自然言語のプロンプト1本で、STEP形式の3Dモデルが手元に生成される。
「text-to-cad」は、AIコーディングエージェントと連携してCADモデルを生成するオープンソースのハーネスです。Claude CodeやCodex CLIから自然言語で部品を指示すると、build123d(PythonベースのCADライブラリ)のソースコードが自動生成され、STEP/STL/3MFなどのファイルへ出力されます。2026年5月7日時点でGitHubのスター数が2,200を突破し、同日のアップデートでSTEP生成速度が従来比4倍に向上しました。
この記事でわかること:
– text-to-cadの仕組みと解決する課題
– 同梱されているスキルの役割と対応フォーマット
– セットアップ手順(Python・Node.js)
– CAD Explorerでのモデル確認方法
– 最新アップデートの変更点
解決する課題
3Dモデルを設計するには通常、SolidWorksやFusion 360などのGUIツールを使い、スケッチ→フィーチャー操作を手動で積み重ねる必要があります。AIに依頼しようとしても、ジオメトリをテキストで正確に記述するのは難しく、出力がSTEPやSTLのファイルではなくテキスト説明にとどまるケースも多いです。
text-to-cadはこの課題を、build123dとAIコーディングエージェントのスキル機能を組み合わせて解決します。エージェントがbuild123dのPythonコードを生成し、ハーネス側がそれをSTEPファイルへ変換します。「100mm×60mmのブロックに8mmの穴を4つ開けて」という指示から、寸法通りの3Dモデルが生成されます。ソースがPythonファイルとして残るため、Gitで変更履歴を管理しながら繰り返し修正できる点も特徴です。
同梱スキルと対応フォーマット
https://github.com/earthtojake/text-to-cad
リポジトリには3種類のスキルが同梱されています。
CADスキルが中核です。STEP/STL/3MF/DXF/GLBへのエクスポートと、ローカルWebビューア「CAD Explorer」との連携を担います。生成したジオメトリに@cad[...]という参照ハンドルを付与する機能もあり、エージェントが後続の編集で部品を正確に指定できます。
URDFスキルは、ロボットの関節・リンク定義をURDF XMLとして出力します。CADスキルで生成したメッシュと組み合わせてROS環境へそのまま持ち込めます。
Robot Motionスキルは、ROS 2/MoveItのセットアップ、逆運動学(IK)、経路計画に対応しています。ロボットアームの動作シミュレーションまでローカル環境で完結できます。
各スキルは.agents/skills/以下に格納されており、Codex用のパスとClaude Code用のシンボリックリンクが両方用意されています。どちらのエージェントからも同じスキルを利用できます。
セットアップ手順
Python 3.11以上とNode.jsが必要です。以下の手順で環境を構築します。
git clone https://github.com/earthtojake/text-to-cad.git
cd text-to-cad
# CADスキルのPython依存関係をインストール
python3.11 -m venv .venv
./.venv/bin/pip install -r .agents/skills/cad/requirements.txt
# CAD ExplorerのNode.js依存関係をインストール
npm --prefix .agents/skills/cad/explorer install
インストール完了後、以下のコマンドでCAD Explorerをローカル起動します。
npm --prefix .agents/skills/cad/explorer run dev
あとはClaude CodeまたはCodex CLIを開き、自然言語でパーツを指示するだけです。エージェントがbuild123dのソースを生成し、scripts/stepコマンドでSTEPファイルへ変換します。生成されたファイルはCAD Explorerでブラウザから即座に確認できます。
ロボット関連のワークフローを使う場合はURDFスキルの依存関係を追加でインストールします。
./.venv/bin/pip install -r .agents/skills/urdf/requirements.txt
最新アップデート(2026年5月)
2026年5月7日のアップデートでパフォーマンスと品質に関する改善が加わりました。
STEPファイルの生成とレンダリング速度が従来比4倍に向上しました。複雑なアセンブリや繰り返しの生成ループでの待ち時間が大幅に短縮されます。
スキルワークフローの構成も整理されました。以前はcadref・snapshot・generatorと複数のスクリプトに分かれていた処理が、scripts/step・scripts/inspect・scripts/render・scripts/dxfの4コマンドに集約されています。
OCP(OpenCascade)アーティファクトの発生数も削減されています。出力ジオメトリに混入するノイズが減り、後工程の加工データやシミュレーションへそのまま利用しやすくなります。
ベンチマークで検証済みの10モデル
リポジトリには10種類のベンチマークモデルが収録されています。矩形のキャリブレーションブロック、フランジ付き円形部品、Lブラケット、ステップシャフト、電子機器用エンクロージャ、クレビスブラケット、ラジアルエンジンシリンダー、遠心インペラー、螺旋階段、遊星歯車アセンブリなど、機械部品として典型的な形状が揃っています。いずれも自然言語の1プロンプトで生成できることが確認されており、ツールの精度を手軽に確かめられます。
既存アプローチとの違い
Fusion 360やOnShapeのAI支援機能はGUIベースのCADツール内で動作するため、CLIやエージェントとの連携は限定的です。text-to-cadはエージェントのスキルとしてインストールする設計のため、既存のコーディングワークフローにそのまま組み込めます。また生成結果がPythonコードとして残るため、バイナリのSTEPファイルだけが存在する状態と比べて変更の追跡・再利用が容易です。利用料は無料、ライセンスはMITです。
まとめ
text-to-cadは、AIコーディングエージェントが書いたbuild123dコードをSTEP形式に変換するOSSハーネスです。CAD Explorer・URDFスキル・Robot Motionスキルを含む一式がローカルで動き、外部サービスへの送信なしに3DモデルからROS向けのロボット記述まで出力できます。GitHubスターは2026年5月時点で2,200を超え、Shopify・Tencent・Zendesk のチームでも利用されています。Claude CodeやCodex CLIをすでに使っているなら、セットアップは数分で完了します。