右クリックメニューは、File Explorerで毎日触れる操作の入口です。Windows 11では、表示の遅さや項目の増殖が長年の不満でした。2026年6月、Microsoftが速度向上・シンプル化・カスタマイズの3方向で改善に着手したことをMarcus Ash氏が公表しています。

この記事では、Microsoftが何を変えようとしているのか、プレビュービルドで確認できる変更、一般ユーザーと上級者それぞれにとっての意味を整理します。

この記事でわかること

  • Windows 11右クリックメニューの主な不満点
  • Microsoftが約束した3つの改善方針
  • プレビュービルドで試験中の「Manage file」メニュー
  • カスタマイズ機能がもたらすメリットと懸念
  • 今すぐ試せる代替手段

右クリックメニューが抱えていた課題

Windows 11のコンテキストメニュー(右クリックで開く操作一覧)は、2021年のOS公開時にWindows 10版の整理を目的として刷新されました。角丸のFluent Design(Microsoftのデザイン言語)を採用し、「Open」と「Open with」を近くに置くなど、項目の並び替えも行われています。

しかし5年後の今も、不満は解消されていません。Windows Latestの検証では、ClipchampやNotepad、Copilotなどのアプリ拡張が遅延読み込みされ、メニュー表示後に項目が追加されるため誤クリックが起きやすいと報告されています(参考)。低スペックPCでは数秒かかるケースもあります。

加えて、項目数の増加で画面の大部分を占めるほど縦に長くなり、余白の多さからWindows 10版より大きく感じるという指摘も続いています。「Show more options」を押すと従来のWindows 10形式メニューが開く二段構造も、操作の手数を増やす要因です。

Microsoftが約束した3つの改善

2026年6月3日、WindowsおよびデバイスのDesign and Researchを率いるMarcus Ash氏がXで改善方針を示しました。

working on making context menus faster, simpler by default, configurable to what you use most. more will be shared on our approach soon.

参考

要点は次の3点です。

速度 — 遅延読み込みされる拡張項目が原因の表示遅延と、メニュー表示後のサイズ変化を解消する。

デフォルトの簡素化 — 初回表示の項目数を減らし、画面占有を抑える。

カスタマイズ — よく使う操作を優先表示し、不要な項目を外せるようにする。

Marcus Ash氏は詳細なUIや提供時期は「soon(近日中)」とだけ述べており、正式リリース日は未発表です。Neowinの報道では、Experimental Channelのプレビュービルドが先行する見込みとされています(参考)。

この動きは、2026年3月にMicrosoftがWindows 11の基盤改善(K2と呼ばれる取り組み)を表明し、Satya Nadella氏がファン取り戻しのため基礎機能に注力すると述べた流れの一部です。タスクバーの移動やStartメニューの小型化など、UI全体のカスタマイズ強化と並行して進められています。

プレビュービルドで見えている具体変更

改善の予告に先立ち、MicrosoftはInsider Preview Build 26220.7271(2025年11月21日配信)でFile Explorerのコンテキストメニューをすでに調整しています(Windows Insider Blog)。

主な変更は次のとおりです。

  • 「Compress to ZIP file」「Copy as Path」「Set as Desktop Background」、画像の回転操作を「Manage file」という入れ子メニューに集約
  • OneDriveなどクラウド連携の「Always Keep on this Device」「Free Up Space」を各クラウドプロバイダーのサブメニューへ移動
  • 「Open Folder Location」を「Open」「Open with」の近くへ再配置

Windows Latestのテストでは、この変更でメニューの縦方向の占有が25%以上減る場合があると報告されています(参考)。「Manage file」という名称はInsider段階の仮称で、正式版では変更される可能性があります。

カスタマイズ中心の方針に対する評価

Josh Hawkins氏のMSN記事は、Microsoftの方針に対して慎重な見方を示しています(参考)。

上級者にとって項目の追加・削除は歓迎される一方、OSを深く触らない一般ユーザーにとっては、設定項目の増加そのものが新たな障壁になる恐れがある、という指摘です。Marcus Ash氏が「デフォルトはシンプル」と述べているものの、カスタマイズUIの露出度合いは未公開のため、日常利用者が設定なしで快適になるかは未知数です。

Hawkins氏は、詳細なカスタマイズはPowerToys(Microsoftが提供する上級者向けユーティリティ集)側に置き、OS本体はシンプルな初期状態を維持すべきだと提案しています。PowerToysはPowerRenameやFile Locksmithなど個別機能のコンテキストメニュー表示を設定画面から切り替えられますが、Windows 11標準メニュー全体を編集する機能は現時点では未搭載です(GitHub Issue #39019)。

今すぐ試せる対処法

正式なカスタマイズ機能を待つ間、次の方法で現状の不満を和らげられます。

「Show more options」の活用 — Shift+F10、またはShift+右クリックでWindows 10形式のレガシーメニューを一時的に開けます(Microsoft Q&A)。

PowerToysの整理 — 各ユーティリティの設定でコンテキストメニューへの追加を無効化すると、遅延読み込み項目が減り表示が軽くなる場合があります。

Insider Previewの確認 — Dev/Beta ChannelでBuild 26220.7271以降を使えば、「Manage file」によるコンパクト化を先行体験できます。

変更の意味

Microsoftは今回、右クリックメニューを「全員に同じ項目を見せるUI」から「利用頻度に合わせて調整できるUI」へ方向転換しようとしています。プレビュービルドの「Manage file」集約は、その第一歩として機能しています。

一方で、カスタマイズを前面に出す設計は、設定をいじらない大多数のユーザーにとって本質的な改善になるかは、UIの見せ方次第です。Marcus Ash氏が約束した「approach(方針)の詳細」が公開されるまで、Windows 11の右クリック体験が本当に変わるかどうかは、引き続き注視する必要があります。