プロダクト開発はAIで回しているのに、営業だけ手作業——そんな状態を一気に変えようとするツールが登場しました。

この記事では、ロンドン発のExpleeが公開した営業自動化サービス「AutoGTM」の仕組みと料金、従来の営業ツールとの違いを整理します。

この記事でわかること

  • AutoGTMが自動で行う営業プロセスの全体像
  • 7体のAIエージェントと1億社超のデータベースの使い方
  • 従量課金の料金体系と、ZoomInfo・Apolloとの位置づけ
  • 導入時に押さえておきたい注意点

https://explee.com/

営業自動化の壁は「設定」と「運用」にある

アウトバウンド営業は、リスト作成、メール検証、文面作成、フォローアップと工程が多く、どれも手がかります。ZoomInfoやApolloのようなデータベースを契約しても、リスト抽出・メール送信・シーケンス管理は別ツールが必要になることが多いです。

AI Panda氏が紹介したAutoGTMは、チャットボットでもテンプレート送信ツールでもないと位置づけています。自社サイトを読み取り、製品を必要とする見込み客を探し、メールを自動送信する「営業エージェント」として動く、という説明です。

AutoGTMとは

AutoGTMは、Expleeが提供する24時間稼働のAI営業エージェントです。公式サイトでは、自社のWebサイトURLを入力するだけで、市場調査からICP(理想顧客像)の策定、見込み客の発見、パーソナライズされたメール作成、デモ予約までを約60秒で自動化できると謳っています。

ExpleeはもともとB2B企業と意思決定者を対象にしたセマンティック検索エンジンとして設立された企業で、1億500万社以上の企業プロファイルを保有しています。AutoGTMはこのデータ基盤を使い、検索・エンリッチメント・メール送信・シーケンス管理をひとつのエージェントループに統合した製品です(参考)。

URL入力から商談獲得までの流れ

AutoGTMの起動はシンプルです。自社サイトのURLを貼り付け、1日の送信予算を設定するだけで、7体のAIエージェントが連携して動き始めます。

TestingCatalogの報道によると、URL入力から初回アウトバウンドまでの所要時間はおよそ2分です。エージェントは次の工程を人手なしで回します。

  1. 市場調査とICP策定 — 自社サイトの内容から製品・価値提案を読み取り、理想顧客像を自動で絞り込む
  2. 見込み客の発見 — 1億500万社・5億3600万人のプロファイルから条件に合う企業と担当者を検索する
  3. コンタクトの検証 — メールアドレスを検証し、有効な連絡先だけに絞る
  4. パーソナライズされた文面作成 — ディープリサーチエージェントが相手企業の情報を調べ、名前の差し込みではない個別メールを生成する
  5. 送信とフォローアップ — プリウォーム済みのメールボックスから自動シーケンスを実行し、返信がなければフォローも継続する
  6. 商談の獲得 — カレンダー連携でデモや面談を予約し、CRMにも活動を記録する

公式サイトではメール配信率97%を掲げており、プリウォーム済みメールボックスとフォローアップ付きの自動シーケンスが含まれます。

主な機能

7体の自律型AIエージェント

営業開発(SDR)が担うリサーチ・リスト作成・文面作成・フォローを、7体のエージェントが分担します。24時間365日、設定した予算の範囲内で動き続けます。

大規模B2Bデータベース

1億500万社の企業プロファイルと5億3600万人の人物プロファイルへの検索は無制限です。Explee独自のデータ基盤を直接たどれます。

ディープリサーチによるパーソナライズ

各見込み客についてエージェントが事前調査を行い、相手企業の文脈に沿ったメールを書きます。テンプレートに名前を入れるだけの手法とは一線を画します。

メール基盤の内蔵

メールアドレスの検証、プリウォーム済みボックス、フォローアップ付きシーケンスがパッケージに含まれます。別途InstantlyやSmartleadを契約する必要はありません。

CRM・カレンダー・API連携

商談予約のカレンダー連携とCRM同期に加え、APIアクセスも標準で提供されます。他のAIエージェント基盤に組み込む用途にも対応します。

料金体系

AutoGTMは月額固定ではなく、送信したメール1通あたり0.03ドルの従量課金です。1日の予算上限を設定でき、上限に達すればその日の送信は停止します。予算の引き上げもいつでも可能です。

新規アカウントには50ドル分のクレジットが付与され、最低契約期間なしでグローバルに利用できます。TestingCatalogの報道では、ZoomInfoやApolloのような定額データベースと比べ、コストがおよそ15分の1になるとExpleeが位置づけています(参考)。

従来ツールとの違い

観点 従来の営業スタック AutoGTM
セットアップ データベース・送信ツール・シーケンスを個別に契約・連携 URL入力と予算設定のみ
料金 月額定額が中心 送信1通0.03ドルの従量課金
文面作成 人間がテンプレートを管理 AIエージェントが個別リサーチのうえ生成
運用 SDRがリスト作成・送信・フォローを手動管理 7体のエージェントが24時間自律稼働

AiSDRやReplyのJason AI SDRのように、エージェントがアウトバウンド全体を担う製品は増えています。AutoGTMの特徴は、Explee自社の1億社超データベースとメール基盤を一体化し、URL入力だけでパイプラインを立ち上げられる点にあります。

向いているチームと注意点

Expleeは、AIネイティブな創業者や少人数チームを主なターゲットにしています。プロダクト開発にAIを使い切っている一方で、営業部門を立ち上げる余力がないチームに向いています。

一方で、完全自動のコールドメールは受信者側のスパムフィルタや法規制の影響を受けます。AutoGTMは配信率97%を掲げていますが、業界や送信ボリュームによって結果は変わります。商談前の最終判断やクロージングは人間が担う前提で、エージェントに任せる範囲を決めておくことが現実的です。

営業の手作業を減らしたい創業者にとって、AutoGTMは「URLを貼って予算を決める」だけでアウトバウンドが回り始める選択肢です。50ドル分の無料クレジットで、自社のICPとメール品質を試す価値はあります。