MathWorksが2026年4月にリリースしたR2026aで、Simulinkにも生成AIアシスタントが搭載されました。コーディング向けのMATLAB Copilotに続く、モデル設計専用のAI支援ツールです。

この記事でわかること:

  • Simulink Copilotの概要と登場背景
  • 4つの主要機能の詳細
  • MATLAB Copilotとの役割の違い
  • 利用に必要な前提条件

Simulinkとは何か

Simulinkは、MathWorksが提供するモデルベース設計ツールです。自動車の制御システム、航空宇宙機器、産業機械など、物理的なシステムをブロック図として設計・シミュレーションする用途で広く使われています。コードを直接書く代わりにグラフィカルなブロック図でシステムの動作を定義し、そこから自動的にCコードを生成するワークフローが一般的です。

こうした設計作業は専門知識が必要で、モデルの構造を把握したりエラーの原因を特定したりするのに多くの時間がかかるという課題がありました。

MATLAB Copilotに続く2本目のAIアシスタント

MathWorksは2025年春のR2025aでコーディング向けのMATLAB Copilotを投入し、以来1年で100万人以上のユーザーが使う製品に成長しました(MathWorks公式情報より)。

Simulink Copilotは、そのSimulink版として2026年4月のR2026aで新製品として加わりました。MATLAB Copilotがコードの生成・説明を担うのに対し、Simulink Copilotはブロック図ベースのモデル設計に特化しています。

4つの主要機能

https://www.mathworks.com/products/simulink-copilot.html

モデルのコンポーネント検索と説明

チャットで「このサブシステムは何をしているか」と入力すると、現在開いているモデルとMathWorksのドキュメントを参照して解説します。特定のブロックを選択して「このブロックを説明して」と指示する使い方も可能です。

複雑なモデルを引き継いだときや、久しぶりに触る設計ファイルを読み解くときに役立ちます。

設計変更の推薦

「ここにPIDコントローラーを追加したい」「このサブシステムを最適化するには?」といった質問に対し、具体的な変更手順を返します。ブロックの追加や配線の変更手順を提案するため、試行錯誤の回数を減らせます。

シミュレーションエラーの解決支援

シミュレーション実行中や、Cコード生成時のエラーに対して、原因の候補と修正案を提示します。次元ミスマッチや代数ループといった典型的なエラーに加え、ソルバーの設定ミスなども検出します。

Process Advisorのタスク自動化

CI/CD Automation for Simulink Checkと組み合わせると、モデリング規約のチェックやテスト実行といったタスクをチャットから呼び出せます。手動で繰り返していた検証ステップを一括で処理できます。

MATLAB Copilotとの役割の違い

MATLAB Copilot Simulink Copilot
対象 MATLABコード Simulinkモデル(ブロック図)
リリース R2025a(2025年3月) R2026a(2026年4月)
主な用途 関数生成・デバッグ・ドキュメント化 モデル説明・設計支援・エラー解決

コードとモデルが連携するプロジェクトでは、両者を組み合わせて使うのが効果的です。

なお、同じ時期にMathWorksは別途OSSとして「Simulink Agentic Toolkit」も公開しています(GitHubリポジトリ)。こちらはClaude CodeやGitHub Copilotなど外部のAIコーディングエージェントに対し、MCPを通じてSimulinkを操作する能力を与えるツールです。Simulink Copilot(Simulink内蔵のAIアシスタント)とは役割が異なります。

セットアップの前提条件

Simulink Copilotを使うには以下が必要です。

  • MATLAB R2026a以降 + Simulink
  • Simulink Copilotのライセンス
  • インターネット接続(クラウドベースのAIを利用するため)

MATLAB Copilotと同様、クラウド経由でAIモデルを呼び出す構成のため、安定したネット環境が前提になります。ライセンスの詳細はMathWorks公式ページで確認してください。

MATLAB EXPOでは「Copilot体験コーナー」が設けられる予定で、実際に試せる機会も用意されています。

参加登録: https://www.matlabexpo.com/jp/2026.html