玄関先に荷物が届いたのに気づかない、配達メールを見逃して追跡番号を探し回る——こうした日常の小さなストレスを、Home Assistantなら自動化で減らせます。

この記事では、メール解析からAIカメラ、物理センサーまで、荷物と配達をスマートホームに取り込む具体的な手順を6通り紹介します。

この記事でわかること

  • Mail and Packagesなど、HACS経由で入れる主要な追跡連携
  • カメラとAIを組み合わせた荷物検知の仕組み
  • Android通知をトリガーにした自動化の設定の考え方
  • メールボックスにセンサーを仕込む低コストな方法

なぜHome Assistantで荷物追跡するのか

Home Assistantは、在宅検知やエネルギー使用量のモニタリングなど、家の状態を一元的に把握するオープンソースのスマートホーム基盤です。荷物や郵便の到着情報をここに集約すれば、「今日届く荷物が何個あるか」「Uber Eatsがあと何分で到着するか」をダッシュボードや音声アシスタントから確認できます。

届いたタイミングで玄関の照明を点灯したり、ゲートを解錠したりといった自動化も組めます。How-To Geekの解説でも、配送追跡はHome Assistantで「もう一歩踏み込んだ自動化」の定番ネタとして挙げられています(参考)。

方法1:Mail and Packagesでメールから一括追跡

https://github.com/moralmunky/Home-Assistant-Mail-And-Packages

配送会社から届く通知メールを解析し、荷物の状態をセンサーとして表示するのが、Mail and Packagesです。HACS(Home Assistant Community Store)を導入済みなら、HACSの統合リポジトリから検索してインストールできます。

仕組みはシンプルです。Home AssistantがIMAPで指定のメールボックスに接続し、配送会社ごとに決まった件名パターンを読み取ります。当日配達予定の荷物について、配送中・配達完了の件数をセンサー化します。USPS(米国郵政)のInformed Deliveryに対応しており、当日届く郵便の画像を回転GIFとして表示する機能もあります。

対応キャリアは地域によって異なります。米国ではUSPS・FedEx・UPS・Amazon・Walmart、カナダではCanada Post、オーストラリアではAustralia Post、欧州ではDHL・Royal Mail・Post NLなどが挙げられています。メールの処理はHome Assistant上でローカル完結し、外部サービスにメール内容を送ることはありません(GitHub README)。

設定のポイントは、通知メールが届くフォルダ(またはラベル)を指定することです。Mail and Packagesがスキャンするまでメールを削除しない運用が推奨されています。フィルタで専用フォルダに振り分けておくと、受信トレイが散らかりにくくなります。

方法2:Amazon Order Statusで注文状況を細かく管理

https://github.com/koconnorgit/ha-amazon-order-status

Amazonの注文だけを詳しく追いたい場合は、Amazon Order Statusという専用連携が使えます。こちらもHACSのカスタムリポジトリを追加してからインストールします。メールボックス内のAmazon通知を解析し、注文受付・発送・配達中・配達完了の各段階をセンサーとして出力します。

各注文にはAmazonの追跡ページへのリンク(tracking_url)が付与されるため、ダッシュボードからワンタップで確認できます。Mail and PackagesでもAmazonの配送通知は扱えますが、Amazon Order Statusは注文IDや件名から商品名を推測するなど、Amazon特化の情報が得やすい点が違いです。Home Assistantを「買い物ログのハブ」として使いたい人向けの選択肢です。

方法3:Uber Eats Order Trackerでフードデリバリーをリアルタイム追跡

メール解析では届かない、フードデリバリーの位置情報。Uber Eats Order Trackerは、Uber Eatsの注文状況をAPIベースで取得する非公式のHACS連携です。リポジトリをHACSの許可リストに追加したうえでインストールし、ブラウザでUber Eatsにログインした状態からキーを取得する設定が必要です。

連携すると、サイドバーにUber Eats専用パネルが追加されます。注文の進行段階、到着予定時刻、レストラン名、配達員名に加え、15秒間隔で更新される地図上の位置も確認できます。配達員が近づいたタイミングでポーチライトを点灯したり、玄関のゲートを解錠したりする自動化に向いています。

