AIエージェントに任せた作業が、途中で止まるか、終わったのに動き続けるか。VS Code 1.124は、この判断を自動化し、複数セッションを並列で回せるようになりました。

この記事では、2026年6月10日にリリースされたVisual Studio Code 1.124のAI関連アップデートを整理します。

この記事でわかること

  • Autopilotの既定化とAdvanced Autopilotの仕組み
  • Agents windowでのバックグラウンド送信とセッション移動
  • 統合ブラウザの履歴機能とエージェント操作の改善
  • 企業向けCopilotプラグイン管理ポリシー

1.124で変わったこと

Microsoftは2026年6月10日、Visual Studio Code 1.124を公開しました。リリースノートの冒頭では、エージェントセッション間の移動を速くし、タスク完了までの自律性を高めることが主眼だと説明されています。

目立つ変更は次の4点です。

  • Autopilotの既定化: エージェントが各操作の承認を求めずに動ける権限レベルが、新規チャットの標準になりました
  • Advanced Autopilot: 小さなユーティリティモデルが会話を読み、タスク完了を判断します
  • Agents windowの強化: バックグラウンド送信、キーボード操作によるセッション移動、再読み込み後のレイアウト復元に対応しました
  • 統合ブラウザの改善: 閲覧履歴の保持、ツールバーのカスタマイズ、エージェントのテキスト入力の高速化が加わりました

1.123で導入されたエージェント中心の開発体験を、日常運用に耐える形へ磨き上げたリリースと言えます。

Autopilotが既定化された背景

Autopilotは、GitHub Copilotのチャット権限レベルの一つです。従来の「Ask」や「Agent」と並び、エージェントがファイル編集やコマンド実行などを、都度の承認なしで進められるモードです。

1.124以前は、ユーザーが明示的にAutopilotを選ぶ必要がありました。今回からchat.permissions.defaultの初期値がAutopilotになり、新規チャットは最初から自律動作が前提になります。組織はchat.tools.global.autoApproveでAutopilotの表示と利用を制御できます。

エージェント運用の課題は、自律性の高低だけではありません。作業が終わったのにループし続けると、時間とトークンを無駄にします。逆に早く止まると、修正やテストが未完了のまま終了します。Advanced Autopilotは、この「止めるタイミング」の判断を改善する機能です。

AutopilotとAdvanced Autopilotの変更点

Advanced Autopilotは、固定ルールではなくユーティリティモデルがチャットのトランスクリプトを読み、タスクが完了したかを判定します。Autopilotが目指す目的は、チャット上部のツールチップに表示されるため、エージェントの意図を確認しやすくなりました。

ループは最大3回で打ち切られます。無限に反復するリスクを抑えつつ、未完了の作業を追加で進められる設計です。試すには設定chat.autopilot.advanced.enabledtrueにします。

権限レベルはチャット入力欄からいつでも切り替えられます。自律性を高めたい場面ではAutopilot、慎重に進めたい場面では他のレベルへ戻せます。

Agents windowで並列運用が現実的に

Agents windowは、プロジェクトやマシンをまたいでエージェントセッションを管理する専用ウィンドウです。エディタウィンドウがコード編集に最適化されているのに対し、こちらはチャットとセッション一覧を中心に、複数タスクの指揮に向いています。対応エージェントはCopilot CLI、Copilot Cloud、Claude agentです。

1.124の中心機能はバックグラウンド送信です。新規セッション画面でAlt+Enter(macOSではOption+Enter)を押すか、Altを押しながらSendを選ぶと、リクエストを送ったまま次の入力に移れます。従来はセッションの読み込み完了を待ってから次を書く必要があり、並列作業のボトルネックになっていました。

送信後は選択モデルやコンテキストを維持したまま入力欄だけクリアされ、すぐ次のプロンプトを書けます。Enterで送る従来の操作は、送信後にそのセッションへ遷移する動きのままです。

セッション移動もキーボード中心に整備されました。Ctrl+R(macOSではCmd+R)でセッション一覧を検索し、Ctrl+Tabで戻る・Ctrl+Shift+Tabで進む操作が使えます。Ctrl+1〜9でグリッド上のN番目のセッションへ直接フォーカスできます。Agents windowを再読み込みしても、開いていたセッションの並び、ピン留め状態、各セッションのエディタ配置まで復元されます。

Changesビューでは、設定sessions.changes.openSingleFileDiffを有効にすると、ファイル選択時に単一ファイルの差分だけを開けます。複数ファイルの差分に埋もれず、1件ずつレビューしやすくなります。

統合ブラウザとエンタープライズ向け機能

統合ブラウザは、エージェントがWebページを操作する場面で使われます。1.124では閲覧履歴が保持され、URLバー入力時に候補として表示されます。ブラウザタブ内でCtrl+Hを押すと履歴を管理でき、保持件数はworkbench.browser.maxHistoryEntriesで調整します。

ツールバー右側は、これまで一部のアクションだけ常時表示できましたが、オーバーフローメニュー内の全アクションを右クリックで常時表示に切り替えられます。エージェントのページ入力も、typeInPageツールにsubmitパラメータが追加され、テキスト入力とEnter送信を1回のツール呼び出しで済ませられます。往復回数が減り、フォーム送信などの操作が速くなります。

企業利用では、Copilotプラグインの集中管理が実験的に拡張されました。Copilot CLIと共通のポリシー設定ファイルをVS Codeが読み込み、プラグインの許可リストやマーケットプレイス制限を管理者が一括設定できます。ポリシーでブロックされたプラグインは表示されたまま無効化され、管理対象のマーケットプレイスにはタグが付きます。

1.123との違いと使い始め方

1.123はMicrosoft Build 2026で発表された、エージェント中心ワークフローの基盤リリースでした。Agents windowの導入や大容量コンテキストなど、仕組みそのものの追加が中心です。1.124はその上に、並列送信、セッション復元、完了判断の改善といった運用面の機能を載せた位置づけです。

既存ユーザーはVS Code内の自動更新で1.124へ上がります。Autopilotをすぐ試す場合は、新規チャットを開くだけで既定の権限レベルが適用されます。Agents windowはコマンドパレットから開き、Alt+Enterでのバックグラウンド送信から並列運用を始めるのが手早いです。Advanced Autopilotや単一ファイル差分表示は、設定画面で該当項目を有効にしてください。

自律性が上がるほど、意図しないファイル変更のリスクも増えます。本番ブランチでの利用時は、権限レベルの切り替えとGitの差分確認を併用するのが安全です。組織アカウントでは、管理者が設定するAutopilot関連ポリシーも事前に確認しておくとよいでしょう。