ChatGPTやClaudeに頼るたびに、文章の「流れ」が途切れる。プロンプトを書いて待って、返ってきた文を自分らしく直す——このループに慣れてしまった人ほど、Cotypistを試す価値があります。
Cotypistは、Mac上でローカルLLMを動かしてタイピングをリアルタイムに補完するアプリです。次の単語が薄く表示され、Tabキーを押すと一語ずつ採用できます。クラウドへのデータ送信は一切なく、補完は文字通り「自分のMacの中だけ」で完結します。
この記事でわかること:
- CotypistとChatGPTの根本的な違い
- 動作に必要なスペックと対応モデルの選び方
- 対応アプリと動かないケース
- 料金プランとベータ期間中の無料枠
AIを「外注」から「同僚」に変える
生成AIでの文章作成は、「委託」に近い作業です。プロンプトを書き、結果を待ち、受け取ったテキストを自分のスタイルに合わせて修正する。この手順を毎回踏むことで、書く作業の「テンポ」は崩れます。
Cotypistが解決するのはその問題です。入力中に次の単語を予測し、合っていればTabで採用、違えばそのまま書き続けるだけ。AIが文章を「生成」するのではなく、ユーザーが書こうとしていた言葉をタイミングよく提示する設計です。
開発者のDaniel Gräfe氏(Accelerated Thought GmbH)は「あなたが書くはずだった言葉を、ただ速く出す」というコンセプトを掲げています。文体を上書きせず、作業の流れを守ることを優先しています。Tabキー一押しで次の一語だけ採用し、続きは自分で書く、という操作が基本です。気に入らなければそのまま無視して書き続けるだけで、アプリが文体に合わせてくれます。
動作の仕組みとモデルの選び方
Cotypistのインストール時に推奨されるデフォルトモデルはGemma 4(3.2GB)です。内部処理にはApple Silicon向けに最適化されたQwen 2.5 1.5Bも採用されており、補完の速度と精度のバランスを取っています。
対応モデルの容量は0.8GBから15.7GBまで幅広く選択できます。モデルを重くすれば提案の精度が上がりますが、補完の反応速度が落ちます。メモリが16GB以上あるMacなら3〜5GB程度のモデルが速度と精度のバランスが取りやすいです。アプリ全体でおよそ1〜2.5GBの追加メモリを使用します。
ローカル処理の利点は二つあります。一つ目はプライバシーです。Macのネットワーク監視ツールで検証したところ、データ送信は確認されていないと報告されています(Tom’s Guide調べ)。二つ目は速度です。クラウドAPIへの通信待ちがないため、補完はほぼリアルタイムで表示されます。
動作要件
必要な環境は以下の通りです。
- macOS 14以上
- Apple Silicon必須(Intel Mac非対応)
- 推奨:M1 Pro以上、16GBメモリ
M1 ProやM2以上があれば補完がスムーズに動作します。非推奨環境でも起動はしますが、補完の反応が遅れてテンポを崩す可能性があります。バッテリー消費はLLMを常時動かす関係でやや増えるため、長時間の作業ではAC接続が安心です。
対応アプリと制限
ほとんどのMacアプリでそのまま動作します。Apple Mail、Gmail(ブラウザ)、Word、Apple Notes、Obsidian、Notion、Slack、Messages、Safari、Chromeはセットアップ不要で使えます。
一部のアプリでは追加の設定が必要です。Google DocsはアクセシビリティモードをONにする必要があります。Arc/DiaブラウザはインラインサジェストをOFFにする設定が別途必要です。
VS CodeやCursorなどのコードエディタでは、メインエディタ上では動作しません。AIアシスタントのサイドバーチャット内での入力にのみ対応しています。コード補完はGitHub Copilotなど専用ツールと使い分ける設計です。ターミナルでは、AIエージェントへのプロンプト入力中に自動的に有効になります。
GrammarlyやApple Intelligenceとの違い
Grammarlyは文法・スペル校正が主目的で、テキストをクラウドに送信します。Cotypistはローカル処理のみで入力補完に特化しており、校正機能は持ちません。
Apple Intelligenceは特定のApple製アプリ内での文章校正や要約が中心です。Cotypistはアプリを問わず、入力フィールドが存在する場所ならどこでも動作します。
GitHub CopilotはVS Codeなどコードエディタ専用の補完ツールです。Cotypistはコードエディタ以外のすべての場所をカバーしており、コーダー以外にも使えます。
料金プラン
現在はベータ期間中のため、すべての機能が無料です。公式サイトでメールアドレスを登録すると、Apple Silicon向けプレリリース版のダウンロードリンクが届きます。正式リリース後は以下のプランが予定されています。
- Casual(無料):一定量の補完制限あり。軽い用途向け
- Plus(月額未定):補完無制限、1台のみ
- Pro(月額未定):補完無制限、3台まで対応、カスタム指示、ユーザーの文体学習機能
料金は未発表ですが、30日間のProトライアルも予定されています。ベータ期間中は使い放題のため、今が試す好機です。
まとめ
Cotypistは「生成AIに文章を書いてもらう」のではなく「自分が書く速度を上げる」という方向でAIを使うツールです。ローカルLLMによるプライバシー保護、Apple Silicon最適化による低遅延、全アプリ横断の対応という三点が揃っており、特に長文を毎日書くユーザーには試す価値があります。ベータ期間中は無料で使えるため、実際に動かして自分の文体との相性を確かめるのが早道です。