PyTorchの使い方もわからない状態からGPTを自力で実装する——NeetCodeが2026年5月6日に公開した「Build your own GPT」は、そのゴールをブラウザだけで達成できるMLコースです。
https://neetcode.io/courses/build-your-own-gpt
この記事でわかること:
- NeetCodeの「Build your own GPT」コースの概要と特徴
- 36問がどのような構成でGPTの実装につながるか
- Karpathyの「Neural Networks: Zero to Hero」との関係
- ML未経験者がこのコースで学べる内容の範囲
- 料金と従来のNeetCodeコンテンツとの違い
MLを学ぶための「環境構築」がいつも最初の壁になる
PyTorchを使って機械学習を学ぼうとすると、多くの人が最初の段階でつまずきます。ローカル環境のセットアップ、GPUドライバの設定、ライブラリのバージョン衝突——「MLを学ぶ前にインフラで消耗する」という問題は珍しくありません。
加えて、独学でLLM(大規模言語モデル)の仕組みを学ぼうとすると、バックプロパゲーションの理解→MLPの実装→Transformerの理論と、体系的なロードマップがないまま散発的に情報を集めることになりがちです。
NeetCodeの新コースはこの2つの問題を同時に解消します。環境構築なしにブラウザ上でコードを書き、36問の問題を順に解くだけでGPTの実装に到達できる構成になっています。
36問でGPTへたどり着く構成
コースはAnthropicやOpenAIのエンジニアが公開している動画シリーズで知られるAndrej Karpathyの「Neural Networks: Zero to Hero」にインスパイアされて設計されています。KarpathyはこのシリーズでGPTをゼロから実装する過程をすべて動画で解説しており、2024年時点で機械学習の独学者に最も参照された教材の一つです。
NeetCodeのコースはその内容をLeetCode形式の問題セットに変換しています。「解説を読む」ではなく「自分でコードを書いて採点される」形式なので、受動的に動画を見るより定着しやすいという設計思想です。
問題の構成は大きく3つのフェーズに分かれます。
最初のフェーズでは数学的な基礎を扱います。勾配降下法(Gradient Descent)や損失関数の計算など、MLモデルの訓練に必要な概念を実装問題として解きながら身につけます。微積分の知識がなくてもコードを書きながら直感的に理解できる難易度に調整されています。
中間のフェーズではPyTorchの基本操作と自然言語処理(NLP)の実装を扱います。テンソル操作、モデルの定義、損失の逆伝播(Backpropagation)といったPyTorchの核心を、小さな問題単位で段階的に学びます。Transformerの注意機構(Attention)もこのフェーズで実装します。
最終フェーズでは、それまで習得した部品を組み合わせてGPTを構築します。具体的にはKarpathyのnanoGPT相当のモデルを自分の手で組み立て、テキスト生成まで動作させます。
NeetCodeが元々持つコンテンツとの位置づけ
NeetCodeはコーディング面接(技術面接)対策のプラットフォームとして知られており、データ構造・アルゴリズムの問題演習サービスとして350万人以上のユーザーを持ちます。
MLコンテンツ自体は2024年初頭に15問のセットとして先行公開されていましたが、今回の「Build your own GPT」は36問に増量し、GPT実装という明確なゴールを設けた独立したコースとして再構成されています。アルゴリズム問題と同じブラウザ内エディタでPyTorchのコードを書けるため、既存ユーザーはアカウントなしに追加設定なしでアクセスできます。
料金
問題の一部は無料で解けます。コース全体へのフルアクセスにはNeetCode Proのサブスクリプションが必要で、月額14ドル(年払いの場合)です。従来のアルゴリズム問題との統合パッケージのため、コーディング面接対策も同時に進める場合はコストパフォーマンスが高くなります。
類似コンテンツとの違い
同じくGPTの仕組みを学べるリソースとして、Karpathyの「Neural Networks: Zero to Hero」(YouTube、無料)やAndrej Karpathyが公開しているminGPT・build-nanoGPT(GitHub、無料)があります。これらはいずれも優れた教材ですが、動画を見ながら自分でコードを書く形式であり、フィードバックは自己採点になります。
Karpathyのコースとの最大の違いは、「提出・採点」がある点です。問題を解くと自動でテストが走り、コードが正しいかどうかすぐにわかります。コーディング面接に慣れたエンジニアにとっては、LeetCodeに近いインターフェースで機械学習の概念を習得できる点が利点になります。
一方、GPU環境を手元に用意した上でより実践的なモデル訓練やファインチューニングを学びたい場合は、fast.ai(無料、実用重視)やDeepLearning.AIのPyTorch関連コース(有料)の方が適しています。
まとめ
NeetCodeの「Build your own GPT」は、MLの基礎から始めてGPTの実装まで一本道で到達できるコース設計が特徴です。ブラウザ上で完結し、自動採点つきの問題形式を採用している点で、独学のMLコンテンツの中では取り組みやすい部類に入ります。
「Transformerの仕組みを理解したい」「PyTorchを触ったことがない状態からGPTの実装を経験したい」という目的であれば、試す価値のある選択肢です。