Vercelが社内の情報基盤をNotionに統一し、AI機能をフル活用した結果、出荷速度が35%向上した。従業員1人あたり週9時間の作業削減にも成功している。

この記事でわかること:

  • Vercelが直面していた情報分散の課題
  • Notion上に構築した統一システムの構造
  • Notion AIが自動化する具体的な作業
  • 導入後の定量的な成果

Vercelが抱えていた課題

https://www.notion.com/customers/vercel

Vercelは開発者向けにコードからクラウドまでのデプロイ基盤を提供する企業です。組織が12のプロダクトグループに拡大する中で、企画書やスライドが複数のツールに分散し始めました。重要な議論はSlackスレッドに埋もれ、会議メモは個人のドキュメントに閉じたままでした。

ツール間のコンテキスト切り替えに時間を取られ、チーム間の連携も難しくなっていました。Technical Program ManagerのBrian Emerick氏は「標準化が必要だったが、官僚的な仕組みは避けたかった」と説明しています(参考)。

Product Areasデータベースを中核にした統一設計

解決策として、Vercelは「Product Areas」というNotionデータベースを全チームの起点に据えました。各プロダクト領域のページを開くと、チーム情報・会議メモ・ロードマップ・PRD(製品要求仕様書)に紐づくプロジェクト更新がすべて集約されています。

このデータベースを軸に、以下の仕組みが連動しています。

Product Area Plans は戦略ロードマップと実作業をつなぐ仕組みです。優先度を変更すると関連ドキュメントに自動で反映されます。

EPDレビュー はローンチに必要な情報をフォームで集め、リーダーシップのフィードバックを得るプロセスです。過去の意思決定もナレッジベースとして蓄積されます。

Product Launchesカレンダー はリリース状況・信頼度・担当者を一覧できる管制塔です。テンプレートで品質基準を統一し、通知の自動化で全チームの同期を保っています。

Notion AIによる作業の自動化

情報を一元化した基盤の上で、Notion AIが定型作業を自動処理しています。

まずドキュメントの要約です。長文のPRDやRFC(技術提案書)からエグゼクティブサマリーを自動生成し、意思決定者が読む時間を短縮します。

会議内容の構造化にも対応します。議論をアクションアイテム付きのノートに変換し、次のステップを明確にします。

技術ドキュメントの変換も担います。エンジニア向けの仕様書を、GTM(Go-to-Market)チームが使えるメッセージング素案に書き換えます。

加えて、Enterprise Search機能がSlack・Google Drive・GitHub・Jiraなど20以上の連携アプリを横断検索します。Enterprise Searchは社内のNotionワークスペースだけでなく、接続した外部アプリの情報もまとめて検索対象にする機能です。使用するAIモデルはGPT・Claude・Geminiから選べます。

特筆すべきは、AIが関連情報を能動的に提示する点です。作業中のドキュメントに対して、関連する顧客フィードバックやSlackの過去議論を自動で表示します。手動で探す手間がなくなり、判断材料が常に手元に揃います。

数字で見る導入効果

Vercelが公表した成果は以下のとおりです。

  • 出荷速度が35%向上
  • 従業員1人あたり週9時間の作業を削減
  • 全従業員の100%がNotionを日次で使用
  • 89%の従業員が出荷品質への自信が向上したと回答

VP of ProductのLee Robinson氏は「情報が自然に適切な人へ届く仕組みが、意思決定を加速させている」と評価しています(参考)。

この事例から学べること

Vercelの取り組みで注目すべきは、AIを導入する前に情報の一元管理を完了している点です。散在した情報にAIを適用しても効果は限定的です。まず情報を1か所に集約し、構造化したうえでAIを載せるという順序が成果につながっています。

Notion AIはBusinessプラン(月額20ドル/ユーザー)以上で利用でき、Enterprise Searchや無制限のAIレスポンスが含まれます。社内のナレッジ管理とAI活用を同時に進めたい組織にとって、Vercelの設計は具体的な参考になります。