AIエージェント界で11万スターを超えるOSSが、「The Interface release」と銘打った大型アップデートを公開した。GUIクライアントの登場でターミナル操作が不要になり、開発者以外でも試しやすい環境が整いつつある。

この記事でわかること:

  • Hermes Agent v0.11.0の主要な変更点
  • 自己学習ループがどう機能するか
  • Atomic Botでデスクトップから使う方法

Hermes Agentとは

NousResearchが開発するオープンソースのAIエージェントフレームワーク。「The agent that grows with you」というコンセプトのもと、セッションをまたいでユーザーの情報や習慣を蓄積し、スキルを自律的に作成・改善する設計が他のフレームワークとの違いだ。

MITライセンスで公開されており、2026年4月24日時点でGitHubのスター数は11万3千を超える。

v0.11.0の主な変更点

2026年4月23日に公開されたv0.11.0は、1,556コミット・761件のPRを取り込んだ大型リリースだ。リリースノートでは「The Interface release」と位置づけられており、CLIの全面書き換えと外部連携の拡張が中心となっている。

CLIがReact/InkベースのTUIに刷新

hermes --tuiで起動する新しいTUIが利用できる。React/InkとPython JSON-RPCバックエンドで構築されており、スラッシュコマンドの補完、会話履歴の仮想化レンダリング、ステータスバーへのgitブランチ表示などを搭載している。OSC-52でSSHセッション越しのクリップボードコピーにも対応した。

新たに5つの推論プロバイダーを追加

任意のAPIキーで複数のLLMを切り替えられる機能はもともと備えていたが、今回さらに以下が追加された。

  • NVIDIA NIM
  • Arcee AI
  • Step Plan
  • Google Gemini CLI OAuth
  • Vercel ai-gateway(価格情報付きで動的探索に対応)

あわせてAWS BedrockのConverse APIを通じたネイティブサポートも追加された。GPT-5.5もCodex OAuthを通じて利用でき、新しいOpenAIモデルはカタログ更新なしにモデルピッカーへ自動反映される。

対応メッセージングプラットフォームが17に

Telegram、Discord、Slackなどに加え、新たにQQBot(QQ Official API v2)が追加された。Hermes Agentはゲートウェイプロセスを通じてこれらのプラットフォームから操作でき、クロスプラットフォームで会話の連続性を保てる。

実行中のエージェントを中断せず修正できる /steer

/steer <prompt>を送ると、実行中のエージェントが次のツール呼び出し後にそのメモを参照する。タスクをキャンセルせずに方向修正できるため、長時間タスクのコース修正に有効だ。

Webhookの直接配信モード

Webhookのサブスクリプションが、エージェントを経由せずプラットフォームのチャットへ直接ペイロードを転送できるようになった。LLMコストを発生させずにアラートやイベントストリームのプッシュ通知として使える。

自己学習ループの仕組み

Hermes Agentが他のエージェントと大きく異なる点は「クローズドラーニングループ」だ。複雑なタスクを完了するたびにスキルを自律的に作成し、次回以降のセッションで同種の作業を効率化する。スキルはセッション中に自己改善され、過去の会話はFTS5による全文検索でいつでも参照できる。さらにHoncho(dialectic user modeling)を通じてユーザープロファイルを継続的に更新し、セッションをまたいで文脈を保ちながら対応する。

Atomic Botでデスクトップから試す

https://atomicbot.ai

従来のセットアップはターミナル操作が必要で、開発者向けのツールという印象が強かった。Atomic BotはHermes AgentをGUIから操作できるクライアントだ。

MacOSアプリをダウンロードするか、クラウド環境で起動すると、ダッシュボード・ターミナル・ログ・ファイルエクスプローラーを備えたUIから操作できる。モデルはQwenやGemmaなどのローカル無料モデルを選ぶか、自分のAPIキーを使うかを選択できる。

ターミナルから直接インストールする方法

Linux、macOS、WSL2で次のコマンド1行でインストールできる。

curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/NousResearch/hermes-agent/main/scripts/install.sh | bash

AndroidはTermux経由でも動作する。Windowsネイティブは非対応のためWSL2が必要だ。インストール後は以下で起動する。

source ~/.bashrc   # シェルをリロード
hermes             # 対話モードを開始

hermes modelでLLMプロバイダーを選び、hermes gatewayでメッセージングプラットフォームとの連携を設定できる。

OpenClawからの移行

Hermes AgentはOpenClawからの移行コマンドを提供している。hermes setupを初回起動すると~/.openclawを検出し、移行オプションが表示される。メモリ・スキル・APIキー・メッセージング設定をまとめてインポートできる。

hermes claw migrate         # インタラクティブ移行
hermes claw migrate --dry-run  # 移行対象のプレビュー

まとめ

Hermes Agent v0.11.0は、CLIの全面書き換えからプロバイダーの大幅拡張まで、実用性を高めるアップデートが集中したリリースだ。Atomic Botを使えばターミナルに不慣れなユーザーでもすぐに試せる。ローカルモデルにも対応しているため、APIキーなしで始めることもできる。