LangChainが提供するAI開発観測プラットフォーム「LangSmith」が、2026年5月8日からリモートMCPサーバーとして利用できるようになりました。
この記事でわかること:
- LangSmithのリモートMCP対応で何が変わったか
- APIキーなしで接続できる仕組み
- Claude CodeおよびCursorへの設定手順
- 利用できるツールの一覧
https://docs.langchain.com/langsmith/langsmith-remote-mcp
APIキーもローカルサーバーも不要になった
従来のLangSmith MCPサーバーを使うには、ローカルでサーバープロセスを起動し、LANGSMITH_API_KEYなどの環境変数を設定する必要がありました。Claude CodeやCursorのMCP設定ファイルにAPIキーを直接記述するため、鍵の管理や環境ごとの設定変更に手間がかかっていました。
リモートMCP対応によって、この煩雑さがなくなりました。エンドポイントURLを1つ設定するだけで接続でき、認証はOAuth 2.1が自動的に処理します。ローカルへのインストールは不要です。
OAuth 2.1の動的クライアント登録で認証を自動化
認証にはOAuth 2.1と動的クライアント登録(RFC 7591)を採用しています。MCP対応クライアントが初回接続時に自動で登録処理を行うため、事前にクライアントIDを発行する作業は発生しません。
認証の流れは次のとおりです。初回接続時、クライアントがブラウザで認証URLを開きます。LangSmithへログインして同意すると、アクセストークンとリフレッシュトークンが発行されます。以降はトークンが自動更新されるため、毎回ログインする必要はありません。
アクセス権限はLangSmithのユーザーアカウントおよびワークスペース設定に従って制御されます。対応リージョンはUS(GCP)、EU(GCP)、US(AWS)の3つで、それぞれ専用のエンドポイントが用意されています。
Claude CodeとCursorへの接続手順
Claude Code
プロジェクトの.mcp.jsonに以下を追加します。
{
"mcpServers": {
"langsmith": {
"type": "http",
"url": "https://api.smith.langchain.com/mcp"
}
}
}
あるいは以下のコマンドでユーザー全体にインストールすることもできます。
claude mcp add --transport http -s user langsmith https://api.smith.langchain.com/mcp
設定後、/mcpコマンドでlangsmithを選択するとOAuth認証フローが始まります。認証が完了すると、mcp__langsmith__<ツール名>の形式でツールが呼び出せるようになります。
Cursor
mcp.jsonに以下を追加します。初回接続時にOAuth認証が自動的に起動します。
{
"mcpServers": {
"LangSmith": {
"url": "https://api.smith.langchain.com/mcp"
}
}
}
OpenAI Codex CLIは現時点で対応していません。OAuth認証フローで必要なRFC 8707のresourceパラメーターが省略される実装上の問題があり、認証が通ったように見えてもinitializeがエラーになります。
利用できるツール一覧
リモートMCPサーバーから呼び出せるツールは、スタンドアローン版と同一です。
会話・スレッド管理: get_thread_historyでスレッドのメッセージ履歴をページ単位で取得します。
プロンプト管理: list_promptsでワークスペースのプロンプト一覧を取得し、get_prompt_by_nameで特定のテンプレートを参照します。push_promptで新しいプロンプトを登録することもできます。
トレース・実行記録: fetch_runsでプロジェクトのトレースやランを取得します。フィルター条件としてrun_type、エラー有無、FQL(LangSmith Filter Query Language)などを指定できます。list_projectsでプロジェクト一覧も確認できます。
データセット管理: list_datasets、list_examples、read_datasetなどで評価用データセットを操作します。create_datasetやupdate_examplesはドキュメント参照用のツールとして提供されており、実際の作成・更新はSDKで行います。
実験・評価: list_experimentsでデータセットに紐づく実験の指標(レイテンシ・コスト・フィードバック統計)を確認します。
課金情報: get_billing_usageで期間を指定してトレース数などの使用量を取得します。
セルフホスト環境では従来版を使う
リモートMCPはLangSmith Cloud(SaaS)のみ対応で、セルフホスト環境には使えません。セルフホストLangSmithを運用している場合は、従来どおりスタンドアローン版のMCPサーバーを自環境で起動し、LANGSMITH_ENDPOINTを自環境のURLに向ける設定が必要です。
認証セッションが失効した場合、Claude Codeでは/mcpから対象サーバーを選択して再認証できます。Cursorはサーバー設定を無効化・再有効化することで認証フローが再起動します。
APIキーを設定ファイルに書かずにLangSmithのデータにアクセスしたい開発者や、複数のMCPクライアントで同じアカウントを使い回したい場面で、リモートMCPは実用的な選択肢になります。