Claude Codeで作業するたびに「うちの会社はこういう製品を作っています」「チームはこういう構成です」と説明しなおしている——そんな手間を根本から解消するアプローチが、GitHubでオープンソースとして公開されています。

この記事でわかること

  • Company OSとは何か、何の課題を解くのか
  • CLAUDE.mdをハブにしたGitHubベースの構成の仕組み
  • キットに同梱されるスキル5種・プラグイン・フックの詳細
  • 実際のセットアップ手順

Company OSとは何か

「Company OS」は、会社の知識をマークダウンファイルとしてGitHubリポジトリに蓄積し、Claude Codeがそれを永続的なコンテキストとして読み込む仕組みです。製品情報・チーム構成・ブランドの声・業務フローをすべてファイルに書き出し、Claude Codeが毎セッション「その会社のAIアシスタント」として立ち上がります。

この仕組みを自社で構築したWorkflows.ioのDan Rosenthal氏が、スターターキットとしてオープンソース公開しました。同社はClaude Codeをコアに据えながらブートストラップで9ヶ月以内に20人規模まで成長したといいます。

https://github.com/Workflowsio/company-os-starter-kit

なぜGitHubで管理するのか

コンテキストの管理にGitHubを選ぶ理由は明確です。

バージョン管理があるため、AIのコンテキストが壊れたときにrevertで戻せます。新しいメンバーが加わったときはcloneして終わりです。チーム全員が同じコンテキストを持つ状態を、プルリクエストとdiffで維持できます。ファイル形式はプレーンなマークダウンなので、Claude以外のAIツールへの移行も自由です。

コンテキストを「プロンプトで毎回渡すもの」から「バージョン管理されたファイル群」へと変えることが、このアプローチの核心です。

構成の全体像

キットは5つのパーツから成ります。

CLAUDE.md(ハブファイル)

すべての起点となるファイルです。Claude CodeはプロジェクトのルートにあるCLAUDE.mdを起動時に自動で読み込みます。会社名・製品概要・チーム構成・ブランドボイス・主要ツールなどをプレースホルダー形式で記述する、200行以内のテンプレートが用意されています。

初回セットアップはClaude自身にインタビューさせる方法が推奨されています。Claude Codeでプロジェクトを開き、次のように指示するだけです。

Read the CLAUDE.md and all the files in this repo.
Interview me about my business and help me fill everything in. Go section by section.

Claudeがセクションごとに質問しながらプレースホルダーを埋めます。手作業でのマークダウン編集は不要です。

blueprint/(フォルダ構造)

会社情報を蓄積するフォルダ群です。用途別に役割が分かれています。

company/には製品説明・ICP・ポジショニング・チーム構成・ブランドボイス・GTMスタックを置きます。変化頻度の低い「会社のアイデンティティ」部分です。wiki/にはSOPやプレイブックなど、チームが参照するドキュメントを置きます。raw/には未処理の入力データ(商談録音の文字起こし、データエクスポートなど)を投入し、Claudeにwiki/へ整理させます。

コンパクトに始めることを公式が推奨しています。「5つの充実したファイルは、50個の散漫なファイルに勝る」という設計思想があります。

5つのGTMスキル

スキルは「Claude Codeにこのタスクをどうやってやってほしいか」を定義したマークダウンファイルです。フレームワーク・手順・アンチパターン・品質チェックが埋め込まれており、呼び出すだけで再現性の高い出力が得られます。

Outbound Copywriter は、SPARKフレームワークを使ったコールドメールシーケンスを生成します。7つのパターンと6つのアーキタイプが組み込まれており、「VP Sales宛ての3ステップシーケンスを作って」という指示だけで会社のトーンに合ったメールを出力します。

LinkedIn Post Writer は自社のブランドボイスに合わせたLinkedInの投稿を生成します。フックの公式・フォーマットルール・スコアリングルーブリックが内蔵されています。

ICP Modeller はIdeal Customer Profileを、ファーモグラフィック・サイコグラフィック・行動スコアリングの3軸でマトリックス化します。

GTM Strategist はGTMモーションの設計・ツール選定・チャネル戦略・予算配分を行います。

Discovery Prep は商談前のリサーチブリーフを、ペイン仮説・トーキングポイント・オブジェクションハンドリングの形式でまとめます。

これら5つはGTMに特化したサンプルです。エンジニアリング・サポート・人事・財務など、どのドメイン向けにも同じフォーマットでスキルを追加できます。

Workflows Engineering Plugin

6つの/workflowsコマンドをClaude Codeに追加するプラグインです。

/workflows planで構造化された実装計画を立て、/workflows workでQA付きのステップ実行を進め、/workflows reviewでマルチエージェントによるレビューを行えます。/workflows swarmは並列エージェントを使ったフルパイプラインです。/workflows brainstormは計画前の要件探索、/workflows compoundはチームの知見として解決済み問題をドキュメント化します。

このプラグインはEvery IncのCompound Engineering Pluginをベースに構築されています。

3つのフック(安全装置)

safety-guard.sh はPreToolUseフックとして危険なツール呼び出しをブロックします。session-logger.sh はすべてのイベントをセッションごとのJSONLファイルに記録します。notify.sh はmacOS/Linuxのデスクトップ通知を送ります。一度設定すれば、以降は意識しなくてよい仕組みです。

セットアップ手順

ターミナルからは次の手順で導入できます。

# 1. クローン
git clone https://github.com/Workflowsio/company-os-starter-kit.git
cd company-os-starter-kit

# 2. blueprintとCLAUDE.mdをプロジェクトへコピー
cp -r blueprint/ /path/to/your-project/
cp CLAUDE.md /path/to/your-project/CLAUDE.md

# 3. GTMスキルをコピー
cp -r gtm-skills/ /path/to/your-project/gtm-skills/

# 4. フックをインストール
mkdir -p /path/to/your-project/.claude/hooks
cp blueprint/hooks/*.sh /path/to/your-project/.claude/hooks/
cp blueprint/hooks/settings.json /path/to/your-project/.claude/settings.json
chmod +x /path/to/your-project/.claude/hooks/*.sh

# 5. プラグインを追加(任意)
cp -r plugin/ /path/to/your-project/.claude/plugins/company-os/

コピー後にClaude Codeでプロジェクトを開き、Claudeに「CLAUDE.mdを読んでインタビューしてください」と伝えれば、会社情報の入力が始まります。

ライセンスはMITです。

コンテキストエンジニアリングとしての位置づけ

プロンプトエンジニアリングが「AIへの指示の書き方」を扱うのに対し、このアプローチが扱うのは「AIが持続的に保持する文脈の設計」です。CLAUDE.mdがハブ、company/がスポーク、スキルがプレイブック、フックがガードレール——各パーツが一つの役割を持ち、必要なものだけ追加する構成です。

スキルとコンテキストファイルはすべてプレーンなマークダウンで書かれています。今日はClaude Codeで動かしていても、別のAIツールに切り替えた際にコンテキストとスキルはそのまま移行できます。Claude Code固有なのはフックの実装部分だけです。