AWSへの初回デプロイで、どのサービスを選ぶか調べ、コストを試算し、CDKを書き、デプロイコマンドを叩く。慣れた開発者でも半日がかりになる作業だ。
「Deploy to AWS」とコーディングエージェントに伝えるだけでこの一連の作業が完結する——それが AWS が2026年3月に公開した「Agent Plugins for AWS」だ。
この記事でわかること:
- Agent Plugins for AWS の概要とエージェントプラグインの仕組み
- 現在利用できる7種類のプラグインの内容
- Claude Code・Cursor へのインストール方法
- deploy-on-aws プラグインの5ステップ動作フロー
- 使用時のベストプラクティス
https://github.com/awslabs/agent-plugins
エージェントプラグインとは何か
Agent Plugins for AWS は、AWS が GitHub でオープンソース公開しているプラグイン集だ。AI コーディングエージェントに AWS 固有の知識とワークフローを持たせ、アーキテクチャの選定からデプロイまでをエージェントが一貫して担えるようにする。
1つのエージェントプラグインは4種類のコンポーネントをまとめたパッケージだ。エージェントスキルはデプロイや設計審査などのタスクをステップで定義したワークフローで、エージェントが複雑な作業を正確に実行するための手順書にあたる。MCP サーバーは AWS のドキュメント・リアルタイム料金・IaC ベストプラクティスなど外部データへの接続口だ。フックはコード変更時に自動で走るガードレールや検証処理を担い、リファレンスはエージェントスキルが参照するドキュメントや設定デフォルト値を含む。
エージェントに長い AWS ガイドを毎回貼り付ける必要がなくなり、コンテキスト消費を抑えながらエージェントの動作を標準化できる。AWS の AI プロダクトリーダーである Marcelo 氏は「MCP を通じて AI ツールが単なるテキスト生成ではなく、ベストプラクティスに沿いながら実際の技術エコシステム上で動作するようになる」とリリース時に述べている(参考)。
現在利用できる7つのプラグイン
2026年4月時点で以下の7種類が公開されている。
deploy-on-aws はコードベースの分析から AWS サービス選定・コスト試算・CDK/CloudFormation 生成・デプロイまでを5ステップで実行する。最も汎用性が高く、まず試すべきプラグインだ。
aws-serverless は Lambda・API Gateway・EventBridge・Step Functions を使ったサーバーレス構成の構築を支援する。サーバーレス固有のベストプラクティスとデプロイフローを組み込んでいる。
aws-amplify は Amplify Gen 2 でフルスタックアプリを構築するためのプラグインだ。認証・データ・ストレージ・関数の各リソースをガイド付きで追加できる。
databases-on-aws は AWS のデータベースポートフォリオに対応したスキーマ設計・クエリ・マイグレーション・マルチテナントパターンの支援を提供する。現時点では Aurora DSQL への対応が主体で、他サービスは順次拡充中だ。
migration-to-aws は GCP から AWS へのインフラ移行を支援する。リソース探索・アーキテクチャマッピング・コスト分析・実行計画の作成をカバーする。
amazon-location-service は地図・ジオコーディング・ルート計算・場所検索などの位置情報機能を Amazon Location Service で追加するワークフローを提供する。
sagemaker-ai は Amazon SageMaker AI を使ったモデルの構築・学習・デプロイを網羅的に支援する。AWS の AI/ML 機能をエージェント経由で活用したい場合に使う。
Claude Code へのインストール方法
Claude Code でのインストールは2コマンドで完了する。まず Agent Plugins for AWS のマーケットプレイスを追加する。
/plugin marketplace add awslabs/agent-plugins
次に使いたいプラグインをインストールする。deploy-on-aws を入れる場合は以下の通りだ。
/plugin install deploy-on-aws@agent-plugins-for-aws
他のプラグインも [プラグイン名]@agent-plugins-for-aws の形でインストールできる。
Cursor の場合は Cursor Settings → Plugins で aws を検索し、インストールしたいプラグインの「Add to Cursor」をクリックしてスコープを選択する。Codex は、リポジトリをローカルにクローンして Codex に開かせると .agents/plugins/marketplace.json を自動で検出する。
どの環境でも、使用前に AWS CLI の認証設定が必要だ。最小権限の IAM ロール・ポリシーを用意してから使うことを AWS は推奨している。
deploy-on-aws の5ステップフロー
deploy-on-aws プラグインがどう動くかを、Express.js + PostgreSQL + React 構成のアプリを例に見てみる。
エージェントに「Deploy this Express app to AWS」と伝えると、次の手順が自動で進む。
Analyze: コードベースをスキャンしてフレームワーク・データベース・依存関係を把握する。Express.js(Node.js 20.x)・PostgreSQL・静的 React ビルド・環境変数の構成を確認する。
Recommend: 収集した情報をもとに AWS サービスを選定する。バックエンドには AWS App Runner、データベースには Amazon RDS PostgreSQL、フロントエンドには CloudFront + S3、認証情報管理には AWS Secrets Manager を提案する。
Estimate: AWS Pricing MCP サーバーからリアルタイムの料金データを取得し、月次コストの試算を提示する。実際のデプロイ前に費用感を確認できる。
Generate: 確認後、AWS CDK(TypeScript)によるインフラコード・Dockerfile・DB マイグレーションスクリプト・GitHub Actions ワークフローを生成する。
Deploy: コードを確認してから承認すると、CDK でリソースをプロビジョニングし、コンテナをデプロイして DB を構築するまでを実行する。
AWS の報告によると、この一連の作業が10分以内に完了したとされている(参考)。従来なら半日かかっていたドキュメント調査・サービス比較・IaC 記述の工程をほぼ省ける。
使用時に知っておくべきこと
Agent Plugins for AWS 自体は MIT ライセンスのオープンソースで無料だ。費用が発生するのは、プラグインを通じて実際にプロビジョニングした AWS リソースに対してのみだ。Estimate ステップで事前にコスト確認できるため、意図しない課金を防ぎやすい。
生成されたコードはデプロイ前に必ず確認する。AWS もセキュリティ・コスト・可用性の観点でレビューすることを強く推奨している。プラグインはエンジニアの判断を補助するアクセラレーターであり、生成コードの最終確認は人間が担う。また、最小権限の IAM 設定と生成インフラコードへのセキュリティスキャン実施も推奨されている。
まとめ
Agent Plugins for AWS は、AWS デプロイの設計から実行までをエージェントに委ねるためのオープンソースプラグイン集だ。「deploy to AWS」の一言でサービス選定・コスト試算・IaC 生成・デプロイが5ステップで完結する。
7種類のプラグインが公開されており、Claude Code・Cursor・Codex でそれぞれ使い始められる。インフラ構築の反復作業を削減したい AWS 開発者にとって、導入コストが低く即戦力になるツールだ。