クラウドにメールデータを預けることに不安を感じながら、使いやすいデスクトップクライアントが見当たらない——そんな状況に応えるOSSが登場しました。

PebbleはRust・Tauri 2・Reactで構築されたデスクトップ向けメールクライアントです。メールデータ・検索インデックス・添付ファイルをすべてデバイス上に保存し、クラウドに依存しない設計を採用しています。2026年4月の公開から約1か月で200スターを獲得しました。

この記事でわかること

  • Pebbleがクラウドへの依存を排除する仕組み
  • 検索・スヌーズ・ルールエンジン・カンバンボードの使い方
  • Gmail・IMAP・Outlookへの接続方法
  • ThunderbirdやMailbirdとの違い

https://github.com/QingJ01/Pebble

クラウドメールが抱える課題

Gmailアプリやウェブメールは便利ですが、すべてのデータがプロバイダーのサーバー上に置かれます。オフライン環境では検索も閲覧もできず、プロバイダーのUI変更に振り回されることもあります。Thunderbirdのようなローカル保存型のクライアントも存在しますが、UIにレガシーな印象が残り、カンバンボードやスヌーズといったモダンなワークフロー機能は外部アドオンに頼る必要があります。

Pebbleはこの二つの問題を同時に解決します。データをローカルに保持しながら、現代的なUIと実用的なワークフロー機能を最初から備えています。

ローカルファーストの設計

Pebbleはデータをすべてデバイス上に保存します。メール本文・フォルダ・ラベル・ルール・設定はSQLite(rusqlite経由)に格納され、全文検索インデックスはRust製の検索エンジン「Tantivy」が担います。添付ファイルはアプリのデータディレクトリ以下に保存され、OAuthトークンと認証情報はデバイス固有のキーで暗号化されます。

テレメトリは一切ありません。ネットワークアクセスはメール同期・翻訳・WebDAVバックアップの3機能に限定されており、ユーザーが設定した範囲以外の通信は発生しません。

主な機能

受信ボックス管理

複数アカウントを統合した受信ボックスで一元管理できます。Gmail・IMAP・Outlook(試験的サポート)に対応しており、スレッド表示とメッセージリスト表示を切り替えられます。アーカイブ・削除・スター・既読・一括処理といった標準操作に加え、スヌーズ機能で後で読みたいメールを指定時刻に再表示できます。ルールエンジンを設定すれば、受信時の自動振り分けも可能です。

カンバンボード

Todo・Waiting・Doneの3列からなるカンバンボードが内蔵されています。メールをカードとして管理し、対応状況を可視化できます。メールクライアント外のタスク管理ツールに切り替える手間が省けます。

コマンドパレットとキーボード操作

/キーで検索、J/Kでメール移動、Eでアーカイブ、Rで返信と、キーボードだけで主要な操作が完結します。コマンドパレットからも機能にアクセスでき、マウス操作を最小限に抑えられます。

翻訳とバックアップ

翻訳プロバイダーを設定すると、メール本文をバイリンガル表示できます。設定・ルール・カンバンカードはWebDAVバックアップに対応しており、デバイス間での同期にも使えます。UIは英語と中国語に対応しており、システムロケールを自動検出して起動時の言語を決定します。

v0.0.4の更新内容(2026年5月1日)

最新バージョンのv0.0.4では、以下の機能が追加されました。

  • アカウントごとの接続プロキシ設定
  • Google・MicrosoftアカウントへのOAuthプロキシ制御
  • アカウントカラーのプリセットと自動設定
  • 複数アカウント表示時のカラーマーカー表示
  • システムロケールによる起動時言語の自動検出

コンポーズエディタのレイアウトも整理され、リッチテキスト・Markdown・HTMLの各モード切り替えが1つのツールバーに集約されました。

料金

Pebbleは無料のオープンソースソフトウェアです。ライセンスはAGPL-3.0で、ソースコードはGitHubで公開されています。

ThunderbirdやMailbirdとの違い

比較項目 Pebble Thunderbird Mailbird
技術スタック Rust + Tauri 2 C++ + XUL Electron
データ保存 SQLite(ローカル) ローカル ローカル
テレメトリ なし オプトアウト可 あり
カンバンボード あり なし なし
スヌーズ あり 要アドオン あり
ライセンス AGPL-3.0 MPL-2.0 商用
料金 無料 無料 無料プランあり/有料Pro

Thunderbirdは長年の実績を持ち、プラグインエコシステムが豊富です。ただしXUL/C++ベースのアーキテクチャはモダンなツールと比べると重く、カンバンボードやスヌーズは標準で備わっていません。MailbirdはモダンなUIを持ちますが、商用ライセンスでテレメトリが有効です。

Pebbleの差別化ポイントは、Rustによる軽量な実行環境と、カンバンボード・翻訳・WebDAVバックアップを追加なしで使える点にあります。まだv0.0.4と初期段階で、OutlookサポートはExperimentalですが、2026年4月の公開からリリースペースは速く、機能が継続的に拡充されています。

導入手順

GitHubのReleasesページからmacOS・Windows・Linux向けのインストーラーをダウンロードできます。

https://github.com/QingJ01/Pebble/releases

macOSで署名なしビルドを/Applicationsに移動した場合は、初回起動前に以下のコマンドが必要です。

sudo xattr -cr /Applications/Pebble.app

ソースから動かす場合はRust stable・Node.js 18以上・pnpm 8以上が必要です。

git clone https://github.com/QingJ01/Pebble.git
cd Pebble
pnpm install
cp .env.example .env
pnpm dev

GmailやOutlookはOAuth接続のため、.envファイルにクライアントIDの設定が必要です。IMAPアカウントは設定画面から直接入力できます。

まとめ

クラウドに依存しないメール環境を手元に作りたい開発者にとって、PebbleはThunderbirdよりモダンで、Mailbirdより透明性の高い選択肢になります。現時点でのOutlookサポートは試験的ですが、プライバシー重視のワークフローを構築する出発点として十分な機能が揃っています。