OSSのAIコーディングエージェント「Kilo Code」が、ローンチ以来最大の刷新を迎えました。
VS Code拡張機能をゼロから再構築し、並列実行・サブエージェント・Agent Managerといった機能が一気に追加されています。220万人以上の開発者が利用するこのツールが、どう変わったのかを整理します。
この記事でわかること
- Kilo Codeが再構築された背景と技術的な変更点
- Agent Managerによる並列開発の仕組み
- インラインコードレビューやマルチモデル比較の使い方
- 料金体系とCursorなど競合ツールとの違い
何が変わったのか:OpenCode Serverへの移行
今回の刷新の核は、ポータブルなオープンソースコア「OpenCode Server」への全面移行です。
従来のKilo Codeは、CLI・JetBrains・Cloud Agentsのすべてが内部でVS Codeの仕組みに依存していました。エディタ以外の環境でもVS Codeのインターナルを動かしていたため、機能追加に限界があったとのことです。
OpenCode Serverは、MIT ライセンスで公開されているエージェントコーディング基盤です。VS Code・CLI・Cloud Agentsが同一のエンジンを共有する設計に変わり、コアの改善がすべてのプラットフォームに即座に反映されます。
この移行により、セッションの継続性も実現しました。CLIでSSH越しに始めた作業をVS Codeで引き継ぐ、といった使い方が自然にできます。
Agent Manager:並列エージェントの司令塔
今回の目玉機能がAgent Managerです。複数のKiloタブを開き、それぞれに独立した役割を割り当てられます。
特徴的なのはgit worktreeとの統合です。Agent Managerからワークツリーを作成すると、各エージェントがリポジトリの独立したコピーで作業します。あるエージェントがAPIエンドポイントを追加し、別のエージェントが認証モジュールをリファクタし、もう一つがテストを書く。すべて同時に進行し、コードの衝突が起きません。完了後にマージするか、PRを作成して取り込みます。
読み取り中心のワークフローでは、同じワークツリー上で複数エージェントを走らせることも可能です。一方のエージェントが変更を加え、もう一方が現在のdiffをレビューするといったパターンが想定されています。
並列実行とサブエージェント
体感速度に直結する変更が、並列ツール呼び出しの対応です。
従来はファイル読み取り、コード検索、ターミナル実行などが逐次処理でした。新しいKiloではこれらが同時に実行されます。
さらにサブエージェントの並列起動にも対応しています。1つのプロンプトでは処理しきれない複雑なタスクに対し、実装担当・テスト担当・ドキュメント担当のサブエージェントを同時に起動し、結果を親エージェントに統合します。カスタムサブエージェントの定義も可能で、チームの開発フローに合わせた構成が作れます。
インラインコードレビュー
エージェントの変更内容をファイル単位でdiff表示し、unified・split両方のビューに対応しています。
注目すべき点は、diff上に行レベルのレビューコメントを残せることです。PRレビューと同じ感覚でファイルパス・行番号・該当コードと一緒にフィードバックをKiloに送信できます。変更セット全体を承認か却下かで判断するのではなく、特定の行について会話できる設計です。
マルチモデル比較
Agent Managerでは、同じプロンプトを異なるモデルで同時に実行して結果を比較できます。Claude Opus 4.6とGPT-5.4で同じリファクタを試し、出力を横に並べて評価するといった使い方です。
対応モデルは500種類以上で、Gemini 3.1 Pro、Claude 4.6 Sonnet・Opus、GPT-5.4などが含まれます。
料金体系:サブスクなしでも使える
Kilo Code自体はMITライセンスの無料OSSです。VS Code拡張・JetBrainsプラグイン・CLIのいずれも無料でインストールできます。
AI推論の費用はプロバイダの料金がそのまま適用され、Kilo側の上乗せはありません。月額サブスクリプションなしのPay-as-you-goモデルです。Cursorの月額$20やGitHub Copilotの月額$10とは対照的に、使った分だけ支払う仕組みになっています。
まとまった利用量が見込まれる場合は「Kilo Pass」(月額$19〜)でボーナスクレジットを受け取る選択肢もあります。
CursorやCopilotとの違い
Kilo Codeの立ち位置は、既存のエディタを置き換えない点で明確です。CursorはVS Codeのフォークとして独自エディタを提供しますが、Kiloはあくまで拡張機能として動作します。VS CodeやJetBrainsの設定・拡張機能・キーバインドをそのまま使えます。
Agent Managerによる複数エージェントの並列実行は、現時点で競合ツールにはない機能です。git worktreeと統合された分離実行環境は、大規模なコードベースでの並行開発に適しています。
CLIでの利用にも対応しており、npm install -g @kilocode/cliでインストール後、kiloコマンドで起動します。CI/CDパイプラインでの自動実行には--autoフラグが用意されています。
まとめ
Kilo Codeの今回の刷新は、単なる機能追加ではなく、アーキテクチャの根本的な再設計です。OpenCode Serverへの移行により、VS Code・CLI・JetBrainsで同じ体験が得られるようになりました。Agent Managerとgit worktree統合による並列開発は、AIコーディングツールの新しい方向性を示しています。OSSかつPay-as-you-goという料金モデルも含め、CursorやCopilotとは異なるアプローチで開発者の選択肢を広げるツールです。
