Fairlight Animatorという新しいモディファイアも追加され、オーディオトラックでFusionアニメーションを駆動できるようになりました。Lottie形式の2DアニメーションやOGraf形式のHTML グラフィックスの読み込みにも対応しています。
無料版とStudio版の違い
DaVinci Resolve 21の基本版は無料です。Photo pageやFusion pageの新機能、編集・カラー補正の改善は無料版でも使えます。
一方、AI機能(Face Age Transformer、CineFocus、Blemish Removal、Face Reshaper、Motion Deblur、UltraSharpen、IntelliSearch、SlateID、Speech Generator)はStudio版の専用機能です。Studio版の永続ライセンスは$295(約45,000円)で、既存ユーザーは無料でアップデートできます。
対応OSはWindows 10以降、Rocky Linux 8.6、macOS 15.0以降です。現在パブリックベータの段階で、正式リリースの日程は未発表ですが、過去のベータからの例では約2か月で安定版に移行しています。
映像と写真の境界を溶かすアップデート
DaVinci Resolve 21は、映像編集ソフトが写真編集とAI処理を本格的に取り込んだターニングポイントです。Photo pageの追加でLightroomの領域に踏み込み、8つのAIツールはVFXスタジオが専門チームで行っていた作業を個人の手元に持ってきました。無料版でもPhoto pageが使える点は、これから映像・写真制作を始める人にとって強い追い風になります。