画面を自分で説明しなくていい——そんなAIが、Windows 11の標準機能になった。

Microsoftが2024年末にプレビュー公開したCopilot Visionは、2026年5月時点で最新のWindows 11ビルドに正式搭載された。起動すれば、エラー診断からアプリのUI案内、複数ウィンドウをまたいだ要約まで対応する。本記事では動作の仕組み、RecallとCopilot Visionの違い、プライバシー設定まで整理する。

この記事でわかること:

  • Copilot Visionの動作原理と何ができるか
  • RecallとCopilot Visionの違い
  • 3つの代表的な使い方
  • 無効化と完全削除の手順

https://www.microsoft.com/en-us/windows/copilot-ai-features

画面の内容をAIが直接読み取る仕組み

Copilot Visionは、タスクバーの「Share with Copilot」ボタンをクリックすると動作する。共有を開始すると、対象のウィンドウまたはブラウザタブにオレンジ色の枠が表示され、AIがリアルタイムで画面内容を認識する。

従来のCopilotはテキスト・音声・ファイルのアップロードによる手動入力が前提だった。Copilot Visionは共有画面に映っている内容をそのまま読み取るため、何をしているかをあらためて説明する必要がない。「コンテキストAI」と呼ばれる分野の技術で、ユーザーの作業状況をAIが自動的に把握する設計になっている。

処理にはNPU(Neural Processing Unit)を使い、Copilot+ PCではデバイス上で40TOPS以上の性能を活用して高速処理する。Microsoftによればセッション終了後にデータは破棄されるとしている。

RecallとCopilot Visionは別物

Copilot Visionを「Recall 2.0」と混同するケースがある。動作原理が根本的に違う。

Recallは常時スクリーンショットを自動撮影し、Copilot+ PCのローカルデータベースに蓄積する機能で、デフォルトは無効だ。一方、Copilot Visionはユーザーが明示的にボタンを押したときだけ動作するオプトイン方式で、自動収集も常時監視も行わない。セッション中以外に画面を見ることはない。

3つの代表的な使い方

エラーの自動診断

「File System Error」のようなエラーが出た際、Copilot Visionはエラー内容を画面から直接読み取り、解決策を提示する。エラーコードをコピーして検索する手間が省ける。ITサポートを待たずに、その場で問題に対処できる。

複雑なアプリのUI案内

Adobe PremiereやAutocad、3ds Maxなどの操作で迷ったとき、「このレイヤーをマスクするには?」と質問するだけで、対象のメニュー項目が画面上でハイライトされる。ドキュメントを開かなくても、画面上で直接ナビゲーションを受けられる。

複数ウィンドウをまたいだ要約

スプレッドシートとリサーチ用PDFを同時に開いている状態で、両方の内容を統合した要約を生成できる。ファイルをAIにアップロードし直す作業が不要になる。

無効化と削除の手順

2026年4月のPatch TuesdayでMicrosoftは無効化操作を簡素化した。目的に応じて3つの方法がある。

セッション中に即時停止する

フローティングツールバーの「Stop」ボタンをクリックするか、Win + Esc を押す。進行中のVisionまたはRecallセッションを即座に終了できる。

タスクバーから恒久的に削除する

タスクバーを右クリック→「タスクバーの設定」→「Copilot(プレビュー機能)」のトグルをオフにする。「Share with Copilot」ボタン自体がタスクバーから消え、誤って起動する状況を防げる。

企業環境での一括制御

Windows 11 25H2にApril 2026アップデートを適用した環境では、IT管理者がMicrosoft IntuneまたはSystem Center Configuration Managerのポリシー設定「Remove Microsoft Copilot App」を使い、管理対象デバイスからCopilotアプリを削除できる(参考)。対象はEnterprise・Professional・Educationエディションのみ。

銀行口座や医療記録、社外秘のデータを扱う作業中は、画面共有をオフにしておくのが安全だ。

Visionを使うかどうかは自分で決める

Copilot Visionは、AIが自動でデータを収集しない設計になっている。Recallのような常時監視とは異なり、使う場面と使わない場面をユーザー側でコントロールできる。

機能として有用かどうかは業務内容次第だ。エラー診断やUI案内に価値を感じるなら試す意義はある。プライバシーが優先なら、タスクバー設定または企業ポリシーで対処できる。正式搭載によって無効化の導線も整備されており、使う・使わないを選びやすい状況になっている。