コードエディターとネットワークキャプチャーツールを行き来する作業は、地味に時間を奪われます。APIレスポンスの確認、パフォーマンスのボトルネック探し、セキュリティチェック。毎回ウィンドウを切り替えるたびに集中が途切れます。
Progress Telerikが公開した「Fiddler MCP」を使えば、VS Code・Cursor・Claude Codeなどのコーディングエージェントから直接HTTPSトラフィックを解析できます。エディターを離れることなく、リアルなリクエストとレスポンスをもとにAIがデバッグを支援します。
この記事でわかること
- Fiddler MCPとは何か、従来のFiddlerと何が変わったか
- 対応するエディター・AIツールと接続手順
- 提供されるスキルの内容と活用シーン
- 料金プランと利用条件
Fiddler MCPとは
https://www.telerik.com/fiddler/fiddler-everywhere/documentation/agent-tools/fiddler-mcp-server
Fiddler MCPは、WebデバッガープロキシーFiddler EverywhereにMCP(Model Context Protocol)サーバーを実装した機能です。2026年4月23日に発表されました。
MCPはAIエージェントが外部のツールやサービスに接続するためのオープン規格です。Fiddler EverywhereがこのMCPに対応したことで、コーディングエージェントがFiddlerでキャプチャーしたHTTPSトラフィックを直接参照できるようになりました。
従来のデバッグとの違い
これまでのAIによるネットワークデバッグには、根本的な限界がありました。コーディングエージェントはソースコードしか見られないため、ネットワーク上の問題に対しては推測でアドバイスするしかなかったのです。
Fiddler MCPを導入すると、エージェントは実際のHTTPリクエスト・レスポンスを確認できます。ステータスコード、ヘッダー、ペイロード、タイミング情報など、リアルなトラフィックデータをもとに具体的な改善提案を出せるようになります。
もう一つの利点は、Fiddlerの操作に習熟していない開発者でもAIを通じてトラフィック解析の恩恵を受けられる点です。自然言語で質問するだけで、エージェントがFiddlerのデータを読み取って回答します。
対応するエディター・ツール
Fiddler MCPは以下のツールに対応しています。
- GitHub Copilot(VS Code) —
.vscode/mcp.jsonに設定を追記 - Cursor —
.cursor/mcp.jsonに設定を追記 - Claude Code — プロジェクトディレクトリの
.mcp.jsonに設定を追記
いずれもHTTPタイプのMCPサーバーとして接続します。デフォルトのURLはhttp://localhost:8868/mcpで、Fiddler Everywhereの設定画面で生成したAPIキーをAuthorizationヘッダーに設定します。
接続設定の例(VS Codeの場合):
{
"servers": {
"fiddler": {
"type": "http",
"url": "http://localhost:8868/mcp",
"headers": {
"Authorization": "ApiKey YOUR_API_KEY"
}
}
}
}
APIキーを含むため、.gitignoreへの追加を忘れないようにしましょう。
エージェントスキルでセットアップを自動化
https://github.com/telerik/fiddler-agent-tools
Fiddler MCPには、エージェント向けの公式スキルが3つ用意されています。スキルとは、エージェントに特定のタスクを教えるための指示ファイルです。
- fiddler-download-setup — Fiddler Everywhereのダウンロード・インストール・起動を一括で実行する
- fiddler-mcp-setup — MCPサーバーへの接続設定を自動で行う。ポートの検出、APIキーの取得、設定ファイルの生成、
.gitignoreへの追記まで一連の作業を処理する - fiddler-traffic-debugging — キャプチャーしたトラフィックをエンドポイントごとにグループ化し、HTTPリクエストが正しく完了しているか検証する
スキルのインストールはCLI一行で完了します。
npx skills add telerik/fiddler-agent-tools/skills
個別にインストールする場合は--skillオプションでスキル名を指定します。GitHub Copilot、Claude Code、Cursor、OpenAI Codexなど主要なエージェントに対応しており、スキルファイルは自動で適切なディレクトリに配置されます。
活用シーン
Fiddler MCPが効果を発揮する場面を具体的に挙げます。
APIレスポンスの検証 — 新機能を実装した後、エージェントに「このエンドポイントのレスポンスを確認して」と依頼するだけで、ステータスコード、レスポンスボディ、処理時間をまとめて報告してくれます。
パフォーマンス分析 — 画面の表示が遅いときに、どのリクエストがボトルネックになっているかをトラフィックデータから特定し、改善案を提示します。
セキュリティ監査 — HTTPSトラフィックのヘッダーやペイロードをチェックし、セキュリティ上の懸念を洗い出します。スキルを使えば、この作業も定型化できます。
料金プラン
https://www.telerik.com/purchase/fiddler
Fiddler MCPを利用するには、Fiddler EverywhereのPro以上のサブスクリプションが必要です。
- 月額プラン — 月額7.99ドル(1ユーザー)
- 年額プラン — 月額4.99ドル(年払い、1ユーザー)
10日間の無料トライアルがあるため、MCPサーバーの動作を試してから契約を判断できます。Windows、macOS、Linuxに対応しています。
類似ツールとの違い
Chrome DevToolsのネットワークパネルでもトラフィックは確認できますが、MCPサーバーとしてコーディングエージェントに接続する機能はありません。エージェントと連携してトラフィック解析を行う仕組みは、現時点ではFiddler MCPが数少ない選択肢です。
また、ブラウザの開発者ツールと異なり、Fiddler Everywhereはブラウザ以外のアプリケーションからのトラフィックもキャプチャーできます。モバイルアプリやデスクトップアプリのAPI通信を解析したい場合に有利です。
まとめの一言
Fiddler MCPは、ネットワークデバッグをAIエージェントのワークフローに統合する実用的な手段です。コードとトラフィックの両方を見ながらデバッグできる環境は、API開発やフロントエンド開発の効率を大きく変える可能性があります。