Claude CodeのUIのまま、別モデルのAPIでコーディングエージェントを動かせる時代が来ています。中国発のMiniMaxが提供するMiniMax-M3を接続し、HermesとOpenClawを組み合わせれば、ターミナル・メッセージング・Web UIを横断する開発スタックを1か所から回せます。
この記事では、MiniMaxとClaude Codeの接続手順、Hermes・OpenClawとの連携方法、運用時の注意点を解説します。
- MiniMax-M3をClaude Codeに接続する設定手順
- Hermes AgentでMiniMaxをモデルプロバイダーにする方法
- OpenClawのWeb UIでエージェントを一元管理する流れ
- サードパーティ接続時に起きやすいコンテキスト設定の落とし穴
なぜMiniMaxをClaude Codeに接続するのか
Claude CodeはAnthropic公式のターミナル型コーディングエージェントです。ファイルの読み書き、シェルコマンドの実行、サブエージェントの起動まで、開発作業を自律的にこなします。一方で、利用モデルと料金体系はAnthropicのサブスクリプションやAPI課金に依存します。
MiniMax-M3は、コーディングとエージェント向けに最適化された大規模言語モデル(LLM)です。MiniMax Sparse Attention(MSA)というスパースアテンション方式により、最大100万トークンのコンテキストを扱えます。公式ドキュメントでは、入力512Kトークン以下の呼び出しが標準料金、それを超える長コンテキスト呼び出しは高料金帯になると説明されています。
MiniMaxはAnthropic互換のMessages APIを公開しており、Claude CodeはANTHROPIC_BASE_URLとANTHROPIC_AUTH_TOKENの2つの環境変数で接続先を切り替えられます。Claude Codeの操作感はそのままに、バックエンドのモデルだけをMiniMax-M3に差し替える構成です。
Claude Codeへの接続手順
前提条件
- Claude Codeがインストール済みであること
- MiniMax Developer PlatformまたはToken PlanからAPIキーを取得済みであること
- シェルに
ANTHROPIC_AUTH_TOKENやANTHROPIC_BASE_URLが残っていないこと
既存のAnthropic環境変数が残っていると、設定ファイルより優先されてしまいます。ターミナルでunset ANTHROPIC_AUTH_TOKENとunset ANTHROPIC_BASE_URLを実行し、~/.bashrcや~/.zshrcにexport行があれば削除してください。
settings.jsonの編集
~/.claude/settings.jsonを開き、envフィールドに以下を追加します。海外向けエンドポイントはhttps://api.minimax.io/anthropic、中国国内向けはhttps://api.minimaxi.com/anthropicです。
{
"env": {
"ANTHROPIC_BASE_URL": "https://api.minimax.io/anthropic",
"ANTHROPIC_AUTH_TOKEN": "<MINIMAX_API_KEY>",
"API_TIMEOUT_MS": "3000000",
"CLAUDE_CODE_DISABLE_NONESSENTIAL_TRAFFIC": "1",
"ANTHROPIC_MODEL": "MiniMax-M3",
"ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL": "MiniMax-M3",
"ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL": "MiniMax-M3",
"ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL": "MiniMax-M3",
"CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW": "512000"
}
}
CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOWは自動コンパクトの閾値を512,000トークンに設定する項目です。MiniMax-M3のコンテキスト上限に合わせた値として公式が推奨しています。API_TIMEOUT_MSは長時間のエージェント処理向けにタイムアウトを延長する設定です。
動作確認
プロジェクトディレクトリでclaudeを起動し、フォルダへのアクセスを許可します。起動後、TUI内で/statusと/modelを実行してください。/statusでANTHROPIC_BASE_URLがapi.minimax.io/anthropicを指していること、/modelでアクティブモデルがMiniMax-M3になっていることを確認します。
Hermes Agentとの統合
Hermes AgentはNous Researchが開発するオープンソースの自己改善型AIエージェントです。セッションをまたいだ記憶、40以上の組み込みツール、TelegramやDiscordなど複数チャネルへの接続に対応します。MiniMaxは公式ドキュメントでHermes Agentの対応プロバイダーとして案内されています。
MiniMaxの設定
ワンラインインストーラーでHermesを導入したあと、モデル選択コマンドを実行します。
curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash
hermes model
プロバイダー一覧から「MiniMax (global endpoint)」を選び、Token PlanのSubscription Keyを入力します。モデルはMiniMax-M3を選択してください。
