スクリーンショットの山、増え続けるダウンロードフォルダ、消えない一時ファイル。Windows 11の日常メンテは、OS標準機能だけでは手が回りにくい場面が多いです。技術系メディアXDA Developersの記事では、ライターがAnthropicのエージェント型AI「Claude Cowork」でPowerShellスクリプトを自作し、3つの困りごとを数時間で解決した事例が紹介されています(参考)。
この記事では、公式ドキュメントと報道をもとに、Claude CoworkでWindows 11を整備する手順と、読者が応用できる3つの具体例を整理します。
この記事でわかること
- Claude CoworkがWindows整備に使える理由と前提条件
- ファイル整理・デブロート・一時ファイル削除の3つの活用パターン
- 生成スクリプトを定期実行する設定の考え方
- Windows 11 Homeなど、動作しない環境と注意点
Claude Coworkとは何か
Claude Coworkは、AnthropicがClaude Desktopアプリ内で提供するエージェント型AIです。Claude Codeと同じエージェント基盤を、ターミナルを開かずに使える形にしたもので、チャットのように1問1答するのではなく、複数ステップの作業を自律的に進めます。指定フォルダ内のファイルを直接読み書きでき、PowerShellスクリプトの生成や実行も任せられます。
利用には有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)とClaude Desktopのインストールが必要です。WindowsではPro、Enterprise、Education版のx64環境が対象で、Windows 11 HomeはHyper-V管理サービス(vmms)がないため動作しません。PowerShellでGet-Service vmmsを実行し、サービスが見つからない場合はCoworkは使えません(GitHub Issue #43915)。
Windows 11の整備で困る3つの典型課題
XDA Developersの記事で挙がった課題は、多くのユーザーに共通するものです。
まずファイル整理です。Win+Shift+Sでスクリーンショットを保存すると、Screenshot-2026-03-06-182107のような無意味なファイル名でScreenshotsフォルダに溜まります。日付やサイズで並べ替える以外の整理手段はOSにありません。ダウンロードフォルダも同様で、重複PDFや一度きりのインストーラーがフラットな構造のまま残ります。
次にデブロートです。Chris Titus TechのWinUtilなど、コミュニティで信頼されているツールは存在します。ただし選択肢は開発者が決めた範囲に限定され、自分のワークフローに合わせた細かい調整は難しいです。
最後に一時ファイルの削除です。Windows 11はキャッシュ、エラーレポート、ログを複数の場所に蓄積します。場所を知っていても、作業のたびに手動で掃除するのは負担です。
活用例1 スクリーンショットとダウンロードの自動整理
Coworkへの指示はシンプルです。対象フォルダを指定し、「ファイル種別でサブフォルダに分類する」「内容がわかる名前にリネームする」「削除はしない」と伝えます。記事の著者は数分でフォルダの見た目が変わったと報告しています。
ここで重要なのは「削除しない」を最初から明示することです。AIが生成する整理スクリプトは、誤って重要ファイルを消すリスクがあります。移動とリネームに限定すれば、安全に試せます。
定期実行はCoworkのスケジュール機能(Routines)で設定できます。週1回や隔週など、頻度を指定すればフォルダが自動で整います。なお、Desktopアプリのローカルスケジュールタスクはアプリが起動中かつPCがスリープしていないときだけ動きます(Claude Code Docs)。完全なバックグラウンド実行には、生成したPowerShellスクリプトをWindowsタスクスケジューラに登録する方法もあります。
活用例2 自分専用のデブロートスクリプト
汎用デブロートツールとの違いは、削除対象を自分で定義できる点です。Coworkに日常の使い方を伝えます。例えば「動画編集ソフトは残す」「ゲーム用のサービスは無効化しない」「使わないプリインストールアプリだけ外す」といった条件です。
Coworkは条件に合わせたPowerShellスクリプトを生成し、各削除処理にコメントを付けます。スクリプトを実行する前に、1行ずつ内容を確認してください。サービス停止やアプリ削除は元に戻すのに手間がかかります。
記事の著者は、Patch Tuesday(月例セキュリティ更新)のたびに設定が戻ることを避けるため、デブロートスクリプトも定期実行に登録しています。更新後にOSが再び膨らむ問題への対処として有効です。
活用例3 一時ファイルの定期クリーンアップ
3つ目は一時ファイル削除ユーティリティです。Coworkに9か所の一般的な一時フォルダをスキャンするツールを作らせます。最初はGUIで各フォルダの占有容量を表示し、削除前に確認を求める形式にします。数回動作を確認した後、GUIなしで週1回バックグラウンド実行し、解放した容量をテキストログに記録する設定に切り替えました。
Windows標準の「ディスククリーンアップ」でも一時ファイルは消せますが、対象フォルダや実行タイミングを自分で制御できません。Coworkで作ったツールは、スキャン対象とログ形式をカスタマイズできます。
Coworkを使うときの実践手順
実際に試す場合は、次の流れが安全です。
- Claude Desktopをインストールし、Coworkタブが表示されることを確認する
- 「Work in a folder」で作業フォルダを指定する
- やりたいことを日本語または英語で具体的に伝える(対象パス、削除の可否、実行頻度)
- 生成されたPowerShellスクリプトをエディタで全文確認する
- テスト用のコピーフォルダで動作確認してから本番フォルダに適用する
- 問題なければRoutinesまたはタスクスケジューラで定期実行を設定する
著者がGitHub上の第三者スクリプトを使わなかった理由は、OSに何が変更されるかを自分で把握したかったからです。AIに任せる場合も、最終的な実行判断はユーザー側に残すべきです。
注意点と限界
Claude Coworkは万能のWindows修復ツールではありません。まず環境制限があります。Windows 11 HomeではVMが起動できず、Coworkタブが「Setting up Claude’s workspace…」のまま進まない報告がGitHubに複数あります。Pro版でもHyper-VやVirtual Machine Platformが無効だと同様のエラーが出ます。
次にコストです。記事ではOpus 4.7やOpus 4.8を使ったとあり、フラッグシップモデルは有料プランでも消費が大きいです。単純なファイル整理なら、軽量モデルで十分な場合もあります。
デブロートは特に慎重に。Microsoft公式が推奨しない変更を加えると、更新やサポートに影響します。スクリプトは必ずレビューし、システムの復元ポイントを作成してから実行してください。
最後に、記事著者自身が指摘するように、これらの整備は「画期的な新機能」ではありません。ファイル整理、不要機能の整理、一時ファイル削除は、現代のOSが本来備えるべき基本機能です。それでもMicrosoft Copilotが標準で提供していない現状では、Coworkで自分用の整備ツールを数時間で揃える選択肢は、Windows 11ユーザーにとって実用的な落としどころになります。