CRMに商談データはあるのに、次に何をすべきかは見えない。AIの提案が自社の営業手法と噛み合わない。こうした「実行のギャップ」に対し、Salesforceネイティブの営業支援プラットフォームAltifyが、MCP v0.1.5を2026年6月20日にリリースしました。

この記事では、新バージョンで営業AIエージェントが何を読めるようになったか、現場でどう変わるかを整理します。

この記事でわかること

  • Altify MCP v0.1.5の3つの拡張領域
  • アカウント計画の4つの新機能(Account Healthほか)
  • Sales Process Manager連携で商談評価がAIに渡る仕組み
  • 組織の営業手法(MEDDICなど)に合わせた出力のカスタマイズ方法

https://altify.com

CRMにデータはあるが、実行の手がかりがない

企業の営業チームが抱える課題は、データ不足ではなく活用の断絶です。CRMには商談情報が溜まりますが、次のアクションまでつながりません。アカウント計画はパイプラインと別管理になり、AIの推奨は組織が定めた営業プロセスを参照しません。さらにエージェントの用語が社内のフレームワークと食い違えば、現場は提案を信頼できません。

Altifyはこの問題を「Strategic Revenue Execution(戦略的収益実行)」の領域として位置づけ、Salesforce上で営業手法と実行を一体化するプラットフォームを提供しています。MCP(Model Context Protocol)は、AIエージェントがSalesforceの構造化データを自然言語で読み書きするための連携規格です。Altifyはこの規格を通じて、Claudeなどの外部AIツールからもアカウント計画や商談データへアクセスできる仕組みを持っています。

v0.1.5は、このMCP連携の読み取り範囲を大きく広げるアップデートです。

v0.1.5で拡張された3つの領域

今回のリリースは、アカウント計画(Account Planning)、セールスプロセスマネージャー(Sales Process Manager)、営業手法(Sales Methodology)の3領域にまたがります。

エージェントはポートフォリオ全体のアカウント健全性を評価し、個別商談のクオリファイア(適格性判定項目)とクロージャー確率を読み取り、組織が設定した営業手法に合わせて出力を調整します。Altifyのオンラインヘルプには、5つのMCPサーバーとその機能一覧も掲載されています。

アカウント計画:4つの分析軸で計画を動かす

アカウント計画まわりでは、4つの機能が追加されました。

Account Health(アカウント健全性)

担当アカウント全体の状態を一覧で把握する機能です。これまで各計画を個別に開いて確認する必要がありました。エージェントに「どのアカウントに注力すべきか」と聞くと、データの完全性、エンゲージメントの一貫性、目標との紐づけ、リレーションシップのカバー範囲といった健全性シグナルに基づく優先リストを返します。複数レコードを手作業で横断する作業が、1回のリクエストに集約されます。

Account Assessment(アカウント評価)

個別アカウントを深く分析します。リレーションシップマップ、インサイトマップ、アカウント詳細、目標とアクションを確認し、ギャップやリスクを洗い出す分析と、紐づく商談データを横断してパイプライン全体のリスクを評価する分析を同時に走らせます。計画画面と商談レコードを行き来せず、1回の依頼で戦略的な位置づけとパイプライン状況の両方を把握できます。

Account Insights(アカウントインサイト)

アカウント計画とソリューション提案を直接つなぎます。汎用的な提案ではなく、インサイトマップに記録された顧客の圧力要因やイニシアチブに基づいて回答します。「この顧客の確認済み課題に合うソリューションは何か」と聞けば、計画に記載された内容にトレースできる形で推奨が返ります。

Account Review(アカウントレビュー)

計画レビューとコーチングの準備をAIが支援します。計画のギャップや脆弱性の特定、期限超過やリスクのあるアクションのフラグ付け、Test & Improveセッション向けのコーチング資料の生成に対応します。CROや営業マネージャーにとって、レビュー会議の論点を計画の最重要領域に絞り込める点が実務的な価値です。

Sales Process Manager:商談プロセスデータをAIが初めて読める

v0.1.5以前、エージェントは商談の適格性判定を、実際のセールスプロセスにアクセスせずに生成していました。今回、Sales Process ManagerモジュールにMCPの読み取り機能が初めて搭載され、この断絶が解消されます。

商談にプロセスが割り当てられていれば、エージェントは1回の操作で以下を取得します。

  • 割り当て済みのセールスプロセスと現在のステージ
  • 全ステージのクオリファイアと検証可能なアウトカム(重要度の重み付けと現在の状態を含む)
  • 商談のクロージャー確率スコア

クロージャー確率はAltifyのSales Process Manager画面と同じ計算式を使うため、エージェントの回答とSalesforce上の表示に差異は出ません。複雑なエンタープライズ商談では、この数値の不一致が混乱の原因になります。加えて、組織に設定されたアクティブなセールスプロセス一覧も取得でき、商談へのプロセス未割り当て時にどれを選ぶべきか判断する材料になります。

営業手法のカスタマイズ:MEDDICにも自社フレームにも対応

3つ目の拡張は、すべてのMCP機能が組織の営業手法設定を尊重するようになった点です。分析、評価、コールプラン、脆弱性分析、推奨、ネクストベストアクション、質問、アクションコメント、アカウント計画の各出力が、Altifyのデフォルトではなく組織のカスタマイズ設定を参照します。

対応フレームワークは、Altifyネイティブの手法、MEDDIC(商談適格性の評価フレームワーク)、完全オリジナルの手法です。管理者はSalesforceのカスタマイズレコードから用語や行動指針を設定し、コード変更や再デプロイは不要です。設定は次回のエージェント操作から即時反映されます。

「組織図」と言えば「リレーションシップマップ」に、「次のステップ」と言えば「アクション」にマッピングするなど、現場の自然な表現をシステム概念に変換します。営業担当者がAltify内部の用語を覚える必要はありません。顧客中心の営業フレームワークを構築した組織にとって、コールプランやアカウントレビュー、商談評価のすべてで手法が一貫して反映される点が重要です。

AltifyのCMOであるNigel Cullington氏は、v0.1.5について「AIエージェントの出力が各組織が構築したフレームワーク、用語、プロセス構造を正確に反映する」と述べています(参考)。

提供状況とドキュメント

Altify MCP v0.1.5は提供開始済みです。営業手法のカスタマイズ手順は、Altifyオンラインヘルプの「Methodology Customization for Altify MCP」に記載されています。

CRMに蓄積した計画と商談データを、AIエージェントが組織の営業手法に沿って読み返す。v0.1.5は、その一連の流れをSalesforce内で実現するための接続強化です。営業DXやAIエージェント導入を検討する企業は、自社のセールスプロセスと手法がエージェント出力にどう反映されるかを、このアップデートの3領域から確認する価値があります。