ターミナル・エディタ・AIアシスタントを3つ起動しながらコードを書く、そんな作業が一つのウィンドウで完結するようになりました。

Terax は2026年4月に公開されたオープンソースのAIネイティブターミナルで、インストールサイズは約7MB。macOS・Linux・Windowsに対応しており、ターミナル、コードエディタ、ファイルエクスプローラー、AIサイドパネルを一体化しています。

この記事でわかること:

  • Teraxが解決する開発環境の分散問題
  • マルチタブターミナル・コードエディタ・AIパネルの主な機能
  • AIプロバイダーの設定方法とローカルモデルへの接続手順
  • v0.6.1で追加されたDeepSeekサポートとスプリットペイン
  • WarpやElectronベースのターミナルとの違い

AIがターミナルに来るまでの問題

コーディング中にAIを使うとき、ターミナル・エディタ・ブラウザ・チャットツールを4ウィンドウ並べるパターンは珍しくありません。AIからの提案をコピーし、エディタに貼り、ターミナルで確認し、エラーをまたAIに渡す——この往復が生産性を削りつづけます。

Teraxはこの問題に対して「すべてを一つのウィンドウに収める」という方向で答えています。バックエンドはRust製のネイティブPTYプロセス、UIはReact 19とxterm.jsで構築されており、ElectronベースのアプリとはNode.jsランタイムの有無という点で設計が根本的に異なります。

主な機能

ターミナル

xterm.jsとWebGLレンダラーを組み合わせており、描画は高速です。zsh・bash・PowerShellなどをネイティブPTYで起動し、マルチタブでバックグラウンド実行を継続できます。シェル統合スクリプトが自動的に挿入され、作業ディレクトリの追跡やプロンプトマーカーが動作します。インライン検索、リンク検出、フルカラー表示にも対応しています。

コードエディタ

CodeMirror 6ベースのエディタが組み込まれており、TypeScript・JavaScript・Rust・Python・HTML/CSS・JSON・Markdownの言語サポートが標準で入っています。AIによるインライン補完と編集差分(edit diff)の表示が利用でき、提案内容をその場で確認してから適用できます。Vimモード、およびTokyo Night・Nord・GitHub・Atom One・Aura・Copilot・Xcodeなどのプリセットテーマも備えています。

AIサイドパネル(BYOK)

AIはBring Your Own Key方式です。OpenAI・Anthropic・Google・Groq・xAI・Cerebras・DeepSeek・OpenAI互換エンドポイントに対応しています。ローカルモデルはLM Studioのエンドポイントを指定することで、インターネット接続なしに動作します。

APIキーはシステムのOSキーチェーン(Keyring)に書き込まれ、ディスク上のファイルには保存されません。音声入力、編集差分のプレビュー、マルチエージェント・サブエージェント構成も利用できます。プロジェクト固有の指示はリポジトリ内の TERAX.md に記述することで、モデルやシステムプロンプトをプロジェクトごとに管理できます。

ファイルエクスプローラーとWebプレビュー

Catppuccinアイコンテーマを採用したファイルエクスプローラーが左ペインに表示されます。ファジー検索、キーボードナビゲーション、インラインリネームを備えており、ターミナルを離れずにファイル操作が完結します。

Webプレビュー機能はローカルの開発サーバーを自動検出し、プレビュータブとして開きます。next devvite で起動したサーバーを別ブラウザで確認する手間が省けます。

AIプロバイダーの設定手順

Settings → AI からプロバイダーを選び、APIキーを貼るだけです。LM Studioのローカルモードを使う場合は、LM StudioのエンドポイントをカスタムBase URLとして指定します。

Settings → AI → Provider: OpenAI-compatible
Base URL: http://localhost:1234/v1
API Key: (空欄のままでも可)

LM Studio側でモデルを起動しておけば、APIキーなしでチャットと補完が動作します。v0.6.1から「Keyless providers」として扱われるようになったため、キー入力フォームがなくても接続できます。

v0.6.1の変更点

2026年5月10日にリリースされたv0.6.1では、以下が加わっています。

DeepSeekプロバイダー追加:xAI・Cerebrasなどと並んでDeepSeekを直接選択できるようになりました。DeepSeek V4などのモデルをAPIキーで使えます。

スプリットペイン:ターミナルを左右に分割できます。長時間実行のコマンドを片側で走らせながら、もう片側で作業を続けられます。

プレビュータブのピン留め:一時的に開いたプレビュータブを固定タブに昇格させられます。開発サーバーの確認画面を常時表示したいときに便利です。

ショートカットカスタマイズ:Settings → Shortcutsタブから任意のキーバインドに変更できます。既存ターミナルのキーバインドから移行しやすくなっています。

WarpやElectronターミナルとの違い

Warpも同様にAI統合ターミナルですが、初回起動にアカウント登録が必要で、フル機能にはサブスクリプションが伴います。Electronベースのターミナルはインストールサイズが100MBを超えることがあります。

TeraxはTauri 2のシステムWebViewを利用するため約7MBに収まり、テレメトリは一切なく、アカウント作成も不要です。AIはすべてBYOKで、クラウドへのデータ送信を避けたい場合はLM Studioとの組み合わせで完全ローカルで動作します。

GitHubスターは1,262(2026年5月11日時点)で、公開から約3週間でコントリビューターが増えています。Apache 2.0ライセンスで公開されており、商用プロジェクトへの組み込みも可能です。