待望のGeminiが車内にやってきた。だが、実際に使うと「あの発表と少し違う」と感じるユーザーが増えている。

この記事では、2026年4月に広く展開されたGemini for Android Autoの実用性を、実際の使用感・不具合・改善点の3軸で整理する。

この記事でわかること:

  • Google Assistantから何がどう変わったか
  • Gemini Liveの起動方法と有効な使いどころ
  • 現在報告されている主な不具合の内容
  • 改善に期待したい点

Google AssistantがGeminiに置き換わった

Android Autoのボイスアシスタントが、Google AssistantからGeminiへの切り替えが進んでいる。Googleは2025年のGoogle I/Oでデモを公開し、2025年11月に段階的なロールアウトを開始した。その後、2026年4月に展開が大きく広がり、ステアリングのボイスボタンを押すとGeminiが起動するユーザーが急増している。

ただし、同時期にAndroid Auto v16.7のバグが確認されており、一度Geminiに切り替わったユーザーが元のGoogle Assistantに戻ってしまう現象も起きている。設定からアシスタントを切り替え直すと戻せる場合が多いが、反映に1日以上かかるケースもある(参考)。

Gemini Liveの起動方法

Geminiには「通常のGemini」と「Gemini Live」の2つのモードがある。通常のGeminiはこれまでのGoogle Assistantと同様に使うもので、Gemini Liveは双方向の会話を継続できる対話モードだ。

Gemini Liveの起動方法は2つある。

  • ステアリングのボイスボタンを長押しして「Hey Google、let’s talk live」と言う
  • 車載ディスプレイのマイクアイコンをタップして「Let’s talk live」と言う

会話を終了したいときは「Stop」と言う。Gemini LiveのUIは、ホーム画面の音楽プレーヤーがある位置に自然に収まる設計で、視認性は良好だ。

https://support.google.com/gemini/answer/16735982

Gemini Liveが実用的な理由

長距離運転やひとり乗車の場面で、Gemini Liveは機能する。

例えば、ラジオで耳にしたサッカー選手についてもっと知りたいと思ったとき、Gemini Liveなら質問と回答のやりとりを続けられる。ソフトウェアのトラブルシュートを話しながら整理したり、プレゼンのリハーサルをしたりすることも、運転しながら実施できる。

通常のGeminiも、Google Assistantより自然な言い方を許容する点で改善されている。言い間違いや不完全なフレーズでも文脈を読んで動作するため、「正確な言葉を選びながら話す」プレッシャーは減った。

ただし、Gemini Liveは現時点でも技術的にはベータ版として位置づけられている。

現状で確認されている問題

導入したユーザーの間で、いくつかの共通した不具合が報告されている。

音声が途切れる。5G接続中や自宅のWi-Fiに接続した状態でも、15秒ほどで応答が切断される事例がある。メッセージを声で送ろうとすると、途中で録音が止まり、送信前にやり直しを迫られる。

画面タップに反応しない。「近くのマクドナルドに案内して」と言ったときに候補が複数出ても、ディスプレイをタップしても選択できない。Geminiは音声での返答を待ち続けるため、操作が冗長になる。

ETAや電話番号を捏造する。連絡先への到着予定を送るよう指示すると、正確なETAではなく架空の時間を返すケースが報告されている。電話番号を存在しない番号で代替するケースも確認されている(参考)。

Gemini Liveがループする。Gemini Liveが自分の音声を拾って話し続けるループ状態に陥り、会話ができなくなるバグがある。EV車のように室内が静かな環境でも、環境音を誤って拾う過剰な感度が指摘されている。

チャット履歴が同期されない。車内での会話を降車後にスマートフォンで続けられることを期待しているユーザーが多いが、現時点ではGmailアカウントへの会話保存が機能していないケースがある。

Google I/Oのデモと現実の乖離

2025年のGoogle I/OでGeminiがAndroid Auto上で動くデモが公開された際、参加者の多くは車内AIアシスタントへの期待を高めた。デモ自体はある程度セットアップされたものだったが、それでも自然な対話で地図・音楽・メッセージを横断して処理する様子は印象的だった。

実際に手元に来たGeminiは、そのデモとは少し距離がある。Google Assistantの上に乗せたような実装に見えるという声が多く、「完全に作り直した体験」とは言いがたい状態だ。展開が大幅に遅延した末の結果としても、もう少し完成度が高い状態でリリースしてほしかったという意見は多い(参考)。

Google AssistantがAndroid Auto上で3〜4年間改善されないまま放置されてきた経緯もあり、Geminiへの移行には大きな期待がかかっていた。その分、現状の不完全さが際立っている。

まとめ

Gemini for Android Autoは、Gemini Liveという核となる機能を持ちながら、現時点では不具合が多く残っている。音声の途切れ、ETAの捏造、画面タップへの無反応、チャット非同期といった問題はどれも実用上のストレスに直結する。

Googleのサービスらしくアップデートによる改善が続くと思われるが、現状では「試せる状態になった機能」として扱うのが実態に合っている。Gemini Liveの体験自体は長距離・ひとり乗車で価値があるため、まず起動方法を覚えておく価値はある。