アップロードした資料だけを頼りに、調査から成果物まで一気通貫で進めたい——そんなニーズに応える形で、GoogleのAIリサーチツール「NotebookLM」が2026年6月8日、大型アップデートを公開しました。

この記事では、Gemini 3.5とAntigravityへの移行、チャット内でのソース探索、Studioの出力形式拡充の要点を整理します。

この記事でわかること

  • チャット強化の中身(モデル更新・コード実行・思考過程の可視化)
  • 新たに追加されたダウンロード可能な出力形式
  • ソース未整理の状態から調査を始める新しい流れ
  • 現時点で利用できるプランと提供範囲

何が変わったのか

Googleは公式ブログで、NotebookLMに「エージェント的なチャット能力」と「より高度な推論」を加えたと説明しています。起動から3年が経ち、資料の整理や要約に使われてきたツールが、複雑な調査プロジェクトまで扱える研究パートナーへと位置づけを変えています。

今回の更新は大きく3つに分かれます。チャット基盤の刷新、Studioでの成果物形式の拡充、そしてソース探索の手軽さ向上です。いずれも、資料を読むだけで終わらせず、分析と成果物作成までつなげる方向性が共通しています。

チャットがGemini 3.5とAntigravityに刷新

NotebookLMのチャットは、最新のGemini 3.5とAntigravity(Googleのコーディング基盤)上で動作するようになりました。Antigravityは、AIがコードを書いて検証するための環境を提供する仕組みで、今回はチャットの精度向上と推論過程の可視化に使われています。

各ノートブックには、セキュアなクラウドコンピュータが1台ずつ割り当てられます。NotebookLMはここでコードを書き、実行してデータ分析や深い調査を行えます。あわせて100以上の厳選されたソフトウェアスキルが組み込まれ、ノート内のソース理解の幅が広がります。

Googleの社内評価では、従来システムとの比較で主要5カテゴリの平均勝率が65%超(同率比で15ポイント上)に達したと報告されています。長文資料の分析では69.9%、Web上のソース発見と調査では78.2%の勝率を記録しています。CNETの報道でも、推論過程を見える化する機能がユーザーから強く求められていた点が、今回の改善の背景として触れられています(参考)。

Studioの出力形式が実務ファイルまで拡張

右側のStudioパネルでは、ソースから直接ダウンロードできる成果物の種類が大きく増えました。詳細な指示を与えれば、チャート入りPDFレポート、予算表のスプレッドシート、学習用ワークシートなども生成できます。生成後に編集を依頼することも可能です。

新たに対応した形式は次のとおりです。

  • データ可視化・チャート(PNG、SVG)
  • 文書(PDF、DOCX、Markdown、テキスト)
  • Nano Bananaによる画像(PNG、JPG、GIF)
  • 構造化データ(CSV、JSON)
  • Microsoft Excel(XLSX)
  • Microsoft PowerPoint(PPTX)

以前はAudio Overviewやレポート類が中心でしたが、今回の拡張で分析結果をそのまま社内資料やプレゼンに載せやすくなりました。Googleは今後さらに形式を追加する予定としています。

ソース探索がチャット内で完結する

これまでNotebookLMは、ユーザーがソースを揃えた状態で最も力を発揮するツールでした。今回からは、漠然としたアイデアや疑問からスタートし、チャット上でソース集めを進められます。

たとえば、他言語の一次資料を探したい場合や、気になった著者の関連作品を洗い出したい場合に、NotebookLMが調査の道筋を示します。Google検索と連携し、Web上の質の高いソースを見つけてノートブックへ追加する機能も備わっています。

重要なのは、追加するソースをユーザーが選べる点です。NotebookLMは登録したソースだけを根拠に回答し、各ソースへの帰属も明示されます。RAG(検索拡張生成)の仕組みで、アップロード資料に基づく回答を返す設計は変わっていません。信頼できる情報だけで作業を進めたい場面に向いています。

具体的な活用イメージ

Googleが示すユースケースは、職種をまたいで実務に直結する内容です。

国ごとにフォーマットがバラバラなデータを統合する研究者は、Web調査で文脈を補い、コードで正確な分析を実行し、チャートとPDFレポートにまとめられます。技術系のプログラムマネージャーは、複雑な仕様書を簡潔なガイド、スライド、ステップ別ロードマップへ変換できます。小規模事業者は、広告費と売上データを突き合わせ、キャンペーンの費用対効果を算出して拡張判断の材料にできます。

いずれも「読む→分析する→形にする」の一連の流れを、ノートブック内で完結させる設計です。

利用できるプランと提供状況

今回のアップデートは2026年6月8日から、Web版でグローバルに順次提供されています。対象はGoogle AI Ultraの加入者、およびAI Ultra AccessまたはAI Expanded Accessを持つWorkspaceビジネス顧客です。他のプランへの展開は「順次」とされており、現時点では上位プランからの提供となります。

NotebookLMは無料枠でも基本的な機能を使えますが、今回のGemini 3.5移行やコード実行、拡張出力形式はUltra層からのロールアウトです。自社の調査や資料作成で本格活用を検討する場合は、プラン要件を事前に確認しておくとよいでしょう。