TeamsのチャットからAIに複雑な調査や文書作成を依頼し、結果をそのままチャンネルに投稿してもらう——そんな使い方が現実になった。

Perplexityは2026年5月4日、AIエージェント「Computer」をMicrosoft Teamsで利用できるようにしたと発表した。TeamsアプリにPerplexity Computerを追加するだけで、チャット画面を離れることなくAIエージェントに業務を任せられる。

この記事でわかること

  • Perplexity ComputerがTeamsで何を解決するか
  • チャットや@メンションで使える具体的な機能
  • 自動化できる業務の種類と連携できるアプリ
  • Skills・Spacesの新機能
  • セキュリティと権限管理の仕組み
  • 導入手順と料金の概要

https://www.perplexity.ai/hub/blog/computer-at-work

Perplexity Computerとは

Perplexity Computerは、AnthropicのClaude Opus 4.6を主要な推論エンジンとしつつ、Google GeminiやxAI Grok、OpenAI GPT-5.2など20種類以上のAIモデルをオーケストレーションするAIエージェントだ。ユーザーが「目標」を自然言語で伝えると、Computerはタスクをサブタスクに分解し、それぞれを最適なモデルに割り当てる。リサーチ、コード生成、ファイル作成、メール送信まで一貫して実行し、セッションをまたいでコンテキストを保持する。

もともとPerplexity社内のSlackボットとして生まれ、2026年2月に個人向けMax加入者へ、3月に法人向けEnterpriseとして提供が始まった。Slackでの実績を経て、今回Teams対応が実現した形だ。

ツールを行き来するコストをなくす

Teamsを主な業務ハブとして使っているチームにとって、これまでPerplexityはTeamsの外にある別のツールだった。調査の結果をコピーしてTeamsに貼る、レポートをどこかで作ってTeamsに共有する、といった手作業が伴う。

ComputerのTeams統合は、このコンテキストスイッチングをなくす。Teamsのチャット画面でAIに依頼し、調査も文書生成も連携アプリとのやりとりもその場で完結する。作業ログもTeamsに残るので、チームメンバーが同じ問いを別のタイミングで使うことも容易になる。

Teams内でできること

Perplexity ComputerのTeamsアプリをインストールすると、次の方法でComputerを呼び出せる。

DMで直接チャット——「@Perplexity Computer」にDMを送り、リサーチ、文書作成、データ分析などを依頼する。チームメンバーを巻き込まず、個人の調査や草稿作成に使いやすい。

チャンネルや会話でメンション——チャンネルや会議チャットで@Perplexity Computerとメンションして指示を出す。Computerの返答はスレッドに投稿されるため、チャンネルが散らかりにくい。Teams上で行ったワークフローはperplexity.ai/computerからも確認でき、どちらからでも続きを操作できる。

ファイル添付——質問に文書を添付して(1ファイルあたり最大50MB)、内容を踏まえた分析や要約を依頼できる。

引用付き回答——Webや社内のTeamsメッセージから参照した情報には番号付きの引用が付く。出典元をたどって検証しやすい。

複数アプリをまたぐワークフロー自動化

Computerが真価を発揮するのは、複数のツールをまたぐ複合タスクだ。たとえば次のような依頼を一文で実行できる。

「Notionにある製品仕様書を取得して、それをLinearのチケットに分解し、進捗を毎日#product-updatesチャンネルに投稿してほしい」

SharePoint、Outlook、OneDrive、GitHub、Notion、Snowflake、Databricksなど数百のアプリと接続でき、MCPを使ったカスタムコネクタも追加できる。データサイエンスチームにSQL発行を依頼せずとも、Snowflakeのデータウェアハウスに自然言語で問いを立てて分析結果を受け取ることも可能だ。

スケジュール実行にも対応している。一度設定したワークフローを定期的に実行させておけば、オフライン中でも作業が進む。

5月4日に追加されたSkillsとSpaces

Teams対応と同時に、法人向けの2つの機能が追加された。

Skills——Computerの動作をチームの業務スタイルに合わせて事前設定する機能だ。たとえば「このチームでは競合調査のアウトプットを必ずA4形式で出力する」といったルールをSkillとして登録しておくと、以降の依頼に自動で適用される。PRDの生成やリード顧客への個別アウトリーチ草稿など、繰り返しパターンのある業務に適している。

Spaces——チームが知識をプロジェクト単位で整理する共有ワークスペース機能だ。競合分析、ユーザーフィードバック、技術ドキュメントなどをSpacesにアップロードすると、チームメンバー全員がその文脈に基づいた回答を引き出せる。個人の調査だけでなく、チームの共有知識を活用した問い合わせが可能になる。

セキュリティと権限管理

Teamsアプリのセキュリティ設計は次の通りだ。

SOC 2 Type II認定済みのインフラ上で動作し、通信・保存データとも暗号化される。Computerがデータをモデルの学習に使うことはない。Teamsのネイティブな権限モデルを踏襲しており、各ユーザーは自分がアクセス権を持つコンテンツのみ検索・参照できる。Enterprise向けには管理者が監査ログで全クエリの確認が可能で、コネクタごとにアクセス権限を細かく制御できる。

個人レベルで認証するため、自分のアカウントで繋いだTeamsのデータは他の組織メンバーから参照されない。共有スレッドで使うとスレッド内のメンバーには回答が見えるため、機密性の高い調査はDMで行うのが適切だ。

導入手順

  1. TeamsのAppsセクションで「Perplexity Computer」を検索する
  2. 「Add」をクリックし、権限を確認して「Add」を選択する
  3. Perplexityアカウントとの接続を完了させる
  4. DM画面またはチャンネルの@メンションからComputerと会話を開始する

法人環境ではITアドミンがMicrosoft EntraでPerplexityアプリへの組織全体の同意を事前に付与する必要がある場合がある。

利用に必要なプラン

ComputerはPerplexity Maxプラン以上の加入者が利用できる。個人向けMaxは月額200ドル(年払いで月額換算167ドル)、法人向けEnterprise Maxは月額325ドル(ユーザー単価)だ。法人向けのSnowflakeやDatabricksのデータコネクタ、管理者コントロール、監査ログはEnterprise Maxで利用できる。

Microsoft CopilotやGeminiとの違い

Microsoft 365に組み込まれたCopilotはMicrosoftのモデル体系に依存する。Google GeminiはWorkspaceとの統合が中心だ。これに対してPerplexity Computerは、20種類以上のモデルをタスクごとに最適なものへ自動ルーティングするマルチモデル設計を採る。特定ベンダーのモデルに縛られず、各タスクで最もパフォーマンスの高いモデルが動く点が設計上の差異だ。ただしAnthropicやOpenAIなどのAPI提供者との関係に依存するリスクは内在する。

Teamsを主な業務拠点にしている組織には、チャット画面を離れずにAIエージェントが動く体験は試す価値がある。特にSnowflakeやDatabricksを使っているデータ重視のチームや、複数ツールをまたぐ繰り返しワークフローが多いチームには実用的な恩恵が大きい。