OpenAIのボットがWebサイトを訪れる頻度が、GPT-5のリリースを境に急増している。SEOプラットフォームBotifyと検索コンサルタントChris Long氏が約70億件のログファイルを分析した結果、OpenAIの自動クローリング活動はGPT-5以降およそ3倍に膨れ上がっていた。
この記事でわかること
- OpenAIの3種類のクローラーの役割と、それぞれの増減
- 業界によって異なるクロール傾向
- Googleとのクロール量の比較
- サイト運営者が確認すべきポイント
OpenAIの3つのボットとは
OpenAIはWebサイトへのアクセスに3種類のボットを使い分けている。
OAI-SearchBotは、ChatGPTがWeb検索を実行するときに動くクローラーだ。ユーザーの質問に対してリアルタイムで情報を取りに行く。GPTBotはモデルの訓練データを収集するためのクローラーで、robots.txtでブロックするとOpenAIの学習対象から外れる。ChatGPT-Userは、ユーザーがChatGPTに「このページを見て」と指示したときに発生するアクセスだ。
この3つの動きを理解しておくことが、今回のデータを読み解くカギになる。
検索ボットが3.5倍、訓練ボットが2.9倍に急増
今回の分析は、Botifyのエンタープライズ顧客のアクセスログ約70億件を対象としている。期間は2024年11月から2026年3月までだ。
GPT-5が公開された2025年8月を境に、OAI-SearchBotのイベント数は約3.5倍に増加した。Botifyのデータセットで約22億件の増加に相当する。GPTBotも約2.9倍に増え、こちらは約18億件のプラスだ。
一方で、ChatGPT-Userは逆の動きを見せた。2025年12月から2026年3月にかけて、ログイベント数が28%減少している。Chris Long氏はこの減少について2つの仮説を挙げている。ChatGPTのユーザー数自体が減った可能性と、OpenAIが自前のインデックスを充実させたことでリアルタイムのページ取得が不要になった可能性だ。
「検索」が「訓練」を逆転した
注目すべきは、検索ボットと訓練ボットの比率が逆転したことだ。
GPT-5以前、OAI-SearchBotとGPTBotのイベント比率は0.95だった。検索より訓練のほうがわずかに多い状態だ。GPT-5以降、この比率は1.14に上昇し、検索が訓練を上回った。
この変化は、GPT-5の設計思想と合致する。GPT-5はモデル自体に知識を詰め込むのではなく、必要な情報をWeb検索から取得する方向に舵を切ったと指摘されている。SEOコンサルタントのDan Petrovic氏は2025年8月の記事で「GPT-5は知識ではなく知性に最適化されている」と分析しており、今回のBotifyのデータはその見方を裏づける結果となった。
業界で大きく異なるクロール傾向
OAI-SearchBotの増加幅は、業界によって大きな差がある。
ヘルスケア分野では約740%増、メディア・出版では約702%増と、突出した伸びを記録した。マーケットプレイスは約216%増、ソフトウェア・IT系は約205%増、小売・ECは約195%増と続く。旅行分野は約30%増にとどまり、最も控えめだった。
さらに、検索と訓練のどちらを重視するかも業界で異なる。メディア・出版ではOAI-SearchBotがGPTBotより256%多くクロールしており、検索偏重が際立つ。一方、ヘルスケアではGPTBotのほうが50%多く、小売・ECでも33%多い。
BotifyとLong氏は、OpenAIがプロンプトの内容に応じてルーティングを変えていると分析している。ニュース系のクエリはライブ検索で対応し、健康情報や商品情報は訓練済みの知識を優先するという使い分けだ。
Googleのクロール量にはまだ遠い
3倍に増えたとはいえ、Googleとの差はまだ大きい。Botifyの直近30日間のデータでは、Googlebotのイベント数が182億件なのに対し、OpenAIの全ボット合計は約8.87億件だ。Googleの約4%に相当する。Bingbot(約54.9億件)と比べても14%程度にすぎない。
ただし、1年前の同時期と比較すると差は着実に縮まっている。2025年の同じ30日間では、Googleが150億件に対しOpenAIは約2.07億件で、Googleの1.38%にすぎなかった。1年で1.38%から4%へと、約3倍にシェアが拡大した計算になる。
サイト運営者が確認すべきこと
今回のデータから、サイト運営者が見直すべきポイントが浮かび上がる。
まず、robots.txtの設定だ。GPTBotだけをブロックしている場合、訓練データへの利用は防げるが、OAI-SearchBotによるChatGPT検索への露出は止められない。逆に、OAI-SearchBotをブロックするとChatGPTの検索結果に表示されなくなる。どちらをブロックすべきかは、サイトの方針次第だ。
次に、自サイトのログファイルを確認して、OpenAIのボットが実際にどの程度アクセスしているかを把握することが重要だ。業界平均と自サイトの状況は異なる可能性がある。
今回の分析はBotifyのエンタープライズ顧客データに基づいており、大規模サイトに偏りがある点には留意が必要だ。中小規模のサイトでは傾向が異なる可能性がある。それでも、OpenAIのクローリングがGPT-5を機に質的にも量的にも変化したことは、Web全体に影響する動きとして押さえておきたい。

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