コーディング特化LLMの更新が、オープンウェイト陣営の主戦場になっています。
中国のAI企業Z.aiは2026年6月13日、コーディングと長期エージェントタスク向けの新モデル「GLM-5.2」を公開しました。最大100万トークンのコンテキストに対応し、1回の応答で生成できる出力は最大131,072トークン(128K)です。アーキテクチャやベンチマーク数値は執筆時点で未公表ですが、Z.aiは前世代のコーディング能力と長期タスク性能を引き継いだうえで強化したと説明しています。
この記事でわかること
- GLM-5.2の主要スペックと公開スケジュール
- 前世代GLM-5.1のベンチマーク実績と競合状況
- Claude CodeなどでGLM-5.2を使うための設定要点
https://docs.z.ai/devpack/latest-model
100万トークンが示す開発現場のニーズ
大規模なコードベースや長時間のエージェント作業では、モデルが一度に読み込める文脈の長さがボトルネックになります。コンテキストウィンドウとは、モデルが一度の推論で参照できるトークン数の上限を指します。トークンは文章を細かく分割した単位で、日本語ではおおよそ1文字が1トークン前後に相当します。
GLM-5.2はこの上限を100万トークンに設定しています。リポジトリ全体のソースコード、設計ドキュメント、過去の作業ログをまとめて渡しても、文脈を切り捨てにくい設計です。出力側も131,072トークンまで対応するため、大規模なリファクタリング案や長い実装コードの生成にも向きます。
GLM-5.2で変わったこと
GLM-5.2は、Z.aiがコーディング用途に特化して展開するGLM-5シリーズの3世代目です。2026年2月の「GLM-5」、4月の「GLM-5.1」に続き、わずか4カ月で登場しました。
公開時点での提供形態は次のとおりです。
- GLM Coding Planの契約者(Lite、Pro、Max、Team)向けに先行提供を開始
- 従量制API、一般向けチャットボット、Hugging FaceでのMITライセンス公開は来週中に開始予定
Z.ai公式ドキュメントでは、GLM-5.2の思考強度に「High」と「Max」の2段階があると記載されています。複雑なコーディングタスクではMaxへの切り替えが推奨されています。
前世代GLM-5.1の実績
GLM-5.2のアーキテクチャ詳細は未公表ですが、前世代GLM-5.1の仕様とベンチマークは参考になります。GLM-5.1は総パラメータ7,440億、アクティブパラメータ400億のMoE(エキスパート混合モデル)です。MoEは推論のたびに一部のパラメータだけを活性化する仕組みで、大規模モデルを効率的に動かす方式です。
ソフトウェア開発の実務能力を測るベンチマークSWE-Bench Proでは、GLM-5.1が58.4%を記録しました。PC Watchの報道によると、これはGPT-5.4の57.7%やClaude Opus 4.6の57.3%を上回る数値です(参考)。
オープンウェイトモデル同士の競争も激しくなっています。同ベンチマークではMiniMax M3が59.0%、Kimi K2.6が58.6%、GLM-5.1が58.4%と僅差です。GLM-5.2のスコア次第では、Z.aiが首位を奪う展開もあり得ます。
Claude CodeでGLM-5.2を使う手順
Z.aiはClaude CodeやOpenClaw、Clineなどのコーディングエージェントとの連携を公式に案内しています。Claude Codeで100万トークンを有効にするには、モデル名に[1m]サフィックスを付けます。
~/.claude/settings.jsonの環境変数を次のように設定します。
{
"env": {
"CLAUDE_CODE_AUTO_COMPACT_WINDOW": "1000000",
"ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL": "glm-5.2[1m]",
"ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL": "glm-5.2[1m]"
}
}
設定後、新しいターミナルでClaude Codeを起動し、/statusコマンドでモデルが切り替わったことを確認します。セッション内の/effortコマンドで思考強度を変更でき、xhigh・max・ultracodeはGLM-5.2のMax effortに対応します。
OpenClawを使う場合は、~/.openclaw/openclaw.jsonでコンテキストウィンドウを1,000,000、maxTokensを131,072に設定し、デフォルトモデルをzai/glm-5.2に変更します。
来週のオープンソース化が意味すること
GLM-5.2のモデルウェイトは、来週中にHugging FaceでMITライセンスのもと公開される予定です。MITライセンスは商用利用・改変・再配布を広く認めるライセンスで、企業が自社環境へモデルを持ち込みやすい点が特徴です。
現時点ではCoding Plan契約者が先行利用できる状態ですが、ウェイト公開後はローカル推論や自前インフラでの運用が選択肢に入ります。従量制APIも同時期の提供開始が予定されており、サブスクリプション以外の利用形態が広がります。
100万トークン対応のコーディングLLMは、DeepSeek-V4やKimi K2.7 Codeなど複数の選択肢が並ぶ市場に新たな一押しを加えます。GLM-5.2のベンチマークが公表されれば、オープンウェイト陣営の順位争いはさらに動き出すでしょう。