ブロックチェーン開発のボトルネックは「コードを書く量」ではなく、「SDK固有の仕様を覚える量」にあった。

Sentio(sentio.xyz)は2026年4月27日、AI coding agent向けプラグイン「Sentio AI Skills」をリリースした。Claude Codeにインストールすることで、自然言語でブロックチェーンデータのプロセッサー構築・SQLクエリ実行・アラート管理・ダッシュボード作成を一貫して行えるようになる。

この記事でわかること:

  • Sentio AI Skillsが解決する課題と仕組み
  • Claude CodeとClawHub、2種類のインストール方法
  • sentio-processorsentio-platformそれぞれの機能範囲
  • 具体的なプロンプト例と活用シーン
  • 対応チェーンと利用開始までの手順

https://github.com/sentioxyz/sentio-ai-kit

SentioはブロックチェーンのObservabilityプラットフォーム

Sentio(sentio.xyz)は、スマートコントラクトやDeFiプロトコルのデータを収集・分析するWeb3向けObservabilityプラットフォームだ。インデックス処理・クエリ・モニタリング・アラートを一つのサービスに統合しており、累計60億件以上のイベントを処理した実績を持つ。開発者はTypeScriptでプロセッサーを書き、スマートコントラクトのイベントをリアルタイムに追跡できる。

従来の問題はここにあった。SentioにはSDK固有のAPI構造・命名規則・CLIコマンドの順序があり、習得コストが高かった。Claude Codeのような汎用AIエージェントは一般的なTypeScriptの知識は持っていても、Sentio SDKのパターンを知らないためコードが不正確になりやすかった。

AI Skillsとは何か

Sentio AI Skillsは、エージェントに対してSentio SDKの仕様・ベストプラクティス・CLIコマンドをパッケージ化して渡す仕組みだ。エージェントはSentioプロジェクトの文脈を検出すると自動でスキルを起動し、正確なコードと手順を生成できるようになる。スキルを手動で呼び出す必要はなく、作業の文脈から判断して自動起動する。

公式リポジトリsentioxyz/sentio-ai-kitはClaude Codeのプラグイン形式で提供されており、ClawHub経由でも個別にインストールできる。

インストール方法

Claude Code プラグイン(推奨)

Claude Codeを使う場合は以下のコマンドでプラグインを追加する。

# マーケットプレイスソースを追加
/plugin marketplace add sentioxyz/sentio-ai-kit

# プラグインをインストール
/plugin install sentio-ai-kit

ClawHub

OpenClawなどClawHub対応エージェントを使う場合はnpxコマンドで個別にインストールする。

# プロセッサー開発用スキル
npx clawhub@latest install sentio-processor

# プラットフォーム操作用スキル
npx clawhub@latest install sentio-platform

sentio-platformスキルはSentioアカウントへのAPIキーが必要だ。アカウント設定でキーを発行した後、次のコマンドで認証する。

npx @sentio/cli@latest login --api-key <your-api-key>

sentio-processorスキルはローカル開発フェーズでは認証不要。Sentioへのアップロード時だけログインが求められる。

2つのスキルの機能

sentio-processor:プロセッサーを最初から組み立てる

プロセッサーとは、ブロックチェーン上のイベントを監視してデータを収集するTypeScriptプログラムだ。このスキルはプロジェクトの初期構築からデプロイまでの全工程をカバーしている。

含まれる機能は次のとおりだ。

  • プロジェクトライフサイクル管理sentio createsentio addsentio gen → プロセッサー記述 → sentio testsentio upload の順序を把握済み
  • プロセッサーパターン — イベントハンドラー・ブロック間隔・タイムインターバル・トランザクショントレースをチェーンごとに対応
  • メトリクスとイベント — カウンター・ゲージ・イベントログを正しいラベリングで生成
  • Store APIschema.graphqlを使ったエンティティ定義とCRUD操作
  • DeFiパターン — DEX/AMM・レンディングプロトコル・TVL追跡・ポイントシステム

対応チェーンはEthereum・Aptos・Sui・Solana・Starknet・Bitcoin・Cosmos・Fuel・IOTAの9チェーン。

自然言語での指示例は次のとおりだ。

  • 「EthereumでUSDC送金を追跡するSentioプロセッサーを作って」
  • 「Sui DEXのスワップ取引量を計測するハンドラーを追加して」
  • 「Uniswap V3の0x…コントラクト向けハンドラーとテストを生成して」

エージェントはプロジェクトをセットアップし、ABIからコードを生成し、テストを書き、デプロイ手順まで案内する。

sentio-platform:SQLとアラートをCLI経由で扱う

プロセッサーが収集したデータへのSQLクエリ・アラート管理・ダッシュボード作成を担当するスキルだ。対象操作は次の5種類だ。

  • SQL — Data Studioに対して同期・非同期クエリを実行
  • データクエリ — イベント・メトリクス・価格データの一覧と取得
  • アラート — メトリクス・イベント・ログ・SQL条件ベースのアラートルールを作成・更新・管理
  • エンドポイント — パラメータ付きSQLエンドポイントを外部向けに定義
  • ダッシュボード — パネル追加・JSON形式のインポート・エクスポートに対応

指示例は次のとおりだ。

  • 「プロジェクトのデータに対してトップ10ホルダーをSQLで出して」
  • 「日次転送量が100万を下回ったらアラートを出す設定を作って」
  • 「TVL・日次アクティブユーザー・上位トークンをまとめたダッシュボードを作って」
  • 「ダッシュボードのJSONをエクスポートしてGitで管理できる形にして」

エージェントがsentio dataコマンドを組み立てて実行し、結果を解説する。ダッシュボード定義はファイルとして保存されるため、コードと同じリポジトリで管理できる。

スキル自動起動の仕組み

明示的にスキルを指定しなくても、エージェントがリクエストの文脈から適切なスキルを選ぶ。次の条件で自動起動する。

  • @sentio/sdksentio.yaml・プロセッサーファイルへの言及 → sentio-processor
  • Sentio SQL・アラート・ダッシュボード・エンドポイントへの言及 → sentio-platform
  • Sentioプロジェクトのディレクトリ内での作業

明示的に指定したい場合は「sentio-processorを使ってこのコントラクトをスキャフォールドして」のように書くと確実に起動する。

使い始めるときのポイント

sentio.yamlschema.graphqlをワーキングディレクトリに置いておくと、エージェントがプロジェクトの現在状態を読み取れて精度が上がる。また、1回のプロンプトで完成形を求めるより、「このメトリクスを追加して」「チャートの種類を変えて」と会話で反復するほうが細かい制御がしやすい。

2つのスキルは組み合わせて使える。sentio-processorでプロセッサーを構築し、そのプロセッサーが出力するメトリクスに対してsentio-platformでダッシュボードとアラートを設定する、という流れが典型的な使い方だ。

本番向けの実装例は公式リポジトリsentioxyz/sentio-processorsに100件以上まとめられており、実際のDeFiプロトコル向けプロセッサーのコードを参照できる。

まとめ

Sentio AI Skillsは、Claude CodeやClawHub対応エージェントをSentio SDKの専門家として機能させるプラグインだ。9チェーン対応のプロセッサー開発から、SQL・アラート・ダッシュボードの管理まで、自然言語の指示で一貫して操作できる。

インストールはClaude Codeのプラグインコマンド1行、またはnpxコマンド1行で完了する。Sentioを使って開発しているチームであれば、まずプラグインを入れて試してみる価値はある。