企業はAIで候補者をフィルターする。ならば求職者もAIで企業をフィルターすればいい。その発想から生まれたのがCareer-Opsです。開発者が自身の転職活動で740件以上の求人を評価し、実際にHead of Applied AIのポジションを獲得した実績を持つこのツールが、MITライセンスで公開されています。

この記事でわかること:

  • Career-Opsが解決する就活の課題
  • 10次元スコアリングによる求人評価の仕組み
  • ATS最適化されたCV自動生成の流れ
  • セットアップ手順と実際の使い方

就職活動の何が問題なのか

https://github.com/santifer/career-ops

AIエンジニア職の就活には、独特の非効率さがあります。求人票を読み、スキルを照合し、履歴書を調整し、応募フォームを埋める。1件あたり30分以上かかる作業を、1日10件以上こなす必要があります。

しかも評価した求人の約74%はスコア4.0未満、つまり自分に合わない案件です。フィルターなしでは、大半の時間を「合わない求人を読む」ことに費やしてしまいます。

Career-Opsはこの問題を、AIエージェントによる自動分析で解決します。分析はAIが担い、応募の判断は人間が行う「Human-in-the-Loop」設計です。自動応募ボットではありません。

Career-Opsの仕組み

Career-Opsは、Claude Codeのスキルファイルとして動作するマルチエージェントシステムです。12の操作モードがあり、それぞれ独立したコンテキストとルールを持っています。

中核となるのは「auto-pipeline」モードです。求人URLを渡すだけで、以下の処理が自動実行されます。

Playwrightが求人ページにアクセスし、職務内容を抽出します。次にClaude Codeが履歴書と照合しながら10次元でスコアリングします。評価レポート(Markdown)、ATS最適化されたPDF履歴書、進捗管理用のトラッカーエントリがそれぞれ生成されます。

10次元スコアリングの評価基準

求人ごとに10の観点からA〜Fのグレードを付けます。すべて同じ重みではなく、「Role Match」と「Skills Alignment」はゲートパス方式で、ここが低ければ総合スコアも下がります。

重み「高」の項目には、スキルの一致度、報酬水準、面接到達確率があります。中程度の項目には、リモート対応可否、企業ステージ、プロダクトマーケットフィットなどが含まれます。キーワードの単純マッチではなく、Claude Codeが履歴書の実績と求人要件を推論で照合する点が特徴です。

開発者のSantiago氏が631件の求人を評価した結果、スコア4.5以上(Aグレード)は21件、4.0〜4.4(B)は52件でした。全体の74%がCグレード以下という分布は、フィルターなしの就活がいかに非効率かを示しています。

ATS最適化CV生成

Career-Opsは求人ごとに異なる履歴書PDFを生成します。汎用のテンプレートを使い回すのではなく、以下のステップで個別最適化します。

求人票から15〜20のキーワードを抽出し、サマリーや各職歴の冒頭に配置します。求人の言語(英語・スペイン語など)を検出して対応言語でCVを生成します。米国企業ならLetterサイズ、欧州ならA4を自動選択します。6つのアーキタイプ(LLMOps、エージェントワークフロー、テクニカルPMなど)から最適なフレーミングを選びます。

キーワードは「再構成」であり「捏造」ではない、と公式ドキュメントに明記されています。実在しないスキルや経験を追加する機能はありません。

ポータルスキャナーとバッチ処理

scanモードでは、Anthropic、OpenAI、ElevenLabsなど45社以上の採用ページを自動巡回し、新着求人を検出します。Ashby、Greenhouse、Lever、Wellfounderといった主要な採用管理プラットフォームにも対応しています。LinkedInアラートだけでは見つからない、企業の採用ページ限定求人も拾える点が強みです。

batchモードでは、複数のClaude Codeプロセスをtmuxで並列起動し、一度に大量のURLを処理します。1ワーカーあたり200Kトークンのコンテキストを持ち、障害が発生しても他のワーカーには影響しません。ロックファイルによる二重実行防止、レジューム機能も備えています。

セットアップ手順

必要な環境はClaude Code(Claude MaxまたはClaude Pro)、Node.js、Playwrightです。サーバーやデータベースは不要で、すべてローカルで動作します。

git clone https://github.com/santifer/career-ops.git
cd career-ops && npm install
npx playwright install chromium
npm run doctor

npm run doctorで前提条件を検証した後、config/profile.ymlに自身の情報を設定し、cv.mdにMarkdown形式の履歴書を配置します。あとはClaude Codeを起動して/career-opsコマンドを実行するだけです。

最新のv1.6.0(2026年4月26日リリース)では、Gemini CLIのネイティブ統合とLaTeX形式でのCV出力にも対応しました。Claude Code以外の選択肢が増えたことで、利用の幅が広がっています。

類似ツールとの違い

就活自動化ツールには「大量応募型」のものが多く存在します。Career-Opsはその逆で、フィルターとして機能します。公式サイトにも「スコア4.0未満の案件には応募しないことを強く推奨する」と記載されています。

applyモードでの応募フォーム入力も、Playwrightがページを読み取り、キャッシュされた評価データをもとに回答を生成しますが、送信は必ず人間が確認してから行います。AIが勝手に応募を完了させることはありません。

GitHubスター数は40,900を超え、フォーク数は8,400以上です。Discordコミュニティには2,100人以上が参加しており、設定やカスタマイズのノウハウが共有されています。

まとめ

Career-Opsは、AIコーディングCLIを就活コマンドセンターに変えるツールです。データはすべてローカルに保持され、外部に送信されるのはユーザーが選んだAIプロバイダーへのリクエストのみです。転職市場でAIを「使う側」に回りたいエンジニアにとって、試す価値のあるプロジェクトです。