AIエージェントを使った開発では、macOSやWindowsで特定の動作を確認したい場面が頻繁に起きます。Crabbox 0.4.0では、静的SSHターゲットとしてmacOSとWindowsが正式にサポートされ、手持ちのマシンをエージェント向けの実行環境として組み込めるようになりました。
この記事でわかること
- Crabbox 0.4.0の3つの主要変更点
- macOS・Windows SSHターゲットの設定方法
- WindowsのnormalモードとWSL2モードの違い
- ブローカー経由のプロバイダー構成の整理
Crabboxとは
Crabboxは、OpenClawが開発するリモートテストボックスシステムです。CLIからcrabbox run -- pnpm testを実行すると、クラウド上のLinuxマシンをリースし、ローカルのコードをrsyncしてコマンドを実行、結果をストリームして返します。開発者のエディタやgitワークフローはそのままで、テスト実行だけをクラウドに逃がす仕組みです。
AIエージェントとの親和性も高く、OpenClawプラグインとして組み込むとエージェントがcrabbox_runやcrabbox_warmupなどのツールを直接呼び出せます。
今回のアップデートで何が変わったか
v0.4.0の変更点は3つです。
静的SSHターゲットへのmacOSとWindows対応が最も大きな変更です。これまでCrabboxのブローカー経由リースはLinux(Hetzner)またはLinux/Windows/Mac(AWS)でしたが、手持ちの静的SSHホストをmacOSまたはWindowsとして指定できるようになりました。
ブローカー経由HetznerのLinux専用化の明示も追加されています。Hetznerリースは従来通りLinux専用ですが、non-Linuxターゲットを指定した際のエラーメッセージが明確化されました。macOSやWindowsが必要な場合はAWSまたは静的SSHを使うよう誘導されます。
3点目はBlacksmith live smokeのデフォルトオプトイン化です。Testboxワークフローを持たないリポジトリでも、デフォルトのlive smokeが動作するようになりました。
macOS SSHターゲットの設定方法
mac-studio.localという既存のmacOSマシンをCrabboxの実行環境にする例です。
provider: ssh
target: macos
static:
host: mac-studio.local
user: steipete
port: "22"
workRoot: /Users/steipete/crabbox
macOSターゲットはPOSIXのSSHコントラクトを使います。git、rsync、tar、SSHがインストールされていれば動作します。コマンド実行やファイル同期の仕組みはLinuxと同じです。
Windows SSHターゲットの設定方法
Windowsにはnormalとwsl2の2つのモードがあります。
normalモード
PowerShell over OpenSSHでコマンドを実行し、ファイルのsyncはtarアーカイブで行います。OpenSSHとGit for Windowsが入っていれば動作します。
provider: ssh
target: windows
windows:
mode: normal
static:
host: win-dev.local
user: Peter
port: "22"
workRoot: C:\crabbox
WSL2モード
コマンドはwsl.exe --exec bash -lcで実行し、rsyncはwsl.exe rsyncで行います。static.workRootはWSLのパス(/home/peter/crabboxなど)で指定します。
provider: ssh
target: windows
windows:
mode: wsl2
static:
host: win-dev.local
user: peter
workRoot: /home/peter/crabbox
WSL2モードをAWSのmanaged leaseで使う場合はnested virtualizationが必要で、C8i・M8i・R8iファミリーのインスタンスが割り当てられます。静的SSHホストとして使うなら既存のWSL2環境がそのまま使えます。
既存のブローカー構成との違い
v0.4.0以前も、AWSプロバイダー経由でネイティブWindowsServer(EC2Launch使用)やEC2 Mac(Dedicated Host必須)のリースは可能でした。0.4.0で追加されたのは、すでに手元にあるmacOS・Windowsマシンを静的SSHホストとして組み込む手段です。
クラウドのコストをかけずにmacOS/Windowsの動作確認をしたい開発チームにとって、既存マシンをCrabboxに組み込める点は実用的な選択肢です。開発機のMac studioやWindows開発PCをそのままエージェントの実行環境として使えます。
インストールはHomebrewから行えます。
brew update
brew upgrade openclaw/tap/crabbox
# または
brew install openclaw/tap/crabbox
crabbox --versionで0.4.0と表示されれば完了です。
まとめ
Crabbox 0.4.0は、静的SSHターゲットへのmacOS・Windows対応が中心のリリースです。既存のSSHホストをprovider: sshとtarget: macos|windowsで指定するだけで、AIエージェントやCI/CDから使えるテストボックスとして組み込めます。Windowsはnormalモード(PowerShell/tar)とWSL2モードを選べ、用途や環境に合わせた使い分けが可能です。