方法4:カメラとAIで荷物を画像認識

メールやAPIに頼らず、玄関先のカメラ映像から荷物を検知する方法もあります。Home Assistant対応のカメラがあれば、AI Package Detector Blueprintのようなブループリントを使えます。

デフォルト設定では、一定間隔でカメラのスナップショットをGoogle Geminiに送り、荷物の有無を判定して通知します。人感センサーと組み合わせれば、動きを検知してから短い遅延のあとスナップショットを撮る構成にでき、通知の速さを上げられます。

クラウドAIの利用枠を消費したくない場合は、FrigateやScryptedとOllamaなどのローカルAIを組み合わせる選択肢もあります。自宅サーバーに十分な計算リソースがあれば、映像解析をローカルで完結させ、プライバシーを保ったまま荷物検知が可能です。ハードウェア要件は高めですが、Geminiのトークン消費を避けたい場合の現実的な代替策です。

方法5:Androidの通知をトリガーに自動化

配送アプリがプッシュ通知を送るサービスなら、Android版Home Assistantコンパニオンアプリの「Last Notification」センサーが使えます。設定は、アプリ内のSettings → Companion App → Manage SensorsからLast Notificationを有効化し、Androidの通知アクセス権限を付与します。

センサーが取得した通知のタイトルや本文を条件に、自動化のトリガーを組み立てます。フードデリバリーの「受け取り準備を」といった文言を検知して照明を点灯する、といった使い方が典型です。Home Assistantコミュニティでは、通知の属性(android.titleなど)を条件にした自動化例が共有されています(参考)。

注意点として、通知アクセスは原則すべてのアプリに及びます。セキュリティを重視するなら、追跡したいアプリだけを許可する設定を検討してください。iPhoneでは現時点では同様の仕組みは使えませんが、AppleはiOS 27のShortcutsアプリに通知ベースの自動化トリガーを追加する方針を示しており、今後はiPhoneでもシステムレベルの連携が期待できます。

方法6:メールボックスに物理センサーを設置

ソフトウェアに頼らない、もっともシンプルな方法が物理センサーです。郵便受けの形状次第ではありますが、人感センサーを内部に設置し、郵便配達時間帯だけセンサーを有効にする自動化が有効です。配達時間を過ぎたらセンサーをオフにし、翌朝またオンに戻す運用で、誤検知を減らせます。

傾きセンサーや振動センサーで「何かが入った」ことを検知する方法もあります。郵便受けの扉にコンタクトセンサーを付ければ、「中身を取り出したか」まで記録できます。IKEAのVALLHORN(ヴァルホルン)など、小型の人感センサーが実例として紹介されています。技術的な難易度は低い一方、郵便受けの材質や防水・盗難対策は自分で工夫が必要です。

どの方法を選ぶべきか

複数の配送会社から荷物が届く家庭なら、Mail and Packagesが第一候補です。メール通知が届くキャリアをまとめてカバーでき、USPS利用者にはInformed Deliveryの画像表示も魅力です。Amazon注文だけを細かくダッシュボード化したいならAmazon Order Status、Uber Eatsの到着を地図で追いたいなら専用トラッカーが向いています。

玄関カメラをすでに設置しているなら、AI荷物検知はメール設定なしで動かせます。対応キャリアのメール連携が使えない地域や、通知メールが来ないサービス向けの補完策としても有効です。Androidユーザーは通知トリガーが手軽で、物理センサーはメールもカメラも不要な最低コストの選択肢です。

複数を組み合わせるのも現実的です。たとえばMail and Packagesで当日の荷物数を把握しつつ、玄関カメラのAI検知で「実際に置かれた」ことを確認する二段構えにすれば、誤通知への対策になります。まずは手元の環境——使っている配送会社、設置済みのカメラやセンサー、スマホのOS——に合わせて一つ試し、うまくいったら自動化を足していくのがおすすめです。