待機リストなしで、今すぐ試せるようになりました。

GitHubは2026年6月10日、GitHub Copilotアプリのテクニカルプレビューを、Copilot Pro・Pro+・Max・Business・Enterpriseの全有料プラン利用者に開放したと発表しました。ウェイトリスト(待機リスト)が廃止され、対象プランのユーザーは追加申請なしでデスクトップアプリをダウンロードして使えます。

この記事でわかること

  • GitHub Copilotアプリで何ができるのか
  • 今回の開放で変わった点と対象プラン
  • エージェント開発を支える主要機能の使いどころ
  • 既存のCopilot CLIやIDE連携との違い

何が変わったのか

GitHub Copilotアプリは、エージェント型開発(AIエージェントにタスクを任せ、人間が方向づけや検証を行う開発スタイル)向けのデスクトップアプリです。2026年5月のテクニカルプレビュー開始時は、Pro・Pro+ユーザー向けの早期アクセス登録や、Business・Enterprise向けの段階的ロールアウトが必要でした。

6月2日のChangelogで全有料プランへの拡大が告知され、6月5日には待機リストへのリンクが削除されました。6月10日のGitHub公式投稿では「No more waitlist(待機リストはもうない)」と明言され、現時点でCopilot Pro・Pro+・Max・Business・Enterpriseに加入しているユーザー全員が対象であることが示されています。

なお、アプリ自体は引き続きテクニカルプレビュー段階です。Copilot Freeユーザーと新規加入者向けの開放は「近日中(opening soon)」とされており、まだ利用できません。Business・Enterpriseプランでは、組織管理者がプレビュー機能とCopilot CLIを有効にしている必要があります。

なぜデスクトップアプリが必要になったのか

エージェントが1セッションでこなす作業量が増えると、開発者の仕事はコードを書くことから、エージェントの出力を管理することへシフトします。チャットのログを追い、差分を探し、同じ指示を繰り返す——こうした作業がターミナル、IDE、ブラウザの間を行き来する形で発生し、コンテキストの切り替えが増えます。

GitHubはこの課題に対し、Copilotアプリを「エージェント型ソフトウェア開発のデスクトップ拠点」と位置づけています。アプリはGitHub Copilot CLIを基盤とし、リポジトリ・ブランチ・CIパイプラインとネイティブに連携します。複数のエージェントセッションを並列で走らせ、人間は作業そのものではなく、作業の方向づけに集中する設計です。

主な機能

My workビューで作業を一元管理

接続済みリポジトリのIssue、プルリクエスト、アクティブなセッション、バックグラウンドの自動化を、ひとつの「My work」画面から確認できます。Issueやプルリクエスト、プロンプト、過去のセッションから新しいエージェントセッションを開始できます。Copilot CLIで始めたセッションも同じ画面に表示され、CLIとアプリで作業履歴が共有されます。

並列セッションとgit worktree

各エージェントセッションは専用のgit worktreeとブランチ上で動作します。ファイル、会話、タスクの状態がセッションごとに分離されるため、複数タスクを同時進行しても互いに干渉しません。gitリポジトリ以外のローカルフォルダからもセッションを開始でき、プロトタイプや調査用途にも使えます。

セッションモードとモデル選択

セッションごとに作業スタイルを選べます。Interactive(対話型)は人間とエージェントが協調し、Plan(計画型)はエージェントが計画を立てて人間が承認し、Autopilot(自動運転型)はエージェントが自律的に作業を進めます。使用するLLM(大規模言語モデル)や推論の深さもセッション単位で変更できます。

Canvas(キャンバス)

今回のリリースの目玉機能のひとつがCanvasです。計画、プルリクエスト、ブラウザセッション、ターミナル、リリースチェックリストなどの作業オブジェクト上に、人間とエージェントが共同で操作できる双方向の作業面を提供します。エージェントが作業を進めるたびにキャンバスが更新され、人間はその場で編集・並べ替え・承認・方向修正ができます。チャットは指示と議論の場、キャンバスは作業の可視化と検証の場という役割分担です。

プルリクエストのライフサイクル管理

エージェントが作成した変更は、統合ターミナルとブラウザで動作検証したうえでプルリクエストにできます。Agent Merge機能は、レビューコメントへの対応、CIチェックの修正、設定した条件が満たされたときのマージまでを自動化します。どこまでエージェントに任せるかはユーザーが選択します。

その他の新機能

音声会話はオンデバイスの音声認識を使い、音声データがマシン外に送信されません。クラウドセッションはcopilot --cloudと同等の機能をアプリUIから起動できます。クラウド自動化はスケジュール実行に対応し、ローカルマシンの電源状態に依存しません。エージェントは統合ブラウザを操作してUI変更をエンドツーエンドで検証できます。/chronicleコマンドでアプリ外で開始したセッションを含む過去の作業履歴を検索できます。MCP(Model Context Protocol)サーバーによる外部ツール連携や、再利用可能なスキル・自動化の設定にも対応しています。

使い方

利用にはGitのインストールと、対象プランのCopilotサブスクリプションが必要です。Windows(x64・ARM)、macOS(Apple Silicon・Intel)、Linux(AppImage)向けのインストーラはGitHub Copilotアプリのリポジトリから直接ダウンロードできます。待機リストへの登録は不要です。

初回セットアップ後、My workビューからIssueを選ぶか、空のワークスペースからセッションを開始します。セッションモードとモデルを選び、タスクを記述すれば、エージェントがブランチ作成・コード記述・テスト実行まで進めます。変更を確認してフィードバックを返し、問題なければプルリクエストを作成してマージまで完了できます。複数のワークフローを並列で走らせ、必要に応じて切り替える使い方が想定されています。

Copilot CLIやIDE連携との違い

Copilot CLIはターミナル中心の操作に向いています。VS CodeなどのIDE連携は、エディタ内でのコード補完やチャットに特化しています。Copilotアプリは、これらを横断する「司令塔」として設計されています。並列セッションの可視化、Canvasによる作業の可視化、Issue・PR・CIの統合管理は、アプリ固有の強みです。CLIで始めた作業をアプリで引き継ぐこともでき、逆も可能です。

なお、GitHub Copilot SDKはNode.js/TypeScript、Python、Go、.NET、Rust、Javaで一般提供(GA)されており、Copilotアプリと同じエージェントランタイムを自社ツールに組み込めます。アプリはそのランタイムのGUIフロントエンドと捉えると、全体像が把握しやすくなります。

今後の見通し

GitHubはエージェント型ワークフローの増加に伴い、リポジトリ作成数やプルリクエスト活動、API利用が加速していると述べています。Copilotアプリの待機リスト廃止は、有料ユーザーへの提供体制が整った段階に入ったことを示しています。Copilot Freeや新規加入者への開放、機能の安定化が次の焦点になるでしょう。テクニカルプレビュー中のため仕様変更の可能性はありますが、エージェント開発の作業場としてCopilotの中心製品になる方向性は明確です。