ChromeがひっそりとPCに4GBのファイルを保存していることが話題になっています。
この記事でわかること:
- ファイル「weights.bin」の正体とGemini Nanoとの関係
- どのPCに保存されているか(ハードウェア要件)
- 削除しても再ダウンロードされる理由
- Gemini Nanoを停止・削除する具体的な手順
4GBファイル「weights.bin」の正体
このファイルの正体は、GoogleのオンデバイスAIモデル「Gemini Nano」の重みデータです。
ファイル名は「weights.bin」で、Chromeのユーザーデータフォルダ内の「OptGuideOnDeviceModel」というディレクトリに保存されています。
- Windows:
%LOCALAPPDATA%\Google\Chrome\User Data\OptGuideOnDeviceModel - macOS:
~/Library/Application Support/Google/Chrome/OptGuideOnDeviceModel
この問題を最初に広く知らせたのは、コンピュータサイエンティスト兼弁護士のAlexander Hanff氏です。macOSのカーネルファイルシステムログを解析することで、バックグラウンドでのダウンロードを確認しました(参考)。
どのPCに保存されているか
すべてのChromeユーザーが対象ではなく、以下のハードウェア要件を満たす端末に自動でダウンロードされます。
- OS: Windows 10/11、macOS 13以降、Linux、ChromeOS(Chromebook Plus)
- ストレージ: 空き容量22GB以上
- GPU / CPU: VRAM 4GB超のGPU、または16GB以上のRAMと4コア以上のCPU
- ネットワーク: 無制限接続(従量制でないこと)
ダウンロード状況は chrome://on-device-internals で確認できます。「Model Status」タブにモデルのバージョン・インストールパス・フォルダサイズが表示されます。
削除しても自動で再ダウンロードされる
ファイルを手動で削除すると、次回Chromeを起動したタイミングで4GBのダウンロードが再度始まります。ユーザーへの通知はありません。
Chromeのソフトウェア更新と同じ仕組みで、内部フラグが有効なままであれば削除しても繰り返し再取得されます。
Gemini NanoはAIモードとは別物
誤解が多いのは「ChromeのAIモードとの関係」です。アドレスバーに表示されるAIモードの機能は、このローカルモデルを使っていません。AIモードの検索処理はGoogleのクラウドサーバーで行われています。
Gemini Nanoが実際に使われているのは以下の機能です。
- 「Help me write」(文章作成支援)
- 詐欺検出機能
- 開発者向けSummarizer API
これらを使っていない場合、4GBのファイルはほぼ用途のない状態で保存されていることになります。
Googleの公式見解
Android Authorityの取材に対し、Googleは以下のコメントを発表しています(参考)。
「Gemini NanoをChromeに搭載しているのは2024年からです。詐欺検出などのセキュリティ機能と開発者向けAPIを、ユーザーデータをクラウドへ送らずに動かすためのものです。デバイスのストレージが少ない場合は自動でアンインストールされます。2026年2月から、設定画面でモデルをオフにする機能を提供しています」
クラウド処理では入力データがGoogleのサーバーへ送信されますが、Gemini Nanoはすべての処理を端末内で完結させます。プライバシーの観点ではオンデバイスの方が安全です。
ただしHanff氏は、ユーザーの同意なしにEU圏の端末へ大量のデータをダウンロードすることはGDPR違反にあたると主張しており、今後の法的な動きが注目されます。
Gemini Nanoを停止・削除する手順
Chrome設定から無効化
Chromeの「設定」→「システム」→「オンデバイスAI」をオフにします。この設定を変更するとモデルのダウンロードと更新が停止します。
chrome://flags から無効化
アドレスバーに chrome://flags を入力し、以下の2つのフラグを「Disabled」に変更します。
#optimization-guide-on-device-model#prompt-api-for-gemini-nano
変更後、Chromeを再起動します。
フォルダを削除する
フラグを無効にした後、Chromeを完全に終了した状態でOptGuideOnDeviceModelフォルダを削除します。
- Windows:
%LOCALAPPDATA%\Google\Chrome\User Data\内の「OptGuideOnDeviceModel」フォルダを削除 - macOS:
~/Library/Application Support/Google/Chrome/内の「OptGuideOnDeviceModel」フォルダをゴミ箱に移動し、ゴミ箱を空にする
フラグを無効にせずフォルダだけ削除した場合、次の起動時に再ダウンロードが始まります。
AIを使うなら止める必要はない
Chromeで「Help me write」や詐欺検出を使っている場合、Gemini Nanoを無効にするとこれらの機能が動作しなくなります。オンデバイス処理はクラウドへデータを送らないため、プライバシーを重視するなら有効のままにしておく選択肢もあります。
ストレージに余裕がない場合や、AI機能を一切使わない場合は、設定またはフラグから無効化することで4GBを取り戻せます。