WordPressとAIエージェントをつなぐ公式ライブラリ「MCP Adapter」が、v0.5.0へアップデートされました。今回は機能追加よりも内部構造の刷新に主眼が置かれたリリースで、長期的な安定性と仕様への追従性が大きく改善されています。

この記事でわかること:

  • v0.5.0で何が変わったか
  • 新ライブラリwordpress/php-mcp-schemaの役割
  • アップグレード時に確認が必要な箇所
  • WordPressのAI連携が今後どう進むか

WordPress MCP Adapterとは

https://github.com/WordPress/mcp-adapter

MCP Adapterは、WordPress Core AI teamが開発する公式ライブラリです。WordPressの「Abilities API」をModel Context Protocol(MCP)へ変換する役割を担っています。

MCPはAIクライアントとツールをつなぐオープンなプロトコル規格です。MCP Adapterを導入したWordPressサイトは、Claude Desktop、Cursor、VS CodeといったAIエージェントがサイトの機能を直接呼び出せるMCPサーバーとして動作します。たとえばAIエージェントが「投稿を取得して」「サイト情報を確認して」といったリクエストを自律的に実行できます。

Abilities APIはWordPress 6.9で導入された機能で、プラグインが「何ができるか」を型付きスキーマとして登録する仕組みです。MCP Adapterはこの登録済みAbilityをMCPのツール・リソース・プロンプトへ自動変換します。

v0.5.0の主な変更点

手作り配列からtyped DTOへの全面移行

最大の変更は、wordpress/php-mcp-schemaライブラリの全面採用です。

これまでMCPレスポンスの組み立てに使っていた「手作りの配列」が、型付きのDTO(Data Transfer Object)に置き換わりました。DTOはあらかじめ決まった構造を持つデータコンテナで、型の不一致や不正なフィールドが実行前に検出されます。

MCPツール・リソース・プロンプト・初期化レスポンス・JSON-RPCエラーのすべてがDTOで処理されます。これにより仕様との整合性が高まり、将来のMCP仕様変更にも追従しやすくなっています。

php-mcp-schemaはMCP 2025-11-25仕様に準拠した型定義を提供するComposerパッケージ(^0.1.0)で、MCP Adapterと同じWordPress公式リポジトリで管理されています。

プロトコルバージョンネゴシエーションのサポート

MCP仕様の複数バージョン(2025-11-252025-06-182024-11-05)を同時にネゴシエートできるようになりました。バージョンの異なるAIクライアントと接続する際の互換性が向上しています。

セキュリティ強化

入力バリデーションが厳格化され、権限チェックに「フェールクローズ」方式が採用されました。フェールクローズとは、状態が不明な場合はアクセスを拒否する設計方針です。予期しない権限昇格を防ぐ効果があります。

また、プロトコルエラーとisErrorツールレスポンスの観測性(Observability)も改善されており、問題の原因特定がしやすくなっています。

SessionManagerの書き込み最適化

SessionManagerの書き込み頻度が最適化されました。ロック競合を減らすことで、複数リクエストが同時に発生する環境でのパフォーマンスが安定します。

ドキュメントの大幅拡充

v0.5.0向けの移行ガイド、アーキテクチャドキュメントの改訂、デフォルトサーバーガイドの改善が含まれています。WordPress 6.9/7.0に関する記載も追加されました。

アップグレード時の注意点

既存のAbility登録、create_server()、WordPressフックはそのまま動作します。ほとんどの利用者は変更なしでv0.5.0へ移行できます。

注意が必要なのは、カスタムハンドラー・カスタムトランスポート・内部コンポーネントを直接参照したコードを書いている場合です。内部DTOの構造が変わっているため、型を直接参照しているコードは修正が必要になります。詳細はGitHubリポジトリの移行ガイドを参照してください。

v0.5.0のリリースは2026年4月15日で、Composerパッケージ(wordpress/mcp-adapter)としても配布されています。

まとめ

v0.5.0は利用者から見える機能の変化は少ないリリースですが、MCPプロトコル仕様への準拠度を高め、将来の仕様変更に追従しやすい内部構造に作り直した重要なアップデートです。

Abilities APIの登場から1年足らずで、WordPressのAI対応は基盤が着実に固まっています。AIエージェントにWordPressを操作させる仕組みを試したい開発者にとって、MCP Adapterは現時点で最も公式度の高い選択肢です。