xAIがGrokシリーズの新モデル「Grok 4.3」を2026年4月30日にリリースしました。前モデルGrok 4.20から性能が向上しただけでなく、API価格が大幅に下がり、推論速度も約2倍に伸びています。

この記事でわかること

  • Grok 4.3の性能と前モデルからの変化
  • API価格の具体的な変更点
  • 動画入力やドキュメント生成など新機能の概要
  • 競合モデルとの立ち位置

Grok 4.3の概要

https://x.ai/api

Grok 4.3はxAIが開発した最新のフラッグシップモデルです。xAIの公式ドキュメントでは、すべてのAPI利用者にGrok 4.3の使用を推奨しています。テキストと画像の入力に対応し、コンテキストウィンドウは100万トークンです。

推論(Reasoning)は常時オンで、ユーザーが無効にしたり強度を調整したりはできません。長文の分析、リサーチ、マルチステップのエージェントタスクに適した設計です。

前モデルGrok 4.20からの変化

Artificial Analysisの評価によると、Grok 4.3のIntelligence Indexスコアは53で、Grok 4.20の49から4ポイント上昇しました(参考)。特にエージェント性能の改善が大きく、ツール呼び出しや複数ステップのタスク処理がより安定しています。

推論速度も大きく変わりました。出力速度はGrok 4.20の92.6トークン/秒に対し、Grok 4.3は202.7トークン/秒と約2.2倍です。レスポンスの待ち時間が半分以下になる計算で、インタラクティブな用途やリアルタイムのエージェント処理で体感差が出ます。

コンテキストウィンドウはGrok 4.20の200万トークンから100万トークンに縮小しました。超長文を一括処理する用途では制約になりますが、100万トークンでも大半のユースケースには十分な容量です。

API価格の大幅値下げ

Grok 4.3の価格変更は今回のリリースで最も注目すべき点です。

項目 Grok 4.20 Grok 4.3 変化
入力トークン(100万あたり) $2.00 $1.25 約37%減
出力トークン(100万あたり) $6.00 $2.50 約58%減

出力トークンの値下げ幅が特に大きく、推論を多用するエージェントワークフローではコスト削減効果が顕著です。20万トークンを超えるリクエストには上位の料金が適用されるため、大量入力時は注意が必要です。

バッチAPIも利用可能で、画像生成・画像編集・動画生成にも対応しています。バッチ処理では50%の割引が適用され、スタンダード画像は1枚$0.01、動画は1秒あたり$0.025で生成できます。

新しい機能

Grok 4.3には、モデル性能の向上以外にもいくつかの新機能が追加されました。

まず、ネイティブの動画入力に対応しました。Grok 4.20は画像のみでしたが、4.3では動画クリップを直接アップロードして内容を分析・推論できます。

次に、ドキュメント生成機能が加わりました。会話の中からPDF、スプレッドシート、PowerPointデッキをそのまま出力でき、実用的なフォーマットで書き出せます。

また、xAIの自律型デスクトップ自動化エージェント「Grok Computer」との統合が強化されました。Grok 4.3が計画を立て、Grok Computerが実行するという並列処理が可能です。

音声APIの拡充

Grok 4.3と同時期に、xAIはスタンドアロンのSTT(音声認識)APIとTTS(音声合成)APIも公開しています。

STTは25以上の言語と12種類のオーディオフォーマットに対応し、話者分離(ダイアライゼーション)やリアルタイムストリーミングも使えます。料金はバッチ処理で$0.10/時間、ストリーミングで$0.20/時間です。

TTSは5種類の音声(Ara、Eve、Leo、Rex、Sal)を備え、20以上の言語を自動検出します。料金は100万文字あたり$4.20で、OpenAIの約$30/100万文字やElevenLabsの約$50/100万文字と比べて大幅に安い設定です。

競合モデルとの比較

Artificial AnalysisのIntelligence Indexで見ると、Grok 4.3のスコア53はClaude Sonnet 4.6やMuse Sparkをわずかに上回る位置です。GPT-5.5やClaude Opus 4.7といった最上位モデルには届きませんが、価格性能比では競争力があります。

出力価格$2.50/100万トークンは、Claude Sonnet 4.6の$15.00やGPT-5.5の出力価格と比べて圧倒的に安価です。推論速度202.7トークン/秒という数値も業界トップクラスで、速度と価格を重視する開発者にとっては有力な選択肢になります。

ただし、セッション間の記憶保持機能がない点は課題です。ChatGPTやClaudeが1年以上前から提供しているパーソナライズ機能を、Grokはまだ持っていません。

まとめ

Grok 4.3は、性能向上と大幅な値下げを同時に実現したモデルです。エージェント用途で使うAPI開発者にとっては、出力コスト58%減と速度2倍という改善が直接的なメリットになります。動画入力やドキュメント生成といったマルチモーダル機能の追加も、活用の幅を広げる要素です。xAIの公式ドキュメントで詳細を確認し、自分のユースケースに合うか検討してみてください。