2026年4月は、主要AIラボが一斉に新モデルをリリースした月として記録に残るかもしれません。
OpenAI、Anthropic、Meta、DeepSeek、xAI、Googleが短期間に次々と発表を行い、LLMの選択肢が一気に広がりました。この記事でわかることは以下の通りです。
- 各社が4月にリリースしたモデルの特徴と立ち位置
- Claude Opus 4.7・GPT-5.5・DeepSeek V4など主要モデルの実力
- 利用可能な範囲と料金
OpenAI:GPT-5.5(コードネーム “Spud”)
https://openai.com/index/introducing-gpt-5-5/
4月23日にリリースされたGPT-5.5は、内部コードネーム「Spud」で呼ばれていたモデルです。GPT-5.4と比較してトークンあたりのレイテンシを維持しながら、インテリジェンスを大幅に向上させた点が特徴です。
マルチステップのワークフローをより少ないユーザー介入で自律処理できるよう最適化されており、コード作成・デバッグ、データ分析、ドキュメント生成といった複合タスクで力を発揮します。ChatGPT Plus・Pro・Business・Enterpriseと開発者向けCodexで利用でき、APIは4月24日から提供されています。
Anthropic:Claude Mythos Preview と Claude Opus 4.7
Claude Mythos Preview
4月8日、AnthropicはClaudeシリーズで初となる「Mythos」ティアを発表しました。Opusより上位に位置づけられた同モデルは、SWE-bench 93.9%、USAMO 97.6%という高スコアを記録しています。
ただし一般公開はされていません。内部テストで主要OSやブラウザのゼロデイ脆弱性を自律的に発見できることが確認されたため、Anthropicはサイバーセキュリティリスクを考慮し、AWS・Apple・Google・Microsoftなど40社超で構成する「Project Glasswing」を通じた限定アクセスにとどめています。
Claude Opus 4.7
4月16日にリリースされたOpus 4.7は、Mythos Previewに次ぐ位置づけで、一般公開されている最新モデルです。
コーディングベンチマークで前世代比13%向上しており、複雑な長時間タスクでの安定性が目立ちます。ビジョン機能も強化され、対応解像度が最大2,576px(約3.75メガピクセル)と、Opus 4.6の約3倍になりました。推論の細かさをコントロールする新しい努力レベル「xhigh」が追加され、Claude Codeではデフォルト設定が引き上げられています。
新機能として、Claude Codeに /ultrareview コマンドが追加されました。コードの変更点をシニアエンジニアレビューのように読み込み、バグや設計上の問題を指摘します。また、デザイン・プロトタイプ・スライドを視覚的に作成できる「Claude Design」(Anthropic Labs)も同日公開されました。
料金はOpus 4.6と同じく、入力$5/M・出力$25/Mトークンです。
Meta:Muse Spark
4月8日、MetaはMuse Sparkを発表しました。昨年のLlama 4以来となる大型リリースで、同社初のクローズドウェイトモデルという点でも注目されました。Alexandr WangのMeta Superintelligence Labs(MSL)が開発した最初のモデルでもあります。
従来モデルが視覚とテキストを後付けで統合していたのに対し、Muse Sparkはマルチモーダル推論をゼロから設計し直しており、画像を内部ロジック全体に組み込んだ構造になっています。複数エージェントを並列実行する「Contemplatingモード」も搭載し、Gemini Deep ThinkやGPT Proといった高度推論モードに対抗します。
Artificial Analysis Intelligence Index v4.0では52点を記録し、GPT-5.4・Gemini 3.1 Pro Preview(各57点)、Claude Opus 4.6(53点)に続く位置に。meta.aiおよびMeta AIアプリで利用でき、WhatsApp・Instagram等への展開も予定されています。
DeepSeek:V4 Pro / Flash
4月24日、DeepSeekはV4 Previewをオープンウェイトでリリースしました。2系統が存在し、Pro(総パラメータ1.6T、アクティブ49B)とFlash(総パラメータ284B、アクティブ13B)に分かれます。V4-Proはオープンウェイトとして史上最大規模のモデルです。
両モデルとも1Mトークンのコンテキストをデフォルトで提供し、ThinkingモードとNon-Thinkingモードを切り替えられます。新たな注意機構(DeepSeek Sparse Attention)によって、1Mトークン設定時でも推論コストを大幅に抑えています。AgentツールとしてClaude Code・OpenClaw・OpenCodeとの統合が済んでおり、アジェンティックコーディングへの対応を重視した設計です。
API料金はFlashが入力$0.14/M・出力$0.28/M、Proが入力$1.74/M・出力$3.48/Mとなっており、クローズドモデルと比べて大幅に安価です。
xAI:Grok 4.3 Beta
4月17日、xAIはGrok 4.3のベータをサイレントリリースしました。現時点では月額300ドルのSuperGrok Heavyプランのみの早期アクセスで、正式ロールアウトは5月中旬〜下旬の予定とされています。
目立つ変化はネイティブ動画入力の追加と、チャット内でPDF・PowerPointスライド・スプレッドシートを直接生成できるようになった点です。Grok 4.20から引き継いだ2Mトークンのコンテキストウィンドウはそのまま継続しており、西側クローズドモデルの中では最大規模を維持しています。
Google:Gemini 3.1 Flash Live
3月末に発表され、4月に本格展開されたGemini 3.1 Flash Liveは、リアルタイム対話に特化した音声モデルです。90言語以上に対応したマルチモーダルなリアルタイム会話を提供し、Gemini Live・Search Liveを通じて200か国以上で利用できます。
出力音声にはウォーターマークが自動付与され、偽情報の拡散防止に備えた設計になっています。開発者はGemini Live APIとGoogle AI Studioを通じてアクセスでき、音声を活用したカスタマーエクスペリエンスや会話エージェントの構築に向けて提供されています。同日4月15日には補完的なTTSモデル「Gemini 3.1 Flash TTS」も公開されました。
まとめ
2026年4月は、クローズドかつ高性能なMythos PreviewやMuse Sparkから、オープンウェイトで実用価格のDeepSeek V4まで、性質の異なるモデルが同時期に出そろった月でした。完全公開のモデルの中では、Claude Opus 4.7がコーディング・ビジョン・長時間エージェントタスクで目立つ改善を示しています。DeepSeek V4は1Mコンテキストとオープンウェイトという組み合わせで、コスト重視の選択肢として存在感を増しています。



