Windows 11のStartメニューが、2021年のリリース以来初めて根本から作り直されます。MicrosoftはWebベースのReactからネイティブフレームワーク「WinUI 3」への移行を進めており、動作の速さとカスタマイズの幅が大きく改善される予定です。
この記事でわかること:
- MicrosoftがStartメニューをReactからWinUI 3に移行する理由
- 性能改善の具体的な数字
- Recommendedセクションやレイアウトサイズを個別に制御できる新機能
- 現在のテスト状況とリリース見込み
Reactを選んだ理由と、やめる理由
Windows 11のStartメニューは、2021年のリリース当初からWebベースの技術「React」を採用していました。MicrosoftがReactを選んだのは、開発速度を上げるためです。JavaScriptベースのUIとWindowsのネイティブ描画を橋渡しすることで、OSのフルアップデートを待たずに機能を頻繁に更新できました。
ただしReactはWebベースである以上、ネイティブフレームワークと比べて本質的な遅延が生じます。処理性能の高い端末では気になりにくい問題ですが、CPUに負荷がかかっている状況では顕著に現れます。
2026年、Microsoftは「StartメニューのUIインフラをWinUI 3へ移行し、対話遅延を削減する」と公式に表明しました。Windows Insider Canary Channelでのテストも始まっており、Windows K2と呼ばれる2026年のWindows 11改善計画の中核に位置づけられています。
数字で見る性能改善
WinUI 3ベースのStartメニューは、社内テストの結果として以下の改善を達成しています。
起動速度の向上: 平均的なハードウェア構成で15〜20%高速化。CPUに高負荷がかかった状態でも、メニューが遅れずに開きます。現行版では重い処理の最中にStartメニューの表示が数秒遅れることがありましたが、WinUI 3移行後はこの問題が解消されます。
検索のレスポンス改善: 検索結果がほぼ瞬時に表示されます。現在は入力した最初の数文字がシステムに届かない「ゴーストタイピング」が発生するケースがありましたが、新実装ではキー入力をとり逃さない設計になります。
メモリ使用量の削減: 通常操作時のRAM消費が約30%削減されます。8GB以下のRAMの端末では現行のStartメニューが動作の重さとして体感されることがあり、低スペック環境での改善効果は特に大きくなる見込みです。
セクションごとにon/offできるモジュール設計
現在のStartメニューは、Recommendedセクション(おすすめ)の表示を消しても空白スペースが残るという問題があります。設定からオフにすると、File Explorerの「最近使ったファイル」やタスクバーのジャンプリストまで同時に無効化されてしまいます。
新しいStartメニューでは、セクションを個別にon/offできるモジュール設計になります。
- Recommendedセクション: 完全に非表示にするか、特定のファイル種別のみ表示するかを選択可能
- ピン留めアプリエリア: レイアウトと配置の細かい制御が可能
- 検索統合: Windows Search、Web検索、サードパーティ製検索から選択可能
- All Apps一覧: 非表示にしてミニマリストな表示を実現可能
メニューのサイズ選択も変わります。現在は「小さいレイアウト」と「大きいレイアウト」の切り替えがモニター解像度に依存しており、大型モニターでも小さいメニューを使いたいユーザーは選択できませんでした。新バージョンでは解像度に関係なく手動で切り替えられます(参考)。
Microsoft Store経由での個別アップデートが可能に
WinUI 3への移行により、Startメニューの更新方法も変わります。コンポーネントがモジュール化されるため、Microsoftは個別の機能をMicrosoft Store経由で配信できます。現在はStartメニューの改善にもWindowsのフルアップデートが必要なケースがありましたが、新構造ではOSのバージョンを問わず機能を追加・修正できます。
エンタープライズ向けには、グループポリシーを使って特定コンポーネントをロックダウンしたり、組織全体のStartメニュー設定を統一したりできる管理機能も追加される予定です。
Reactからの撤退が意味するもの
WinUI 3への移行は、開発効率より性能と使い勝手を優先するという方針転換です。2023年のChain React 2023イベントでMicrosoftは「Reactへのベットは、Windowsの主要体験においても続ける」と明言していました。この方針を撤回したことは、Webベース技術がコアなOS体験の基盤には合わなかったという実質的な認定といえます。
Windows 11のStartメニューは2021年のリリース以来、ライブタイルの廃止やカスタマイズ性の大幅な制限が批判を受け続けてきました。今回の再構築は、積み重なったフィードバックへの最も直接的な回答です。Startメニューが速く、思い通りにカスタマイズできるものになれば、Windows 11に感じてきた日々の不満の多くが解消されます。
