Raycastは便利だが、Pro機能に課金するほどではない。かといってmacOS標準のSpotlightでは物足りない——そんなユーザーに選択肢が増えました。

RustCastは、Raycastのオープンソース代替として開発されたRust製のポップアップランチャーです。アプリ検索、クリップボード履歴、電卓、Spotify操作など主要機能を備えつつ、完全無料・テレメトリなしで使えます。

この記事でわかること

  • RustCastが解決する課題
  • 搭載されている主な機能
  • インストール手順と初期設定
  • Raycastとの違い

RustCastとは

https://github.com/RustCastLabs/rustcast

RustCastは、RustのGUIフレームワーク「iced」で構築されたキーボード駆動型のランチャーアプリです。2025年12月にGitHubで公開され、2026年4月時点でスター数は690、ライセンスはMITです。最新バージョンはv0.7.6(2026年4月25日リリース)で、macOSに対応しています。

開発の動機はシンプルで、作者がRaycastの有料プランに支払いたくなかったこと、そしてRustの学習を兼ねたかったことの2つです。結果として、Raycastの中核機能をカバーしつつ、起動速度とメモリ効率で上回るツールが生まれました。

Raycastユーザーが抱える課題

RaycastはmacOS向けランチャーの定番ですが、いくつかの不満が指摘されています。

まず、AI機能やクラウド同期といった便利な機能がPro(月額8ドル)に限定されている点です。無料プランでも基本的なランチャーとしては使えますが、クリップボード履歴やウィンドウ管理など実用的な機能を使うには課金が必要です。

次に、Electronベースのアプリと比べれば軽量とはいえ、常駐アプリとしてはメモリ消費が大きい点です。RustCastの計測では、Raycastが約180MBのRAMを使うのに対し、RustCast自体は約45MBで動作します。

さらに、Raycastはプロプライエタリなソフトウェアです。設定ファイルの中身やデータの扱いを自分で確認したい開発者にとって、ソースコードが公開されていない点は気になるところです。

主な機能

RustCastは設定ファイル(TOML形式)で全機能を制御する構成です。ホットキーを押すと検索バーが表示され、そこからすべての操作を行います。

アプリ検索とファジーマッチング

/Applicationsディレクトリを自動スキャンし、インストール済みアプリをインデックス化します。検索にはファジーマッチングが使われており、「chrm」と入力しても「Google Chrome」がヒットします。アプリアイコンも検索結果に表示されます。

クリップボード履歴

検索バーにcbhistと入力するとクリップボード履歴モードに切り替わります。過去にコピーしたテキストや画像を一覧から選んで再利用できます。Raycast Proでは有料機能ですが、RustCastでは無料で使えます。

電卓

検索バーに数式を入力するとその場で計算結果が表示されます。四則演算だけでなく、sin(pi/2)sqrt(256)といった関数もサポートしています。

単位変換

長さ、重さ、温度など15カテゴリ・200以上の単位に対応しています。コミュニティの貢献で追加された機能で、SI単位を中間ブリッジとして変換するため精度も高いです。

Spotify操作

macOSのAppleScript経由でSpotifyを直接制御します。playpausenextvolume 75といったコマンドをランチャーから実行でき、Spotifyウィンドウに切り替える必要がありません。

シェルスクリプト実行

カスタムコマンドを定義して、引数付きでシェルスクリプトを実行できます。たとえばdeploy prod server-3と入力すると、事前に定義したデプロイスクリプトにprodserver-3を変数として渡せます。引数のエスケープ処理も組み込まれており、シェルインジェクションを防ぐ設計です。

その他

絵文字検索、Google検索(クエリ末尾に?を付ける)、ファイル検索(macOSのmdfindを利用)、Vimキーバインド(Ctrl+n/p)によるナビゲーションにも対応しています。

インストール手順

macOSユーザーはHomebrewで導入できます。

brew install --cask unsecretised/tap/rustcast

Homebrewを使わない場合は、GitHubリリースページからDMGファイルをダウンロードしてインストールします。初回起動時にアクセシビリティ権限の許可を求められるので、システム設定の「プライバシーとセキュリティ」→「アクセシビリティ」で許可します。これはグローバルホットキーの検知に必要です。

設定ファイルは~/.config/rustcast/config.tomlに自動生成されます。テーマカラー、ホットキー、有効にする機能などをここで変更します。設定項目の詳細はGitHub Wikiに記載されています。

Raycastとの違い

RustCastの最大の強みは、起動速度とリソース効率です。起動時間は約80msで、Raycastの約300msと比較して大幅に速いです。バイナリサイズも約15MBと、Raycastの150MB超に対してコンパクトです。

一方、Raycastが持つ機能のすべてをカバーしているわけではありません。Raycastの拡張ストアに相当するプラグインシステムはまだ開発途中です。ウィンドウ管理やAI機能もありません。対応プラットフォームもmacOSのみで、WindowsとLinuxのサポートは現時点では予定されていません。

また、RustCastは個人開発者とコミュニティによるプロジェクトです。Raycastのように企業がサポートしているわけではないため、長期的なメンテナンス体制は異なります。

整理すると、ランチャーの基本機能を高速・無料・オープンソースで使いたいならRustCast、拡張エコシステムやAI機能を重視するならRaycastという使い分けになります。

まとめ

RustCastは、Raycastの有料機能に手を出さずにランチャー体験を強化したいmacOSユーザーに向いています。Rust製ならではの起動速度と省メモリを実現しつつ、クリップボード履歴や電卓、Spotify操作といった実用機能を無料で提供しています。TOML設定ファイルによるカスタマイズ性の高さも、開発者にとっては魅力です。GitHubスター数690のプロジェクトとしては機能の充実度が高く、今後のプラグインシステムの完成にも期待が持てます。