Claudeに話しかけるだけで、レストランの空席確認から予約まで完結する。
アメリカン・エキスプレス(AmEx)は2026年4月24日、傘下のレストラン予約サービス「Resy」をAnthropicのAI「Claude」と連携させたと発表しました。会話の中で飲食店を探し、リアルタイムで空席を確認し、席を押さえるという一連の操作がClaudeのチャット内で完結します。
この記事でわかること:
- AmExがResyとClaudeをどのように繋いだか
- 接続の技術的な基盤であるMCPの仕組み
- ユーザーの体験がどう変わるか
- 他サービスへの広がりと今後の展望
何が変わるのか
AmExの声明によると、「Claudeのような会話型AIツールに繋がることで、Resyは最適なタイミングで空席を提示し、より多くの飲食店とより多くのダイナーをつなぐことができる」とのことです。
従来、Resyで飲食店を探すにはアプリやウェブサイトを開き、日付・人数・場所を入力し、候補を選んで予約ボタンを押すという手順が必要でした。Claude連携後は、「今週末の土曜日、マンハッタンで4人入れるイタリアンを教えて」と話しかければ、Claudeがリアルタイムで空席のある候補を返します。
現時点で対象となるのはResyに登録されている米国内のレストランです。Resyは2024年7月時点で20,000以上のレストランを登録しており、大半はニューヨーク・ロサンゼルス・シカゴなど主要都市に集中しています。
MCPという技術的な基盤
この連携を支えるのが、AnthropicのオープンソースプロトコルMCP(Model Context Protocol)です。MCPはAIツールが外部サービスのAPIに安全に接続し、タスクを実行するための仕様を定めたものです。
MCPを使うと、AIエージェントは人間がアプリのUIを操作するのと同じ「カスタマージャーニー」をAPIを通じて辿れます。Resyとの連携を例にとると、次の5フェーズが再現されます。
- 発見:キュレーション記事や特集リストからレストランを見つける
- 検索:日付・人数・料理ジャンル・場所・空席で絞り込む
- 認証:AmExカード会員プロファイルと紐づく
- 予約:時間枠を選択して席を確定する
- 管理:予約の変更・キャンセル・ウェイトリストへの追加
従来のAPI連携と異なる点は、AIが自然言語を解釈して適切なAPIを呼び出すという点です。ユーザーは操作方法を覚える必要がなく、話しかけるだけでエージェントが代わりに実行します。
AmExの戦略的な背景
AmExはResyを2019年に買収しています。以来、カード会員向けのダイニング特典として活用してきましたが、今回のClaude連携は「ResyをAIプラットフォームに組み込む」という方向への転換を示しています。
AmExが発表で強調したのは、AIドリブンなカード会員サービスの強化と、Resyという「ユニークな資産」をAIの主要プラットフォームに乗せることの両面です。自社アプリの利用を増やすのではなく、ユーザーがすでにいる場所であるClaudeに機能を届けるという考え方は、AIエージェント時代ならではのプロダクト戦略といえます。
MCP連携は飲食・フードデリバリーにも広がる
同様のMCPベースの展開は他社でも起きています。インドの食品デリバリーサービス「Swiggy」は2026年1月、MCPを使ったAI注文機能を導入し、食品・食料品・レストランへの席の注文を自然言語で完結できるようにしました。
飲食という領域は「今夜食べに行く」「何か頼む」という即時性のある意思決定が多く、AIによる会話ベースの提案と相性が良い分野です。MCPによって既存の予約・注文インフラをそのまま活用できる点が、こうした展開を加速させています。
Claudeが「入口」になる時代
Resy × Claude連携が示すのは、検索やアプリという「入口」がAIチャットに置き換わりつつあるという変化です。AmExはResyの予約機能をそのまま維持しながら、Claudeというインターフェースに乗せ直した。
MCPの普及によってこうした連携の構築コストは下がっています。どのサービスが「AI上での入口」を先に確保するかが、今後のユーザー体験の差異化を左右するでしょう。