複数のAIエージェントを同時に走らせ、終了条件を満たすまで自律実行させる機能がClaude Codeに追加された。
2026年5月11日、Claude Code v2.1.139がリリースされた。目玉は2つ——全セッションを一覧管理する「Agent View」と、完了条件を設定して自律実行させる /goal コマンドだ。どちらも「AIに任せたまま別の作業ができる」状態を実現するための機能で、Claude Codeの利用スタイルを大きく変える可能性がある。
この記事でわかること:
- Agent Viewで複数セッションを一画面から同時管理する方法
- /goalコマンドの仕組みと効果的な条件の書き方
- /loop・Stop hookとの使い分け
- 並列実行時に気をつけるべき制限事項
https://code.claude.com/docs/en/agent-view
Agent Viewが解決する問題
Claude Codeで複数のタスクを走らせると、「どのセッションが何をしているか」「どのセッションが入力待ちになっているか」が把握しにくかった。セッションごとにターミナルを開いて個別にスクロールして確認する作業が必要だった。
Agent Viewはこの問題を解消する。claude agents コマンドで開く全セッションの一覧画面で、実行中・入力待ち・完了をひと目で確認できる。
Agent Viewの画面構成
claude agents を実行すると、以下のような一覧が表示される。
Pinned
✽ auth-migration Edit src/auth/TokenService.ts 2m
Needs input
✻ api-refactor needs input: REST継続かGraphQL移行か? 1m
Working
✽ test-suite run 12 · 3 failures remaining 2m
✢ nightly-check run 8 · 次回実行まで4分
Completed
∙ lint-check result: 0 errors, 12 warnings fixed 9m
アイコンがセッションの状態を示す。アニメーション(✽)はClaude作業中、黄色(✻)はユーザーの入力待ち、緑色は完了、赤色はエラー終了だ。✢ は /loop セッションで、次回実行までのカウントダウンが表示される。
キーボード操作は以下の通り。
| ショートカット | 動作 |
|---|---|
Space |
選択中のセッションをプレビュー表示 |
Enter または → |
セッションにアタッチ(全画面表示) |
← |
セッションをデタッチしてAgent Viewに戻る |
Alt+1〜Alt+9 |
N番目のセッションに直接アタッチ |
Ctrl+T |
セッションをピン留め |
Ctrl+X |
セッションを停止(2秒以内に再押下で削除) |
? |
ショートカット一覧を表示 |
セッションはターミナルを閉じても動き続ける。Agent Viewを終了してもバックグラウンドプロセスが維持されるため、PCがスリープ・シャットダウンしない限り実行が継続する。
セッションの開始方法
Agent ViewのBottom入力欄にプロンプトを入力して Enter を押すと新しいセッションが起動する。シェルから直接バックグラウンドセッションを起動するには --bg フラグを使う。
claude --bg "テストが全部通るまでバグを修正して"
既存のインタラクティブセッションをバックグラウンドに送るには、セッション内で /bg を実行する。複数のリポジトリを持つ親ディレクトリでAgent Viewを開き、@<リポジトリ名> でプロンプト内で対象リポジトリを指定することで、特定のディレクトリに向けてセッションを起動することもできる。
/goalコマンドの仕組み
https://code.claude.com/docs/en/goal
/goal は「完了条件を満たすまで自動的に作業を続けさせる」コマンドだ。設定すると、Claudeはターンを繰り返すたびに条件を評価し、満たされていなければ次のターンを自動で開始する。
/goal test/authの全テストがパスし、lintエラーがゼロの状態
評価はHaiku相当の小型モデルが担当する。作業しているモデル自身が自己評価するのではなく、別モデルが客観的に判定するため精度が高い。評価はターンが終わるたびに走り、「条件を満たしているか否か」と短い理由をAgennt Viewや会話ログに表示する。
効果的な条件の書き方
評価モデルはコマンドを実行しない。Claudeが会話の中で示した出力から判断するため、「Claudeが出力で証明できるもの」を条件にする必要がある。
悪い例:
/goal コードが整理された状態
良い例:
/goal npm testが終了コード0で終わり、git statusがcleanな状態
ターン数や時間で上限を設定することもできる。想定外の無限ループを防ぐために明示的な上限を入れておくと安心だ。
/goal 全テストがパスするか、20ターンが経過したら停止
条件は最大4,000文字まで書ける。「変えてはいけない制約」も含めると精度が上がる。例えば「他のテストファイルは変更しない」などの制約を加えると、ゴールへの過程でClaude が望まない変更をした場合に評価が通らなくなる。
引数なしで /goal を実行すると、現在の条件・経過時間・ターン数・トークン消費量が確認できる。キャンセルは /goal clear(stop、off、cancel なども有効)。
非インタラクティブモードでの実行
-p フラグと組み合わせることで、条件が満たされるまでを1回のコマンド呼び出しで完結できる。
claude -p "/goal CHANGELOG.mdに今週マージされた全PRのエントリがある状態"
/loopやStop hookとの使い分け
Claude Codeには自律実行の仕組みが複数ある。
| 方法 | 次のターンの起点 | 停止条件 |
|---|---|---|
/goal |
前のターン終了後 | モデルが条件を満たしたと判定したとき |
/loop |
設定した時間間隔 | 手動停止またはClaude自身の判断 |
| Stop hook | 前のターン終了後 | 独自スクリプトまたはプロンプト |
/goal は現在のセッションにだけ有効なワンタイム設定で、設定方法が最もシンプルだ。Stop hookはsettingsファイルに記述して全セッションに恒久的に適用できる。定期的な繰り返しには /loop、「この条件を満たすまで」という終了点があるバッチ処理には /goal が適している。
/goal と「自動承認モード(Auto mode)」は補完関係にある。Auto modeは1ターン内のツール呼び出しを自動承認し、/goal はターンをまたいだ繰り返しを管理する。両方を組み合わせることで、人間の介入なしに長時間作業が完結する。
注意点
Agent Viewはリサーチプレビューであり、インターフェースや挙動は変わる可能性がある。また、並列実行にはいくつか制限がある。
クォータの消費速度: 10セッションを同時実行するとクォータを10倍の速度で消費する。並列数はプランの使用量と相談しながら決める必要がある。
ローカル実行: セッションはローカルマシン上で動作する。PCがスリープ・シャットダウンすると停止するが、claude respawn --all で全セッションを再起動できる。
ファイルの競合: Agent Viewから起動した複数セッションが同一ファイルを編集するとコンフリクトが発生する。Claudeは自動的にgit worktreeを作成して分離するが、セッションを削除するとworktreeも削除される。変更を保持する場合は削除前にmergeまたはpushしておく必要がある。
ホストの要件: disableAgentView がmanaged settingsで設定されている場合、Agent ViewとAgent Viewからの /goal は使用できない。
まとめ
Claude Code v2.1.139で追加されたAgent Viewと /goal は、AIコーディングの「監視コスト」を下げるための機能だ。Agent Viewで複数セッションの状態をひと目で把握し、/goal で終了条件を設定することで、開発者は毎ターン介在せずに長時間の作業を委ねられる。使用量の消費スピードには注意が必要だが、独立した複数タスクを並列に進めたい場面では威力を発揮する。