Microsoft Azure CTOのMark Russinovich氏が、LinkedIn投稿用のテキスト整形ツール「LinkedIn Post Formatter」をオープンソースで公開しました。vibe coding(AI支援による自然言語ベースのコーディング)で作られたこのツールは、既存の無料整形サービスが抱える「単語ごとのコピペ」という不便さを、単一エディタ上のその場整形で解消します。
この記事では、公開の背景と主な機能、使い方、既存ツールとの違いを整理します。
- LinkedIn Post Formatterが解決する課題
- 太字・斜体・リストなどの主な機能
- GitHub Pagesでの利用方法とオープンソースの中身
- Microsoft傘下のLinkedInになぜ公式機能がないのかという論点
https://markrussinovich.github.io/LinkedIn-Formatter/
LinkedInの投稿整形が抱える課題
LinkedInの投稿欄はリッチテキストエディタではなく、太字や斜体を直接指定する機能がありません。そのため多くのユーザーは、Unicodeの特殊文字を使って見た目を整えています。
Russinovich氏自身もLinkedInで頻繁に投稿しており、既存の無料整形ツールには不満を持っていたと述べています。GeekWireの報道によると、多くの無料ツールは操作が煩雑で、単語を一つずつコピーして貼り直す必要があり、スムーズなその場整形(in-place formatting)に対応していないとのことです(参考)。
何が公開されたか
2026年6月、Russinovich氏はLinkedIn上で「LinkedIn Post Formatter」の公開を告知しました。ツールはGitHub Pages上で動作し、ソースコードはGitHubリポジトリ markrussinovich/LinkedIn-Formatter でMITライセンスのもと公開されています。リポジトリは2026年6月7日に作成され、TypeScriptで実装されています。
開発手法としてRussinovich氏は「vibe codeした」と明言しています。これはAIコーディング支援を使い、自然言語の指示でアプリを素早く組み立てる手法です。同氏は以前の講演で、vibe codingは複雑なソフトウェア開発を人間のプログラマーに置き換えるものではないと指摘しています。一方で、シンプルなWebアプリやプロトタイプの迅速な構築には有効だと認めており、今回のツールはその考え方を体現した事例と言えます。
主な機能
https://github.com/markrussinovich/LinkedIn-Formatter
READMEによると、エディタにはTipTapを採用し、ワードプロセッサと同様にテキストを選択してから装飾を適用する操作ができます。エクスポート時はLinkedInに貼り付け可能なプレーンテキストに変換されます。
装飾の種類は次のとおりです。
- 太字・斜体・太字斜体: サンセリフ系のUnicode文字に変換して出力
- リスト: 箇条書きと番号付きリストに対応。ネストしたリストはノンブレークスペースでインデント
- 絵文字: 検索可能なピッカーから挿入
- 文字数カウント: エクスポート後のテキストを基準に、フィード投稿の上限3,000文字を表示
- プレビュー: デスクトップとモバイルのフィード表示をシミュレーション。「もっと見る」折りたたみ位置の目安も切り替え可能
- ワンクリックコピー: 整形済みテキストをクリップボードにコピーし、LinkedInの投稿画面を開く
Markdownの貼り付けにも対応しており、見出しやコードブロック、引用などの一般的な記法をエディタ上の装飾に変換します。下書きの自動保存や、ブラウザ内での下書き管理機能も備えています。
なお、これはLinkedIn公式アプリではなく、投稿データはブラウザ内に留まります。LinkedInは貼り付け後のフォントや表示を最終的に制御するため、Unicode装飾は視覚的な演出であり、スクリーンリーダーでは太字として認識されない点に注意が必要です。
使い方
- GitHub Pagesの公開サイトにアクセスする
- エディタに投稿文を入力または貼り付ける
- テキストを選択し、ツールバーから太字・斜体・リストなどを適用する
- デスクトップまたはモバイルのプレビューで見え方を確認する
- 「Copy for LinkedIn」でコピーし、LinkedInの投稿欄に貼り付ける
ローカルで動かす場合は、リポジトリをクローンして npm install のあと npm run dev を実行します。本番ビルドは npm run build、テストは npm test で走らせられます。
既存ツールとの違い
従来の無料LinkedIn整形ツールの多くは、入力欄と出力欄を行き来しながら単語単位で変換するUIが主流でした。LinkedIn Post Formatterは単一のエディタペインで選択範囲に直接装飾を適用する点が大きな違いです。
文字数カウントとフィードプレビューを一体で備えている点も特徴です。プレビューの折りたたみ位置は、デスクトップ幅でおおよそ210文字、モバイル幅で140文字を目安に推定しています。LinkedIn側の仕様変更やUnicodeの扱い差異があるため、重要な投稿は必ずLinkedIn上で最終確認する必要があります。
MicrosoftとLinkedInをめぐる論点
Microsoftは2016年にLinkedInを262億ドルで買収しています。Russinovich氏の投稿コメント欄では、「LinkedInを所有する会社のCTOなのに、なぜ公式エディタに同機能がないのか」という指摘が複数寄せられました。Russinovich氏は「LinkedInのネイティブ投稿エディタに採用できれば理想的」との声にも触れています。
大手クラウド企業のCTOが個人の不便さからツールを自作し、OSSとして公開した点は、vibe codingの実用例としても注目に値します。LinkedIn投稿の見栄えを整えたい読者にとって、すぐ試せる選択肢が増えたといえます。