AIブラウザの競争が激化するなかで、Anthropicは独自ブラウザを作らなかった。かわりに選んだのが、すでに使っているブラウザをAIエージェントに変える拡張機能「Claude in Chrome」だ。

この記事でわかること:

  • Claude in Chromeの概要と対応ブラウザ
  • フォーム入力・ページ操作など主な機能
  • Claude CodeやCoworkとの連携方法
  • 専用AIブラウザとの違い
  • セキュリティ上の注意点と料金プラン

https://claude.ai/chrome

既存ブラウザをAIエージェントに変える仕組み

Claude in Chromeは、ChromiumベースのブラウザにインストールするAIエージェント拡張機能だ。サイドパネルに表示されるClaude専用のUIから指示を出すと、Claudeがページの内容を読み取り、クリックやフォーム入力などの操作を実行する。

ユーザーが見ているページをClaudeも同時に見ながら作業するため、内容をコピーして貼り付けたり、「このページに書いてある○○について」と説明する手間が省ける。Claudeはすでに文脈を把握した状態でサイドパネルから指示を受け取るため、会話の立ち上がりが速い。

主な機能

Claude in Chromeが対応する主な操作を紹介する。

  • Webブラウジングの代行: 指定した条件でフライト検索や情報収集を実行する
  • フォーム入力: ページ上のフォームへの入力・送信を自動化する
  • カレンダー・メール管理: Googleカレンダー・Gmail・Slack・GitHub・Google Docsなど一般的なサービスには、専用の操作知識をあらかじめ備えている
  • 複数タブのマルチタスク: 指定したタブをグループにまとめ、複数のページにまたがる作業を一度にこなす
  • ワークフローの記録と再現: 一度自分で操作を見せると、Claudeが同じ手順を繰り返し実行できるようになる
  • デバッグ支援: ブラウザのコンソールエラー・ネットワークリクエスト・DOM状態を読み取り、開発者の問題解決を支援する
  • スケジュール実行: 指定した時刻や間隔でタスクを定期的に実行する

対応ブラウザと料金プラン

Chrome、Edge、Brave、Arc、Operaなど、Chromiumベースのブラウザであれば対応する。SafariやFirefoxには現時点で未対応だ。

2025年8月に1,000名のMax planユーザーを対象とした研究プレビューとして開始し、11月にMax plan全体へ、12月にはPro・Team・Enterpriseプランへと段階的に開放された。現在はすべての有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)で利用できる。無料プランでは利用できない。

Team・Enterpriseプランでは、管理者がorg全体での拡張機能の有効・無効の切り替えや、アクセス許可・ブロックするサイトリストの設定が可能だ。

Claude CodeやCoworkとの連携

Claude in ChromeはClaude CodeおよびCoworkと連携して使える点が大きな強みだ。

たとえば、Claude Codeでブラウザ拡張機能を開発中にバグが見つかった場合、スクリーンショットを撮って状況を説明する代わりに、Claude in ChromeがページのDOM状態やコンソールエラーを直接読み取り、その情報をClaude Codeへフィードバックできる。開発の文脈を手動で橋渡しする手間がなくなる。

Cowork(Claudeデスクトップ向けの自動化機能)との組み合わせでも、ファイル操作とブラウザ操作をシームレスに接続するワークフローが組める。Claudeのエコシステム全体で動作が噛み合うよう設計されているのが特徴だ。

専用AIブラウザとどう違うか

2025年はAI専用ブラウザが相次いで登場した年だった。OperaのNeon(月額約20ドル)、PerplexityのComet、OpenAIのChatGPT Atlasなどが代表例だ。

これらのブラウザはエージェント機能を売りにしているが、デモでは滑らかに動いても、予測できないサイトや複雑な操作では処理が止まりやすいという評価が多い。また、既存の設定・拡張機能・ブックマーク・Cookieを一から移行する必要があるため、乗り換えコストが高い。

Claude in Chromeはブラウザを新しく用意しなくてよい。既存の環境をそのまま維持しながら、エージェント機能だけを追加できる。乗り換えのコストゼロで同等以上の機能を試せる点で、専用AIブラウザに対するアドバンテージがある。

プロンプトインジェクションへの対策

ブラウザ上で動作するAIエージェントが直面する主なリスクが、プロンプトインジェクション攻撃だ。Webページ内に隠された悪意のある指示をAIが実行してしまう問題で、Anthropicの内部検証では対策なしの状態で攻撃成功率が23.6%に達したと報告されている(参考)。

現在は以下の対策が実装されている。

  • 金融サービス・アダルトコンテンツ・海賊版コンテンツなど高リスクカテゴリのサイトへのアクセスをブロック
  • 購入・共有・公開など影響の大きい操作の前に確認ダイアログを表示
  • 不審な指示パターンを検出する専用分類器の導入

これらの対策により攻撃成功率は11.2%まで低下し、Anthropicはさらなる低下を目標に開発を継続している。実際に使う際は、金融・医療・法務など機密性の高い操作には使わないことを公式も推奨している。

まとめ

Claude in Chromeは、専用AIブラウザへの乗り換えなしに、今使っているブラウザへ強力なエージェント機能を追加できる拡張機能だ。Claude Code・Coworkとの統合により、開発から日常のWeb操作まで一貫したフローで使える。すべての有料プランに開放されているため、Claude.aiのサブスクリプションを持っているなら、Chrome Web Storeからインストールするだけですぐ試せる。