ターミナル上でDeepSeek V4が自律的にコードを書き、ファイルを操作し、Gitを管理する。追加のランタイムは不要で、単一バイナリを置くだけで動く。
このツールが「DeepSeek TUI」です。2026年1月に公開されたオープンソースのコーディングエージェントで、2026年5月5日にv0.8.12がリリースされました。GitHubスター数は6,700を超えています(2026年5月時点)。
この記事でわかること:
- DeepSeek TUIとは何か、どんな課題を解決するか
- Plan・Agent・YOLOの3つのモードの違い
- インストール手順とAPIキーの設定方法
- v0.8.12で追加された主な機能
- 料金と他のコーディングエージェントとの比較
DeepSeek TUIとは
DeepSeek TUIは、DeepSeek V4モデルをターミナル上で操作するコーディングエージェントです。Rust製の単一バイナリとして配布されており、Node.jsやPythonのランタイムは不要です。
Claude Codeを代表とするコーディングエージェントはすでに複数存在しますが、DeepSeek TUIには2つの独自の強みがあります。DeepSeek V4 Proの100万トークンのコンテキストウィンドウを最大限に使えること、そして現在のプロモーション価格が他の主要モデルに比べて大幅に安いことです。
解決する課題
コーディングエージェントを長期間使うと、コストとランタイムの管理が問題になります。Claude Codeは高品質ですが、大量にトークンを消費する長時間タスクでは費用がかさみます。
DeepSeek TUIはこの点を補う設計になっています。DeepSeek APIのプロモーション価格(2026年5月31日まで)は、入力が100万トークンあたり$0.435、出力が$0.87です。さらにプレフィックスキャッシュが有効な場合、キャッシュされた入力は$0.003625と大幅に安くなります。
また、単一バイナリで動くため、Node.jsやPythonの環境構築なしにどこでも実行できます。
主な機能
DeepSeek TUIに含まれるツールスイートは以下です。ファイルの読み書き、シェルコマンド実行、Gitの操作、Web検索・閲覧、パッチ適用、サブエージェントの起動、MCPサーバーへの接続がそのまま使えます。
注目の機能として「RLM(Reasoning Language Model)クエリ」があります。これは1〜16個のdeepseek-v4-flashサブエージェントを並列実行し、バッチ分析や並列推論を行う仕組みです。単独の推論では時間がかかる調査タスクを、フラッシュモデルで高速・低コストに分担させられます。
LSP診断も組み込まれています。編集のたびにrust-analyzer、pyright、typescript-language-server、gopls、clangdが自動で走り、エラーや警告をモデルのコンテキストに直接渡します。エラーを修正するためにもう一度プロンプトを送る手間がなくなります。
セッションをチェックポイントとして保存し、後から再開する機能も持ちます。長時間かかるリファクタリングや調査作業を途中で一時停止し、翌日から続けられます。
3つのモード
DeepSeek TUIには用途に合わせて3つのモードがあります。
Planモードはコードやファイルを変更せず、コードベースの探索・分析だけを行います。何をするか確認したい場合に使います。
Agentモードは実行前に操作ごとの承認を求めます。危険なコマンドが意図せず実行されるリスクを防ぎながら作業を進められます。
YOLOモードはすべての操作を自動承認して実行します。信頼できる環境でのバッチ処理や自動化に向いています。
モード切り替えはターミナル上でインタラクティブに行えます。
v0.8.12の主な追加機能
2026年5月5日リリースのv0.8.12では、20件以上のコミュニティPRが取り込まれています。
推論強度の自動選択(reasoning_effort auto)が追加されました。プロンプトの内容からモデルが推論コストを自動判断します。デバッグ・エラー系はMaxモード、検索・参照系はLowモード、それ以外はHighモードという動作です。不必要に高コストの推論を使わない設計になっています。
Vimモーダル編集も導入されました。コンポーザーでノーマル・インサートモードが使えます。ターミナル作業に慣れているユーザーにとって自然な操作感で記述できます。
FIMEdit(fill-in-the-middle)ツールも追加されました。DeepSeekの/betaエンドポイントを使い、既存コードの特定箇所だけを外科的に書き換えます。ファイル全体を上書きするよりも精度が上がります。
インストールと初期設定
npmが使える環境であれば1コマンドで導入できます。
npm install -g deepseek-tui
npmを使わない場合はCargoでもインストールできます。
cargo install deepseek-tui-cli --locked
cargo install deepseek-tui --locked
2つのバイナリ(deepseekとdeepseek-tui)を同じパスに置く必要があります。片方だけ入れると起動時にエラーが出ます。
初回起動時にDeepSeek APIキーの入力を求められます。APIキーはhttps://platform.deepseek.com/api_keysから取得できます。入力したキーは~/.deepseek/config.tomlに保存されます。
deepseek doctor
設定後に上記コマンドを実行すると、環境が正常か確認できます。
Linux x64/ARM64、macOS x64/ARM64、Windows x64のプリビルドバイナリがGitHub Releasesから直接ダウンロードできます。
料金の目安
DeepSeek V4 Proの現在の価格(プロモーション期間:2026年5月31日まで)です。
| 項目 | 価格 |
|---|---|
| 入力トークン | $0.435 / 100万トークン |
| 出力トークン | $0.87 / 100万トークン |
| キャッシュ入力 | $0.003625 / 100万トークン |
DeepSeek TUI自体は無料のOSSで、APIキーの利用料のみがコストになります。プロモーション期間終了後の通常価格は入力$1.74、出力$3.48です。
Claude Codeとの違い
Claude CodeとDeepSeek TUIはどちらもターミナル上で動くコーディングエージェントですが、使うモデルと料金体系が異なります。Claude CodeはAnthropicのClaudeモデル専用で、ブラウザUIやWeb機能との連携が強みです。DeepSeek TUIはDeepSeek V4に特化しており、プロモーション価格でのAPI直接利用が前提です。
MCPサーバーへの接続は両方でサポートされているため、外部ツールとの連携は同様に行えます。
DeepSeek TUIはNVIDIA NIM、Fireworks、セルフホストのSGLangなど、OpenAI互換APIを持つプロバイダーにも接続できます。DeepSeek公式API以外のルートで利用することも選択肢に入ります。
まとめ
DeepSeek TUIはDeepSeek V4の大規模コンテキストを活かした、ターミナル専用のコーディングエージェントです。単一バイナリで動くシンプルな設計、3つのモードによる安全制御、RLMによる並列推論、LSP診断の組み込みが特徴です。v0.8.12では推論強度の自動選択やFIMEditが追加され、実用性が上がっています。現在のプロモーション価格は2026年5月31日までです。