チャットで作ったツールは、会話を閉じると消えていきます。Buildyは、その問題を「URLとデータベースで残す」発想で解きます。
この記事では、2026年6月に公開されたBuildy(buildy.so)の仕組みと使い方を整理します。
この記事でわかること
- Buildyが解決する課題と、他のAIアプリ生成ツールとの違い
- ChatGPT・Claude・Codexなど複数AIでの利用方法
- 実際に公開されているサンプルアプリと、最初の1本を作る手順
チャットで作ったアプリが消える理由
ChatGPTやClaudeに「ToDoアプリを作って」と頼むと、CanvasやArtifacts上にUIが現れます。ただし、その画面は会話の中に閉じ込められます。別のチャットを開くと前の成果物に戻れないことも多く、データも永続化されません。
Buildyの開発者Michael Magán氏は、2026年6月9日のX投稿で「任意のAIを個人向けアプリビルダーに変える」と説明しています。BuildyはAIが書いたコードをホスティングし、公開URLとキーバリューストレージ(KV)を付与します。チャットを閉じたあとも、アプリは同じURLで開き続けます。
Buildyとは何か
Buildyは、AIエージェントが作成したWebアプリをホストするランタイムです。公式サイトのキャッチコピーは「Chat apps disappear. Buildy apps stick around.(チャットアプリは消える。Buildyアプリは残る)」です。
AIがESモジュール(必要に応じてUIとCSS)を生成し、Buildyがそれを受け取って公開URLを返します。同じアプリは次の3つの場所からアクセスできます。
- ブラウザで開ける通常のURL(ピン留め・共有も可能)
- スマートフォンの「ホーム画面に追加」によるPWA(Progressive Web App)
- Claude DesktopやChatGPTなど、MCP Apps対応クライアント内でのインライン表示
Codexの場合は、Buildyツールでアプリを生成し、インライン表示が使えないときはブラウザでURLを開くフォールバック動作になります。
主な機能
Buildyの核心は「永続性」「ポータビリティ」「一元管理」の3点です。
永続性 — アプリは公開URLでホストされ、KVストレージにデータが保存されます。公式ドキュメントによれば、コードを更新してもストレージの中身は消えません。
ポータビリティ — ChatGPTで作ったアプリを、Claudeから更新するといった使い方が可能です。MCP(Model Context Protocol)サーバーまたはHTTP APIを通じて、別のAIエージェントが同じアプリを読み書きできます。
AI連携 — MCP経由ではcreate_app、update_app、query_app、mutate_appなど16種類のツールが提供されます。HTTP API経由ではPOST /appで作成、PUT /app/{id}で更新できます。
最初の1アプリは無料で、保存を決めるまでサインアップ不要です。
対応しているAIと始め方
Buildyは特定のAIに縛られません。公式が案内する利用方法は次の3つです。
1. ChatGPTのAppsディレクトリから接続
ChatGPTのBuildyアプリ一覧ページからConnectを押すだけで利用できます。Developer modeは不要です。
2. サンプルアプリをリミックス
Hydration(水分摂取トラッカー)、Meals(食事・マクロ記録)、Flashcards(間隔反復学習)、Watchlist(映画・ドラマ管理)、Split(割り勘計算)、Lift(筋トレ記録)など、公開済みアプリを開くと編集可能なコピーが作成されます。
3. プロンプトをAIに渡す
Claude Code、Cursor、Codex、Cline、Windsurf、Continue、Zed、Gemini CLIなど、Web取得やHTTPリクエストができるエージェント向けに、次の1行プロンプトが用意されています。
Read https://buildy.so/start.md then help me create my first app.
このプロンプトは、Michael Magán氏のX投稿でも紹介されています。start.mdが利用環境(MCPツールかHTTP APIか)を判定し、ビルド手順を案内します。
Codexユーザーは、Tambo Labs公開のプラグインを追加する方法もあります。
codex plugin marketplace add https://github.com/tambo-labs/buildy-codex-plugin.git
Claude DesktopやGooseなどMCP対応クライアントでは、エンドポイントhttps://app.buildy.so/mcpをカスタムコネクタとして登録します。ChatGPT向けには別エンドポイントhttps://app.buildy.so/mcp/chatgptが用意されています。
似た名前のBuildy.aiとの違い
検索すると「Buildy.ai」という別サービスも見つかります。こちらはBill McIntosh氏が提供する7つのAIエージェントによるビジネス構築プラットフォームで、マーケティングや決済連携まで含むオールインワン型です。
今回紹介するBuildy(buildy.so)は、個人向けの小さなWebアプリをAIに作らせてURLで残すことに特化しています。目的と対象ユーザーが異なるため、混同しないよう注意が必要です。
作れるアプリの範囲と制約
Buildyが想定するアプリは、ローカル状態だけで完結するものです。公式のstart.mdでは、天気APIやメール送信など外部ネットワークへの接続はアプリ側から行えないと明記されています。ユーザーアカウントやマルチプレイヤー機能も対象外です。
代わりに、手動ログ、計算ツール、リファレンスカード、単一画面のワークシートなどが向いています。AIによる分類や要約が必要な場合は、AIエージェントがチャット側で処理し、結果をBuildyのバックエンド操作で書き込む形になります。
アプリ内のUIはHTMLではなくJavaScriptで記述し、Tailwind v3互換のUnoCSSランタイムが注入されます。バックエンドはWinterTC準拠のESモジュールで、KVストレージへのアクセスが主な能力です。
こんな人に向いている
Buildyは、次のような用途に向いています。
- チャット内で試作したツールを、URL付きの実用アプリとして残したい
- ChatGPTで作り、Claudeから更新するなど、複数AIを使い分けたい
- 筋トレ記録や学習カードなど、個人用途の小さなアプリを素早く試したい
逆に、Stripe連携付きSaaSや複数テナント対応の本格サービスを一発で作りたい場合は、Buildy.aiのような別カテゴリのツールの方が適しています。
Buildyは2026年6月8日時点でドキュメントが更新されており、サービスは立ち上がったばかりです。まずは無料の1アプリで試し、使い勝手を確かめるのが現実的な始め方です。
