メールと資料が別アプリに散らばると、プロジェクトの背景を追うだけで時間が溶けていきます。
Google WorkspaceのAsk Gemini in Driveに、Gmailスレッドをソースとして直接取り込める機能が2026年6月3日から一般提供(GA)されました。Drive上でファイルとメールを横断して質問・要約・文脈抽出ができるため、GmailとDriveを行き来する手間を減らせます。
この記事でわかること
- Ask Gemini in DriveのGmail連携で何が変わったか
- 具体的な使い方と活用例
- 対象プランと展開スケジュール
- プライバシーと共有時の注意点
Drive内のAIがGmailスレッドをソースに追加
Ask Gemini in Driveは、Google Drive上で複数の資料をまとめてAIに質問できるフルスクリーンの作業画面です。これまでソースとして追加できたのはDrive上のファイルとフォルダだけでしたが、Gmailのスレッドもソースに含められるようになりました。
Googleは、メール・ファイル・フォルダを横断した「業務文脈の全体像(complete view of business context)」に基づいて回答できると説明しています。長いメールのやり取りの要約、資料と受信トレイの内容の照合、複数スレッドに散らばった決定事項の抽出などが、Driveを開いたまま実行できます。
なぜGmail連携が必要だったか
業務では、契約書や議事録はDriveに、交渉の経緯や承認メールはGmailに置かれることが多いです。Ask Gemini in Driveがファイルだけを参照していた時期は、メール側の情報をAIに渡すためにGmailへ切り替える必要がありました。
Microsoft 365 CopilotもOutlookとOneDriveをMicrosoft Graph経由で横断参照する方向に進んでおり、GoogleもWorkspace内でメールとファイルを一つの文脈として扱う競争が続いています。今回の更新は、Driveを情報整理の拠点に据えるGoogle側の回答です。
主な変更点
公式発表によると、今回のGAで追加された要点は次のとおりです。
- GmailスレッドをAsk Gemini in Driveのソースとして追加可能
- メール添付や関連Driveファイルと合わせて分析できる
- マルチターンの対話で、文脈を保ったまま深掘りできる
- 回答には引用(citation)が付き、元のメールやファイルを確認できる
新規会話を開始すると、Drive・Gmail・Chat・Calendarの検索設定はデフォルトでオン、Web検索はオフです。Gmail全体を常に参照するのではなく、ユーザーがソースとして選んだスレッドや、検索設定で有効にした範囲が対象になります。
使い方
利用には、対象プランとWorkspaceのスマート機能の有効化が必要です。管理者側では、Drive向けGemini for Workspaceが有効なら本機能もデフォルトで利用可能です。
基本的な手順は次のとおりです。
- drive.google.comを開く
- 右上の「Ask Gemini」をクリックする
- 左パネルの「Your sources」または「Project sources」から「Add」を選ぶ
- ファイル、フォルダ、またはGmailのメールをソースとして追加する
- プロンプト欄に質問を入力する
Google Driveヘルプでは、次のような質問例が示されています。
- 「Q1のクライアントフィードバックを要約し、最新の製品デッキに基づいて今日の通話で触れるべき要件をリストアップして」
- 「Q2の運用アップデート全体で言及されたリスク上位3件を特定して」
- 「火曜のマーケティング定例のメモを読み、ソーシャルチームに関係する未完了のアクション項目を要約して」
Engadgetの報道では、「Jenkinsプロジェクトの承認メールを探して」のように、特定のメールを探す用途も紹介されています(参考)。
Driveプロジェクトとの組み合わせ
ソースを固定した「Driveプロジェクト」として保存することもできます。プロジェクト名はGeminiがソース内容から自動提案し、同じ資料セットを基に複数の会話を続けられます。
ただしGmailソースの扱いには制限があります。追加したメールは本人だけが参照でき、プロジェクトを共有しても共同編集者は添付メールの件数しか見えません。件名や本文は表示されず、共同編集者のGeminiプロンプトにもメール内容は使われません。
対象プランと展開スケジュール
2026年6月3日から、最大15日かけて段階的に展開されています。Rapid ReleaseとScheduled Releaseの両ドメインが対象です。
利用できるプランは次のとおりです。
- Business Standard / Business Plus
- Enterprise Standard / Enterprise Plus
- Google AI Pro / Google AI Ultra(個人向け)
- Google AI Pro for Education
- AI Expanded Access
Business Starterや一部のEducationプランは対象外です。利用前に、組織の契約プランと管理者設定を確認してください。
プライバシーと注意点
GmailをAIに渡す機能だけに、慎重な運用が求められます。Googleは、ユーザーが意図的にGmailスレッドをソースとして追加した場合にのみ処理すると説明しています。Digital Trendsも、自動的に受信トレイ全体を走査するわけではない点を報じています(参考)。
それでも機密メールをソースに含める際は、共有プロジェクトへの誤追加や、AI回答のハルシネーション(事実と異なる生成)に注意が必要です。Google Driveヘルプでも、回答は必ず引用元と他の信頼できる情報源で確認するよう促しています。
ソースが多すぎるとコンテキスト上限を超え、一部の内容しか反映されない場合もあります。重要な判断材料は、AIの要約だけに頼らず原文を確認する習慣が有効です。
既存のGmail内Geminiとの違い
Gmail単体にもGeminiサイドパネルがあり、スレッドの要約や返信案の作成ができます。Ask Gemini in DriveのGmail連携は、Driveを起点に複数ファイルと複数メールを束ねて分析する用途向けです。
メール1本の要約ならGmail内、プロジェクト全体の文脈整理ならDriveのAsk Gemini、と使い分けると効率が上がります。