Telegramのアカウントがあれば、実は容量無制限のクラウドストレージをすでに持っています。ただし、そのままでは使いにくい。Saved Messagesはチャット画面であり、ファイルエクスプローラーではないからです。
Telegram Driveは、その不便さを解消するオープンソースのデスクトップアプリです。Telegramのインフラをそのまま活用し、Google DriveやDropboxのようなファイル管理UIを無料で実現します。
この記事でわかること
- Telegram Driveの仕組みと使い方
- 主な機能と対応プラットフォーム
- ファイルサイズ制限などの注意点
- 有料クラウドストレージとの違い
Telegram Driveとは
Telegram Driveは、Telegramアカウントを無制限のクラウドストレージドライブに変換するデスクトップアプリです。Tauri、Rust、Reactで構築されており、MITライセンスで公開されています。2026年5月時点でGitHubスターは約950、最新バージョンはv1.1.7です。
TelegramのSaved Messages機能は、もともと容量無制限でファイルを保存できます。Telegram Driveはこの仕組みをそのまま利用し、ファイルエクスプローラーのUIを被せたものです。データはTelegramのサーバーに保存されるため、ローカルにはメタデータとキャッシュされたサムネイルだけが残ります。テラバイト単位のファイルをアップロードしても、ローカルの容量はほとんど消費しません。
仕組み
バックエンドはRustで書かれたTelegramクライアントです。Grammersライブラリを使い、TelegramのMTProtoプロトコルで直接サーバーと通信します。中間サーバーは存在しません。APIキーとハッシュは自分でmy.telegram.orgから取得し、アプリに設定します。
フォルダ構造は、Saved Messagesをルートドライブ、自分が作成したプライベートChannelを各フォルダとして扱います。Telegramの既存機能だけで階層構造を実現している点が特徴です。
フロントエンドはReact + TypeScript + Viteの構成で、Tauriがネイティブアプリとしてまとめています。
主な機能
Telegram Driveが提供する機能は、単なるファイルアップロードにとどまりません。
仮想スクロールグリッド — 数千ファイルのフォルダでもスムーズに表示します。通常のチャット画面では過去のファイルを探すのに延々スクロールする必要がありますが、グリッド表示で一覧性が大きく向上します。
メディアストリーミング — 動画や音声ファイルをダウンロードせずに直接再生できます。Telegramに保存した動画をプレイヤーとして視聴する使い方が可能です。
PDF閲覧 — 無限スクロール対応のPDFビューアを内蔵しています。ドキュメント管理にも対応します。
ドラッグ&ドロップ — ファイルのアップロードと管理をドラッグ&ドロップで直感的に操作できます。
サムネイルプレビュー — 画像やメディアファイルのサムネイルをインラインで表示します。
自動アップデート — Tauriの仕組みにより、アプリの更新が自動で配信されます。
対応プラットフォーム
macOS(Intel / Apple Silicon)、Windows、Linuxに対応しています。署名済みバイナリがGitHubのリリースページで配布されており、インストーラーを実行するだけで使い始められます。
iOSやAndroidには対応していません。モバイルからファイルにアクセスする場合は、Telegram本体のSaved Messagesから直接開く必要があります。
セットアップ手順
ビルド済みバイナリを使う場合は、GitHubのリリースページからOS別のインストーラーをダウンロードして実行します。
ソースからビルドする場合の手順は以下のとおりです。
前提条件として、Node.js(v18以上)、Rust(最新安定版)、Telegramアカウント、そしてmy.telegram.orgで取得したAPI IDとAPI Hashが必要です。
git clone https://github.com/caamer20/Telegram-Drive.git
cd Telegram-Drive/app
npm install
npm run tauri dev
本番用ビルドは npm run tauri build で生成できます。
知っておくべき制限
Telegram Driveには、Telegramのインフラに依存するがゆえの制限があります。
ファイルサイズ上限 — Telegram Premiumユーザーは1ファイルあたり4GBまで、無料ユーザーは2GBまでです。50GBのプロジェクトでも個々のファイルが上限以下なら問題ありませんが、8GBのISOファイルなどは事前に分割する必要があります。アプリ側に自動分割機能はありません。
帯域制限 — 大量アップロード時にTelegram側のソフトレート制限にかかる場合があります。200GBの初期同期には週末をまるまる費やす覚悟が必要です。
暗号化 — Telegramのクラウドチャットに適用されるサーバーサイド暗号化のみです。エンドツーエンド暗号化ではないため、機密性の高いファイルはローカルで暗号化してからアップロードするのが安全です。
共有機能なし — 有料クラウドストレージにあるような共有リンクの生成、バージョン履歴、チーム共有といった機能は備えていません。あくまで個人用のファイル保管庫として使うツールです。
有料クラウドストレージとの比較
Google Drive(月額250円〜)やDropbox(月額1,500円〜)と比較すると、Telegram Driveの強みは明確です。容量無制限で月額0円。ただし、共有リンク、バージョン管理、モバイル同期といった機能は有料サービスの領域です。
個人のファイルバックアップ、メディアライブラリの保管、プロジェクトファイルのアーカイブといった用途であれば、Telegram Driveで十分です。チームでの共同作業や外部への共有が必要な場合は、従来のクラウドストレージと使い分けるのが現実的です。
まとめ
Telegram Driveは、Telegramが公式に提供しているSaved MessagesとChannelの仕組みを活用した無料クラウドストレージです。rclone-telegramやtelegram-uploadといった先行ツールが2020年から同様のアプローチで運用されており、Telegram側の取り締まりなく利用されてきた実績があります。有料のクラウドストレージを契約する前に、手元のTelegramアカウントで試してみる価値はあります。