コードを書く時代から、コードを任せる時代へ。

2025年11月18日、GoogleはGemini 3 Proを搭載したエージェント型開発プラットフォーム「Google Antigravity」を公開しました。単なるコード補完ツールではなく、エージェントがエディタ・ターミナル・ブラウザを横断して開発タスクを自律完了できる点が際立っています。

この記事でわかること:

  • Google Antigravityがどんな課題を解くツールか
  • エージェントが自律動作する3サーフェス設計の仕組み
  • 4つの開発モードと選び方
  • Artifactsによる検証の仕組み
  • 料金とCursorとの違い

「コード補完ではなくタスク完了」がAntigravityの出発点

従来のAIコーディングツール(CursorやGitHub Copilot)はエディタ内でコードを予測・補完します。エージェントの動作はエディタに閉じていました。

AntigravityはこのコンセプトをEditorから飛び出させています。エージェントが使えるサーフェスは「エディタ」「ターミナル」「ブラウザ」の3つです。

「ログインフォームを作りDBに接続して」と指示すると、エージェントはエディタでコードを書き、ターミナルでサーバーを起動し、ブラウザでフォームを確認・テストし、不具合があればCSSを修正してスクリーンショットを添えて報告します。途中で人間が逐一確認しなくても、エージェントがEnd-to-Endで完結させます。

ManagerとEditorの2つのビュー

Antigravityのインターフェースは2つに分かれています。

Editorビューは、タブ補完とインラインコマンドを備えたAI搭載IDEです。手を動かしたいとき、コードを細かく制御したいときに使います。

Managerサーフェスは、複数のエージェントを並行して起動・監視するコントロールパネルです。「バックエンドAPIの修正」と「UIのリファクタリング」を別々のエージェントに同時に任せ、自分は別の作業に集中できます。このAsync-firstの設計が、開発者の1日の構造を変えます。

4つの開発モードで自律度を調整できる

Antigravityは作業ごとに自律度を切り替えられます。

Agent-Driven(完全自律)は、目標を渡すだけでエージェントが計画から実行まで自律完了します。雛形生成やルーティング設定など、要件が明確なタスクに向いています。

Agent-Assisted(推奨)は、エージェントが作業しながら要所でチェックポイントを挟みます。方向性を確認しながら進められるため、多くのチームにとってバランスが良いモードです。

Review-Driven(厳格確認)は、エージェントが提案するたびに人間が承認します。決済フローや認証など、リスクが高いコードに適しています。

Customは、タスクごとにモードを混在させる設定です。

Artifactsで「何をしたか」を検証できる

AIエージェントの問題の1つは、動作がブラックボックスになりやすい点です。Antigravityはこれを「Artifacts」で解決しています。

Artifactsとは、エージェントが生成する成果物のセットです。実装計画・タスクリスト・スクリーンショット・ブラウザの録画・コード差分が含まれます。Google Docsのコメント機能のように、Artifactsに直接フィードバックを書き込むとエージェントが実行を中断せずに取り込んでくれます。

金融・医療など監査が必要な領域では、「AIが何をしたか」を説明できる記録があることが導入の壁でした。Artifactsはその壁を下げる仕組みです。

Gemini 3 Proを中心に3つのモデルを選べる

デフォルトモデルはGemini 3 Proです。100万トークンのコンテキストウィンドウを持ち、大規模なモノリポ全体を読んだ上でリファクタリングを実行できます。

同一セッション内でClaude Sonnet 4.5とGPT-OSS 120Bに切り替えることもできます。タスクの性質に応じてモデルを使い分けられるのは、特定プロバイダーへのロックインを嫌う開発チームにとって有効な選択肢です。

複雑な問題には「Deep Thinkモード」があり、Gemini 3 Proがより長く推論して精度の高いコードを出力します。大規模なスキーマ変更やデータ移行など、1発目の精度が重要なケースで使います。

CursorとGitHub Copilotとの違い

SWE-bench Verifiedではデフォルトエンジン(Gemini 3 Pro)が76.2%を記録しています。Claude Sonnet 4.5の77.2%に近い水準です(index.devの比較による参考)。

コードベース横断の検索速度はCursor 2.0より40%速く、リファクタリング精度はAntigravity 94%対Cursor 78%という比較結果も出ています。

現場からは「新機能の雛形生成や大規模スキャフォールディングはAntigravity、決済やAuth周りの細かい修正はCursor」という使い分けが報告されています。レガシーコードベースでは独自ライブラリに対応できないケースもあるため、新規開発とリファクタリングで役割を分けるのが現実的です。

料金:個人は無料のパブリックプレビュー

現在はパブリックプレビューとして個人は無料で利用できます。Gemini 3 Proへのレート制限あり。macOS・Windows・Linuxに対応しています。

有料プランは2026年中に導入予定とみられていますが、現時点での公式発表はありません。コードはGoogleのサーバーで処理されるため、社内規定でコードのクラウド送信が制限されている場合は確認が必要です。

ダウンロードは antigravity.google/download から。

まとめ

Google AntigravityはCursorのような「コード補完の延長」ではなく、エージェントにタスクを委ねる設計を軸に据えた開発環境です。ManagerサーフェスとArtifactsという仕組みで、「エージェントに任せる→確認する」というサイクルを実用的に回せます。個人は無料で試せるため、実際に動かして判断するのが早いでしょう。