AIにノートの修正を任せたら、どこが変わったのか分からない——NeverWriteは、その不安を解消するオープンソースのナレッジワークスペースです。
この記事でわかること
- NeverWriteが解決する「AI編集のブラックボックス問題」
- インラインdiffで変更を1件ずつ承認する仕組み
- Codex・Claude・Geminiに対応したマルチAI設計
- Obsidianとの設計思想の違い
- インストール方法と現時点の制約
NeverWriteとは
NeverWriteは、Electron + Rustで構築されたローカルファーストのナレッジワークスペースです。2026年4月4日にv0.1.0が公開され、5月2日時点でv0.2.1に到達しています。ライセンスはApache 2.0、対応OSはmacOS(Universal)とWindows(x64・ARM64)です。
見た目はコードエディタに近く、Markdownノートの編集、AIへの指示、変更のレビューをひとつのウィンドウで完結させます。データはすべてローカルに保存され、クラウド同期やテレメトリは一切ありません。
AI編集が「見えない」問題を解決する
AIにドキュメントの修正を依頼すると、変更箇所の把握が難しくなります。コーディングツールではdiff表示が一般的ですが、ノートアプリではAIの出力がそのまま反映されるケースが大半です。
NeverWriteは、AIが提案したすべての変更をインラインのdiffとして表示します。変更箇所ごとに承認・却下・修正を選べるため、意図しない書き換えを防げます。専用のReviewタブでは未承認の変更を一覧管理でき、複数ファイルにまたがる編集も見逃しません。
この仕組みはRust/WASMバックエンドで差分の計算と変更追跡を処理しており、エディタ内のインラインレビューとReviewタブの両方から操作できます。
4つのAIランタイムに対応
NeverWriteはACP(Agent Communication Protocol)を通じて、Codex(GPT)、Claude、Gemini、Kiloの4つのランタイムを使えます。v0.2.1ではChatGPTアカウントでのログインやAnthropic APIキーでの接続が追加されました。
プロバイダーの切り替えはセッション単位です。Claudeのセッションで文章校正を進めながら、Codexのセッションでコードを生成するといった並行作業もできます。LLMゲートウェイ経由でカスタムプロバイダーを接続する方法も用意されています。
サブエージェントで並行タスクを管理
v0.2.0で追加されたサブエージェント機能は、メインのAIチャットから派生したタスクを独立スレッドとして管理します。サブエージェントはサイドバーに常駐し、チャットタブを閉じても動作を継続します。各スレッドに個別のレビュータブがあり、変更を別々に確認できます。
親チャットにはパンくずリストが表示され、どのサブエージェントがどのタスクを担当しているか一目で把握できます。この親子関係はアプリを再起動しても維持されます。
ナレッジ管理とWebクリッパー
Markdownエディタはライブプレビュー、47言語のシンタックスハイライト、wikilink補完に対応しています。ノート間のリンク関係を2D・3Dのグラフビューで視覚化でき、バックリンク・タグ・正規表現の高度な検索も備えています。
Markdown以外にもCSV、PDF、画像、コードファイルを同一ワークスペース内で扱えます。Excalidrawベースのコンセプトマップも内蔵されており、エージェントから直接編集可能な.excalidraw形式で保存されます。
ブラウザ拡張のWebクリッパー(Chrome MV3 / Firefox MV3対応)を使えば、WebページをMarkdownに変換してvaultへ直接保存できます。デスクトップアプリとはローカルAPI(127.0.0.1:32145)で通信するため、データが外部サーバーを経由しません。
料金
無料です。アカウント登録も不要です。AI機能を使う場合は、各プロバイダーのアカウントまたはAPIキーが別途必要になります。
Obsidianとの違い
NeverWriteはObsidianと同じ「ローカルvault + Markdown」の構造を持ちますが、設計の軸が異なります。
Obsidianはプラグインエコシステムで機能を拡張するPKM(Personal Knowledge Management)ツールです。コミュニティプラグインでAI機能を追加できますが、AIの変更を個別にレビューする仕組みは標準にはありません。
NeverWriteは「AIの変更を全件レビューする」ことを前提に設計されています。Rustバックエンドによるdiff生成とインラインレビューがコア機能として組み込まれており、プラグインには依存しません。反面、モバイル対応、プラグイン数、コミュニティの成熟度ではObsidianに大きく差をつけられています。
AIとの協働でノートを管理しつつ、変更の最終判断は自分で下したい——そういう用途にNeverWriteは適しています。
今後の開発予定
公式リポジトリでは、Cronジョブ機能の追加とACP準拠プロバイダーの拡充が次の優先事項として挙げられています。Linux対応も課題として認識されており、コミュニティからの貢献を募集中です。今後はすべてのACP準拠プロバイダーへの対応拡大も予定されていますが、NeverWriteのレビュー層との統合テストが必要なため、時間がかかる見通しです。
公開から約1か月でv0.2.1まで進んでおり、開発ペースは速いです。ベータ段階ゆえの粗さはありますが、AI編集のレビュー体験を重視するなら試す価値があります。