Claude Codeに「マーケティング的に正しい判断」を期待しても、デフォルト状態では限界があります。LPのCROや広告コピー生成、SEO監査といった実務は、専門的なワークフローと文脈理解が必要だからです。
「Marketing Skills for AI Agents」は、AIエージェントにマーケティング業務の専門知識を持たせるOSSのスキル集です。Claude CodeやCursor、Windsurf、OpenAI Codexといったエージェントに対応しており、GitHubで現在約2.5万スターを獲得しています。2026年4月にリリースされたv1.9.0では40種類のスキルが利用できます。
この記事でわかること:
– Marketing Skillsが具体的に何をするツールか
– 用意されているスキルの種類と活用シーン
– インストール方法と使い始めるまでの手順
– 料金・ライセンス情報
AIエージェントへのマーケ業務委任が難しい理由
マーケティング業務をAIエージェントに任せると「それっぽいが使えない」アウトプットになりがちです。LPの改善を依頼してもCROのベストプラクティスを外れた提案が返ってきたり、SEO監査を頼んでも修正優先度が出なかったりします。
原因は、AIエージェントがマーケティング固有のワークフローや判断基準を持っていないことです。Marketing SkillsはこれをMarkdownファイル(スキル)として解決します。スキルをプロジェクトに追加すると、エージェントはマーケティングタスクを認識したときに適切なフレームワークとベストプラクティスを適用して動くようになります。
40種類のスキル体系
スキルは7カテゴリに分類されており、それぞれが独立したMarkdownファイルとして提供されています。
コンバージョン最適化(CRO)では、LPの改善(page-cro)、サインアップフロー最適化(signup-flow-cro)、オンボーディング改善(onboarding-cro)、フォームCRO(form-cro)、ポップアップ最適化(popup-cro)、アップグレード画面最適化(paywall-upgrade-cro)の6スキルがあります。
コンテンツ・コピーは、マーケティングコピーの執筆(copywriting)、コピー編集(copy-editing)、コールドメール作成(cold-email)、メールシーケンス設計(email-sequence)、SNSコンテンツ(social-content)が揃っています。
SEO・検索カテゴリにはSEO監査(seo-audit)、AIサーチエンジン向け最適化(ai-seo)、プログラマティックSEO(programmatic-seo)、サイト構造設計(site-architecture)などが含まれます。ai-seoはGoogle AIオーバービューやChatGPT、Perplexityでの引用獲得を目的とした比較的新しいスキルです。
2026年4月のv1.9.0で新たに追加されたスキルが imageとvideoです。imageスキルはGemini、Flux、Ideogram、GPT Image、Midjourneyといった画像生成ツールや、Canva・Figmaとの連携ワークフローをカバーします。videoスキルはHyperframes・RemotionによるプログラマティックなAI動画生成、HeyGenやSynthesiaを使ったAIアバター動画制作まで対応します。
スキル同士は相互参照する設計になっており、copywritingがpage-croを参照し、page-croがab-test-setupを参照するような連鎖で動きます。すべてのスキルはまずproduct-marketing-contextを読み込み、自社製品のポジショニングや対象読者を把握したうえでタスクを実行します。
インストール方法
最も簡単なのはCLIを使う方法です。
# 全スキルをインストール
npx skills add coreyhaines31/marketingskills
# 特定のスキルだけインストール
npx skills add coreyhaines31/marketingskills --skill page-cro copywriting
インストール先は自動的に.agents/skills/ディレクトリになり、Claude Code互換性のために.claude/skills/へのシンボリックリンクも作成されます。
Claude Codeのプラグインシステムから導入する場合は次のコマンドを使います。
/plugin marketplace add coreyhaines31/marketingskills
/plugin install marketing-skills
Cursor・Windsurf・OpenAI Codexなど複数のエージェントで使いたい場合は、SkillKitを利用すると一括インストールできます。
npx skillkit install coreyhaines31/marketingskills
実際の使い方
インストール後は、エージェントに自然言語で指示するだけで対応するスキルが自動的に呼び出されます。
「このLPのコンバージョン率を上げるための改善案を出して」
→ page-croスキルが適用される
「5通のウェルカムメールシーケンスを作って」
→ email-sequenceスキルが適用される
「GA4のサインアップ計測を設定して」
→ analytics-trackingスキルが適用される
スキルを直接指定することも可能です。Claude Codeであれば/page-cro、/seo-auditといったコマンドで明示的に呼び出せます。
また、最初にproduct-marketing-contextスキルを実行して自社プロダクトのポジショニングや顧客像を読み込ませておくと、他のすべてのスキルの精度が上がります。このコンテキストファイルはプロジェクトの.agents/ディレクトリに保存され、以降のすべてのスキル実行時に参照されます。
料金とライセンス
無料かつMITライセンスのOSSです。商用利用、改変、再配布いずれも制限なく行えます。
フォークして自社向けにスキルをカスタマイズすることもでき、PRやIssueも受け付けています。v1.8.0から現在のv1.9.0までの間でも、コミュニティから2件のバグ修正コントリビューションが取り込まれています。
他エージェントツールとの違い
Claude Code自体が持つSLASH COMMANDやMCPとの大きな違いは、マーケティング業務に特化したドメイン知識をスキルとして外部から追加できる点にあります。MCPがツール連携(データ取得・API実行)を担うとすれば、Marketing Skillsはエージェントの「判断基準」や「ワークフロー定義」を担うものです。
同様のアプローチとして、Corey Haines自身がManaged AI CMOサービス「Magister」も提供していますが(有料)、Marketing Skillsはそのオープンソース版として位置づけられています。
自分でエージェントを動かしてマーケ業務を自動化したい技術系マーケターや開発者にとって、導入コストがほぼゼロで始められる点が強みです。
まとめ
Marketing Skillsは「AIにマーケ業務を任せたいが、汎用エージェントでは精度が出ない」という問題に対して、スキルファイルという軽量な仕組みで答えを出しています。Claude Code、Cursor、Windsurfといった主要エージェントに対応しており、npx skills addコマンド1行で導入できます。
2026年4月時点で40スキル・GitHubで約2.5万スターを持つプロジェクトに成長しており、今後もスキルが追加される予定です。