OpenClaudeが約2週間で3世代分のアップデートを重ねた。
v0.6.0が登場した2026年4月26日から10日間で、v0.7.0・v0.8.0・v0.9.0と3回のメジャーバージョンが公開され、プロジェクトレベルのRAGメモリ、GPT-5.5対応、LSP統合、SDKランタイムなど機能の規模が大きく変わった。GitHubスターは26,000に迫っている。
この記事でわかること:
- v0.7〜0.9で追加された機能の全体像
- プロジェクトレベルRAGメモリの仕組みと使い方
- GPT-5.5・xAI・Opus 4.7など新たに使えるモデル
- SDKとコンテキスト分割が開発ワークフローをどう変えるか
https://github.com/Gitlawb/openclaude
v0.6.0から何が変わったか
OpenClaudeはv0.6.0の時点で「複数プロバイダーに対応したOSSコーディングエージェントCLI」として注目を集めた。Claude Codeのコードベースをベースに開発されており、OpenAI互換API・Gemini・Ollama・GitHub Modelsなど様々なバックエンドをひとつのターミナルワークフローで扱える点が特徴だ。
v0.6.0からv0.9.0にかけて、単なる「プロバイダー選択を増やしたフォーク」から独自のSDKと永続メモリを持つエージェント基盤へと性格が変わっている。
v0.7.0:RAGメモリとGPT-5.5対応
v0.7.0(2026-04-26)の目玉は、プロジェクトレベルの永続メモリとGPT-5.5対応の2点だ。
プロジェクトレベルKnowledge Graph+RAG
プロジェクト内の知識を永続的に保持できる「Knowledge Graph+RAG」が追加された。RAG(Retrieval-Augmented Generation、検索拡張生成)はモデルが回答を生成する前に関連情報を検索して文脈に加える技術で、コードベースやドキュメントの内容をセッションをまたいで引き継げるようになる。
会話のたびに「このプロジェクトの構成は〜です」と説明し直す手間が省け、長期的なコーディングタスクでのコンテキスト再投入コストが減る。
GPT-5.5(Codexプロバイダー)サポート
CodexプロバイダーでGPT-5.5が使えるようになった。Codex OAuthに対応しており、ChatGPTのサブスクリプション(Plus・Pro)をそのまま認証に使える。OpenAI APIキーを別途取得する必要がない点が実用上の利点だ。
openclaude
# 起動後 → /provider → Codex OAuth → ChatGPTでサインイン
xAI(Grok)公式プロバイダー追加
xAIが公式プロバイダーとして加わった。/providerコマンドからGrokモデルを選択でき、APIキーを設定すればすぐに利用できる。
Hook Chains統合
自己修復エージェントメッシュのMVPとしてHook Chains runtimeが統合された。エージェントがツール実行の失敗を検知して自動でリカバリーするフックチェーンを設定できる仕組みで、長い自動化タスクでの途中停止を減らす。
v0.8.0:LSP統合とSDK基盤の整備
v0.8.0(2026-05-02)はコードインテリジェンスとSDK構築基盤の2本柱だ。
LSP統合(コードインテリジェンス)
LSP(Language Server Protocol、コードエディタが補完・定義ジャンプ・参照検索に使うプロトコル)とのファーストクラス統合が実現した。エージェントがコードベースの型情報や参照グラフを活用でき、より正確な補完や修正を行えるようになっている。
Opus 4.7がデフォルトモデルに
デフォルトモデルがClaude Opus 4.7に変更された。別プロバイダーを選択している場合は影響しないが、デフォルト設定のまま使っていたユーザーは起動時のモデルが変わる点に注意が必要だ。
コンテキストプリロードとハイブリッドコンテキスト戦略
会話開始前にプロジェクト情報をプリロードし、実行中は重要度に応じてコンテキストを動的に切り替えるハイブリッド戦略が追加された。v0.9.0のコンテキスト分割と組み合わせることで、長い作業セッションでのトークン消費を効率化できる。
SDK基盤(Core・Foundation)
権限システム・非同期コンテキスト・エンジン拡張を含む「SDK Core」と、型宣言・エラー処理・ユーティリティを提供する「SDK Foundation」が追加された。v0.9.0のSDKランタイムへの布石となる変更だ。
v0.9.0:SDKランタイムとコンテキスト分割
v0.9.0(2026-05-05)はSDKの完成とコンテキスト管理の強化が中心だ。
SDKランタイム(クエリエンジン・セッション・ビルドパイプライン)
OpenClaude上でエージェントアプリを構築するためのSDKが一通り揃った。クエリエンジンでAPIリクエストを制御し、セッション管理で複数のエージェント実行を追跡し、ビルドパイプラインでプラグインやスキルを配布できる。
v0.8.0のSDK CoreとFoundationと合わせて、OpenClaudeをベースにした独自エージェントを開発する基盤が整備された形だ。
コンテキスト分割と関連性ベースのプルーニング
コンテキストウィンドウを複数のパーティションに分割し、現在のタスクと関連性が低い部分を自動で削除する仕組みが入った。コンテキスト上限に近づいたとき、無関係な会話履歴や古いファイル情報が整理されるため、長いコーディングセッションでの精度低下が抑えられる。
自己ホスト型Firecrawl対応
FIRECRAWL_API_URL環境変数を設定することで、自前のFirecrawlサーバーをWebフェッチバックエンドとして使えるようになった。FirecrawlはMarkdown変換付きのWebスクレイピングAPIで、プライベートなWebフェッチ環境を構築したい場合に役立つ。
インストールと主要な使い方
npm install -g @gitlawb/openclaude
openclaude
起動後、/providerでプロバイダーを設定する。Codex OAuthを使う場合、/providerからChatGPTのサインインページが開き、クレデンシャルが安全に保存される。ChatGPT Plus/Proのサブスクリプションを持っている開発者は、追加のAPIキー取得なしにGPT-5.5をコーディングエージェントとして使える。
Ollamaでローカルモデルを動かす場合は以下の設定が最速だ。
export CLAUDE_CODE_USE_OPENAI=1
export OPENAI_BASE_URL=http://localhost:11434/v1
export OPENAI_MODEL=qwen2.5-coder:7b
openclaude
またはOllamaのlaunchコマンドを使うと環境変数の設定を省略できる。
ollama launch openclaude --model qwen2.5-coder:7b
エージェントごとに異なるモデルを割り当てる「Agent Routing」は~/.openclaude.jsonに設定する。例えばExploreエージェントには軽量モデル、Planエージェントには高性能モデルを割り当てることで、コストと精度のバランスを調整できる。
{
"agentRouting": {
"Explore": "deepseek-v4-flash",
"Plan": "gpt-4o",
"default": "gpt-4o"
}
}
v0.6.0との違いまとめ
v0.6.0の時点では「プロバイダー選択の自由度」が主な差別化要因だった。v0.9.0時点では、プロジェクトレベルのRAGメモリ、LSPによるコードインテリジェンス、SDKによる拡張開発基盤、コンテキスト分割による長期タスク耐性が加わり、単なるClaude Codeの代替という位置づけを超えてきている。
Codex OAuth対応でOpenAI APIキーなしにGPT-5.5を使える点は、サブスクリプション契約済みのユーザーにとって特に実用的な変化だ。