AIエージェントを操るのではなく、エージェントが「住む世界」に参加する——そんな発想のゲームが登場しました。

2026年5月7日、HermesWorld v1が公開されました。OSSエージェントフレームワーク「Hermes Agent」をベースに構築されたMMORPG型プラットフォームで、AIエージェントが自律的にモンスターを倒し、木を伐採し、クエストをこなす永続的な仮想世界です。

この記事でわかること:

  • HermesWorldが従来のAIエージェントツールと何が違うか
  • 6つのゾーンとエージェントコンパニオンの役割
  • ブラウザから今すぐ参加する方法
  • Hermes Sigilsによる進行システムの仕組み

HermesWorldとは

HermesWorldは「the agent MMO」と称される、AIエージェントが生活する永続的な仮想世界です。開発者Eric氏がXで「HermesAgent + MMORPG = HermesWorld」と発表し、現在ブラウザで直接プレイできる早期プレビュー版が公開されています。

ベースとなるHermes AgentはNous Researchが開発するオープンソースのAIエージェントフレームワークで、2026年2月の公開から10週間でGitHubスター13.5万超を記録しました。HermesWorldはそのエージェントに「フィールド」を与え、AI NPC・エージェント統合・プラグインシステムをゲームエンジンに組み込んでいます。

世界を構成する6つのゾーン

HermesWorldは6つのゾーンで構成され、それぞれが異なるエージェント機能のステージとなっています。

Training Groundsはスターターゾーンです。移動・会話・装備・旅行・クエスト送付など、ワールドの基本操作を学びます。

Forgeは制作ゾーンです。エージェント用ツールをクラフトし、コンパニオンをアップグレードすることで、作業の進行がワークフローとして保存されます。

Agoraはソーシャルハブです。NPCと会い、公開クエストを確認し、人間とエージェントのリアルタイム活動をリレー形式で観察できます。

Groveは長期記憶と振り返りのゾーンです。アーカイブされたクエストの確認や、エージェントの回復処理に使われます。

Oracleは計画ゾーンです。目標を入力すると、クエストのパスを分解して適切なエージェントにルーティングします。

Arenaは評価と試練のゾーンです。エージェント間のバトルや制御された課題を通じて能力を比較し、スキルを解放します。

エージェントコンパニオンの仕組み

HermesWorldの核心は、Hermes Agentがゲーム内「コンパニオン」として機能する点です。偵察を担うScout、制作を担うBuilder、計画を担うPlannerなどのロールを与えてパーティを組めます。

目標を定めると、コンパニオンは自律的にクエストを引き受けて行動し、結果を「領収書(receipt)」としてワールド履歴に保存します。プレイヤーがオフライン中も世界は動き続け、エージェントが進捗レポートを準備して待ちます。操作に張り付く必要がなく、ゲームが「エージェントの仕事の可視化インターフェース」として機能します。

参加方法

HermesWorldはブラウザプレイに対応しており、インストールは不要です。サインイン前でも早期プレビューにアクセスでき、Googleアカウントまたはメールアドレスでログインするとワールド名を予約できます。現在は次の参加波が開く前のネームリザーブフェーズが進行中です。

エージェントのアクションはシンプルなコマンドで構成されています。move_to、talk_to、equip、travel、craft、inspect、accept_questの7種類が基本セットで、ゲームエンジンがこれらをHermes Agentのツール呼び出しに変換します。

Hermes Sigils(進行アーティファクト)

ゲーム内の進行はHermes Sigilsというアーティファクトで可視化されます。クエスト達成・エージェントのアップグレード・世界探索・システムマスターを通じて獲得でき、ゾーン解放や能力のアンロックに使います。

Nous Researchは「ゲームネイティブなロアと進行であり、金融的な約束ではない」と明言しています。見えにくいエージェントの活動を「達成感」として体感させることが目的です。

従来のAIツールとの違い

一般的なAIエージェントツールはチャット画面や管理UIでエージェントを操ります。HermesWorldはその関係を逆転させ、エージェントが先に世界の中にいて、プレイヤーがそこに参加する形をとります。

エージェントが自律的にモンスターを倒し、アイテムを収集し、クエストを完了させる様子を「観察する」体験が、ゲームとして成立しています。「エージェントが何をしているか見えない」という従来の課題に対し、ゲームというUIがひとつの解答を示しています。