手動設定する場合は、~/.hermes/.envにMINIMAX_API_KEYを記載し、~/.hermes/config.yamlでprovider: minimaxとmodel: MiniMax-M3を指定します。
Claude Codeへのタスク委譲
HermesはClaude Codeを外部コーディングエージェントとして呼び出せます。ワンショットの修正やリファクタリングにはclaude -pによるPrintモードが向いています。対話的な反復作業にはtmux経由のインタラクティブモードを使います。
claude -p 'src/配下のAPI呼び出しにエラーハンドリングを追加' --allowedTools 'Read,Edit' --max-turns 10
Hermesが全体の指揮を担い、実装の重い部分をClaude Codeに委譲する構成です。Claude Code側でMiniMax-M3が動いていれば、Hermesの推論とClaude Codeの実装が同じモデルファミリーで揃います。
OpenClawとの統合
OpenClawはオープンソースのエージェントゲートウェイです。Telegram、WhatsApp、Discordなど20以上のメッセージングチャネルに接続し、定期タスクや能動的な通知を実行できます。セットアップ時にMiniMaxをモデルプロバイダーとして選ぶと、OAuthでMiniMax API Platformにサインインする流れになります。
curl -fsSL https://openclaw.ai/install.sh | bash
インストールウィザードでQuickStartを選び、プロバイダーに「MiniMax」、認証方式に「MiniMax Global — OAuth (minimax.io)」を指定します。ブラウザで認可を完了すると、モデル選択画面でMiniMax-M3が有効になります。最後に「Open the Web UI」を選ぶと、OpenClawのダッシュボードが開きます。
OAuth経由でminimax-portalにログインした場合、OpenClawのimageツールはMiniMaxのImage Understanding MCPサーバー経由で自動設定されます。画像理解機能を追加設定なしで使えます。
3層構成でAIスタックを一元運用する
RoundtableSpace(0xMarioNawfal)の投稿が示す統合ワークフローは、役割分担が明確です。
| レイヤー | ツール | 役割 |
|---|---|---|
| 実装 | Claude Code + MiniMax-M3 | リポジトリ内のコード読み書き、テスト実行、git操作 |
| 指揮・記憶 | Hermes Agent | タスク分解、Claude Codeへの委譲、セッション横断の記憶 |
| 接続・監視 | OpenClaw | メッセージングチャネル連携、Web UIでの状態確認 |
Claude Codeはターミナルで深い実装作業を担当します。Hermesは「この機能を実装して」と指示を受け、必要に応じてclaude -pで実装を委譲します。OpenClawはスマホやチャットからエージェントに指示を送り、Web UIで稼働状況を確認する窓口になります。
コミュニティ製のMission Control Dashboardのような監視ツールを加えれば、Claude Code・Hermes・OpenClawの稼働状態をWebSocketでリアルタイム表示する構成も組めます。クラウド依存なしでローカル完結する点が、セルフホスト志向の開発者に向いています。
料金の目安
MiniMaxの課金はAPIキーの種類で分かれます。従量課金(Pay-as-you-go)ではMiniMax-M3の入力が512Kトークン以下の場合、公式価格表では入力$0.30/100万トークン、出力$1.20/100万トークン(50%割引適用時)です。Token Planは月額固定で、Plus $20/月(約17億トークン)、Max $50/月(約51億トークン)、Ultra $120/月(約98億トークン)の3段階があります。
Claude Code自体はAnthropicのサブスクリプション不要で、MiniMaxのAPIキーだけで動かせます。既存のClaude Pro/Max契約とは独立したコスト構造です。
注意点とトラブルシューティング
コンテキストウィンドウの誤検出
Claude CodeはサードパーティのAnthropic互換エンドポイントでは、モデルのコンテキスト上限を正しく検出できない既知の挙動があります。api.anthropic.com以外のURLを使うと、デフォルトの20万トークンとして扱われ、実際の容量より早く自動コンパクトが発火する場合があります。CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOWを512000に設定することで、この問題を回避できます。
環境変数の優先順位
ANTHROPIC_AUTH_TOKENとANTHROPIC_BASE_URLはsettings.jsonよりシェル環境変数が優先されます。設定を変えても反映されないときは、シェルとdotfilesの両方を確認してください。
Web検索の追加設定
MiniMax公式ドキュメントでは、Claude CodeでWeb検索を使う場合はWeb Search MCPの別途設定が必要と案内されています。コードベース内の作業だけなら追加設定は不要です。
次に試すこと
まずは単一リポジトリでClaude Code + MiniMax-M3の接続を確認し、/statusでエンドポイントを検証してください。問題なければHermesを導入し、簡単な実装タスクをclaude -pで委譲する流れを試します。最後にOpenClawのWeb UIを開き、チャット経由でHermesやClaude Codeに指示を送る運用に広げるのが現実的な段階的導入です。
